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ネオスティアの勇者 5

翌日から、私は街へ行き、ギルド内にある酒場に入り浸って、冒険者さん達の装備を眺めた。

特に集中して見たのは、フェザ様と同じ、大剣を持った冒険者さんである。

その、大剣を持つ冒険者さんが酒場に来たなら、すかさず相席をお願いして使っている大剣に関する話を聞いた。

そして。







「……う~ん……。……うん、よし! たぶん、これで大丈夫!」


私は出来上がったフェザ様用の装備を確認して、大きく頷いた。

冒険者さん達に聞いた話を元に、考えに考え抜いた結果、フェザ様が依頼した"闘神の刃"という大剣には、簡単に刃こぼれしないように刃の強度の強化と、大剣という事からある剣全体の重量の軽量化を計り、それに成功した。

また、防具である"闘神の鎧"という全身鎧には、同じく全体の重量の軽量化を計り、更にできるだけ動きやすいようにデザインを変えた。

首から足まで、余すところなく全身をすっぽりと覆う鎧から、腕や腰、太股の部分などの一部を省いて覆う鎧に変更したのだ。


「全身覆うとその分重いし……これくらいなら、省いても問題ないと……思うんだけど……う~~~ん……いや、大丈夫。……たぶん!」

「……はい、これなら大丈夫だと思います」

「え!? ……わっ、シヴァくん!? いつの間に!?」


完成品を眺めて独りごちていた私は、突然背後から聞こえた声に驚き、振り返ると、そこにはシヴァくんが立っていた。

シヴァくんは私の横に来ると置かれていた装備品を手に取って眺める。


「大剣の割には軽いですね。それに鎧も。軽量化をなさったんですね? これなら振り回しやすいし、動きやすいと思います。……大丈夫です。これならば絶対に、クレハ様の品が選ばれますよ」


シヴァくんはそう言って私を見ると、にっこりと微笑んだ。


「……そうだと、いいけど。……シヴァくんて、なんだか私に甘いよね。相手は国に名が知れた鍛冶師さんや錬金術士さん達なのに、"絶対に"私の品が選ばれる、なんて言うあたり。……あ、もしかして、お世辞? 私が不安がらないようにわざと言ってくれてる?」

「え? いえ……。俺は、本当にそう思うんですが……」

「……ぷ。なら、やっぱり私に甘いよ。でも、ありがとうシヴァくん。そう言って貰えると素直に嬉しいし、自信も持てるよ」

「……なら、いいのですが。……けれどクレハ様。クレハ様の品が"絶対に選ばれる"と言う事が"クレハ様に甘い"という事に繋がるのなら、それは俺だけではありません」

「え?」

「フレンさんもギンファちゃんもイリスさんも、そう言っておりましたから」

「へ…………ぷ、あはは! なるほど、皆、"身内の欲目"なんだねぇ!」

「"身内の欲目"……? ……そうでしょうか……?」

「あはははは!」


私の言葉に首を傾げて考え込むシヴァくんがなんだか可笑しくて、私はお腹を押さえて笑い転げた。


そして、数日後。

私達はイリスさんに留守を任せ、アイリーン様やアージュと共に、王都へ向かって出発した。

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