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捕獲作戦 1

今日一回目の更新です。

「それじゃあクレハちゃん、まずは囮になって貰えるかしら?」

「…………へ?」


お…囮?

そんな、アイリーン様…笑顔でさらっと、なんて事を言うんです…?


「大まかな作戦はこうよ。まずクレハちゃんが囮になって歩いて自宅まで帰るの」

「え…?」


あ、歩いて?

魔法のじゅうたんに乗らずに?


「で、それにつられてクレハちゃんの後をつけた人物がいたら、捕獲する。あとは捕獲した人物から仲間の人数と居場所を聞き出して捕獲。ね、これだと簡単に事が済むでしょう?どうかしら?」

「…い、いや、『どうかしら?』って言われましても…」

「あら、駄目かしら?」

「だ、駄目というか…それ、まず、私捕まりませんか…?」

「あら、それは大丈夫よ。シヴァくんが同行するもの。それに、ライルと、フレンもつけるわ」

「え?シヴァくんはともかく…ライルくんとフレンさんもですか?」

「ええ。盗賊が全員捕まるまで、念の為ライルとフレンをクレハちゃんのお家に泊めて貰いたいのよ。フレンは精霊召喚師だから、なりたてのクレハちゃんに指導もできるわよ?」

「え!」

「それにライルも、シヴァくんと打ち合い稽古できるしね?」

「な、なるほど。…あれ?でも、何人も護衛がいたら、あの人達、現れないんじゃないですか?」

「そうね、その可能性はあるわ。でもどこか近くで様子を窺ってはいるはずよ。それを密かに配置した騎士達に見つけて貰って捕らえるの。…それに、自分達の腕を過信して、数にものを言わせて襲撃する可能性も、あるしね?」

「ああ…そういう事なら…。…わかりました。フレンさんとライルくん、しばらくお預かりしますね」

「ええ。…というわけで、軍団長さん。騎士達の配置を決めて下さる?はい、地図」

「は、かしこまりました。ではクレハ殿、貴殿のご自宅の場所をお教え願えますかな?」

「あっ、はい。えっと……この丘の上です」

「ああ、あの丘ですか。…ふむ…」


私が地図を指差すと、軍団長様は地図を見てしばらく考え込んだ。


「…街道筋には、ここと、ここと、ここ。森の中はクレハ殿達の動きに合わせて移動させても見つかりますまい。丘は見晴らしがいいので難点ですが…何人かを、クレハ殿のご自宅に潜ませて戴く事は可能ですかな?」

「え、うちにですか?か、構いませんけど…」


…ええと、シヴァくんとフレンさんとライルくんと…騎士様数人?

部屋はまあ…リビングとかも使って寝てもらえば大丈夫として……食材、足りるかな?

あっ、布団…!

布団どうしよう!?

ベッドにある以外に、余分な布団がないや…!


「……あの、アイリーン様…も、物凄く、申し訳ないんですけど…布団、とか、お借りできますか……?」

「あら…クレハちゃんたら、みずくさい言い方するのね。そんなことなら、お安いご用よ?」

「あっ、ありがとうございます…!」


うう、この件が終わったら、突発的なお客様用にちょっと色々揃えよう…。


「ではクレハ殿。騎士を数人、お邪魔させて頂きますぞ」

「あ、はい、わかりました!」

「…軍団長さん。その、クレハちゃんのお家にお邪魔する騎士に、セイルを入れて下さる?それと、他の人選も私がさせて戴いてよろしいかしら?」

「は…?構いませんが…理由をお伺いしても?」

「あら。だって、可愛いクレハちゃんに悪戯(おいた)をする方がいたら、困るでしょう?」

「……は……?」

「え…っと…アイリーン様?私まだ、9歳ですけど…?」


つるぺた9歳児を襲う人はいないだろう……。


「あらクレハちゃん、何歳だろうと、女は用心しなきゃ駄目なのよ?実際昔、王都では………ふふ、この話は、いいわね」

「え!?」


『王都では』何!?

昔何があったんですかアイリーン様!?


「とにかく、人選は私が選びます。よろしいですね軍団長さん?」

「…は。では、ご一緒に騎士団支部までご同道下さい」

「ええ。クレハちゃん、ちょっと行って来るわね。少し時間がかかるだろうから、作戦開始は明日にして、今日はうちに泊まって行きなさい」

「あ、はい、わかりまし……あっ、あの、それなら、魔法のじゅうたんで一回うちに帰ってきていいですか!?お金を取ってきて、今日中に必要な物を揃えます!護衛はちゃんと、シヴァくんにお願いしますから!!」

「あら…そう、ね。いいわよ。ただ、ライルも連れて行って?それと街での買い物には馬車を使って、フレンも同行。それが条件よ」

「は、はい!わかりました!」

「うん、いいお返事ね。なら許可するわ。気をつけてね?」

「クレハ殿。それならば、今回だけこの屋敷からの街の出入りを特別に許可致しましょう。魔法のじゅうたんには、この屋敷から乗って行き、帰りもこの屋敷に降りて下さい」

「あっ、はい!ありがとうございます!じゃあ、行って来ます!」


私はシヴァくんとライルくんに声をかけ、一度家に戻った。

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