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街へ行こう! 3

意識が浮上し、目を開けると、見慣れない天井が目に入った。


「……あれ? ここ、私の部屋じゃない……?」


……う~ん、寝ぼけてるのかな…どこだっけ、ここ。

上半身だけ体を起こし、すっきりしない頭を動かして部屋を見回すと、ここがどこかを思い出した。


「ああ、そっか……宿に泊まったんだったっけ」


ベッドから起き上がり、私は大きく伸びをした。

着替えをすませた所で、テーブルが光った。


「あ、ラクロさんの手紙だ。返事かな?」


昨夜あの後、ウォンについて聞かなかった理由と、この世界の常識、主に日本と違う所について教えて欲しいと手紙に書いた所で宿の人から食事の支度ができたと呼ばれた為、ラクロさんに出すのは眠る前になったのだ。

ラクロさんから手紙が届くとテーブルが光るから、起こさないようにと配慮して、朝になってから、返事をくれたんだろう。

ラクロさん……相変わらず優しい、いい人だ。

私は手紙を手に取った。


『おはようございます。約束を破るような人物ではない、と、私を信頼して下さっていること、嬉しく思います。その信頼を裏切らぬ為に、ルークをシメておきますよ』

「へ? ルークをシメる?」


意味がわからないけど……きっとあの馬鹿天使がまた何かやらかしたんだろうな。

……あれ、待てよ?

私の信頼を裏切らぬ為に、ていうのは……もしかして私に何か関係してる事でシメる、って事なのかな?

……何か……嫌な予感がするよ?

何をした、馬鹿天使……。


『さて、ラザルドールと日本での常識の違いについてですが、以前お話した事以外でですと、お風呂についてと、あと、奴隷がいる、という点でしょうか。奴隷には二種類いて、重犯罪を犯し、その罪を生涯その身をもって償う事が課された永続奴隷と、貧しい人々が子供を奴隷商人に託す事で奴隷になる、契約奴隷がいます。後者は親と奴隷商人の間で金銭のやり取りが発生し、その金額に応じて、奴隷として従事する期間が決まる仕組みです』

「……ど、奴隷……」

『貴女には受け入れがたい制度でしょうが、契約奴隷は奴隷商人が責任を持って、良き主人となる人物を見極め売るという義務が定められていますから、そう酷い扱いはされません。更に契約奴隷には2週間の試用期間が設けられていて、2週間後、奴隷商人は契約奴隷にその期間の主人の対応を聞いて最終判断をします。もし判断を誤り、その後契約奴隷が重大な怪我を負ったなら、主人はもちろん、奴隷商人も罪に問われますから、奴隷商人達も判断は慎重にしていますしね。それ以外にも、酷い扱いを受け続けた場合は契約奴隷自ら役人に訴える事ができます。この場合も、主人と奴隷商人が罰せられます』

「へ、へえ……」

『厳しい現実ですが、貧しい人々には、必要な制度なのですよ。永続奴隷は……ある意味自業自得なので、詳しい記載は避けておきます。貴女が永続奴隷に関わる事はないでしょうしね。ラクロ』

「え!? 詳しい記載は避けて……って……うわ、やだ、怖い! それ怖い!!」


わ、忘れよう!

私は何も見なかった!!

そう思うとすぐに、ラクロさんからの手紙を折りたたみ、鞄にしまう。

それと同時に、扉からコンコン、とノックの音がした。


「お客様、朝食のご準備が整いました」

「あっ、はい!」


グッドタイミングです宿の人!

リィンさんの情報通り、この宿のご飯はとても美味しい。

美味しいご飯を食べて、怖い事はさっさと忘れよう!

ご飯を食べたら今日は何をしようかな~っと!

……あ、動物屋に行くんだった……。

今日は何やらいつもよりアクセス数多いな……と思ったら、なんとランキング入りしていたのですね。

びっくりして少しの間凝視してしまいました。

いつも読んで下さってる皆さんのおかげです。

ありがとうございます!

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