二年目の成果
今日も一更新です!
楽しかった夏が終わり、秋がきた。
今日は、10月1日。
私の10歳の誕生日だ。
この前、アージュとアイリーン様から、今日を指定してハイヴェル邸に来るようにと言われた。
去年のアージュの家での事を思えば、きっと今年もサプライズパーティーをしてくれるつもりなんだと思う。
ならばここは、気づいていないふりでハイヴェル邸へ行くべきだよね。
「シヴァくん~、ギンファちゃん~、フレンさん~、イリスさん~! そろそろ行くよ~!」
「はい」
「は~い!」
「うん」
「はいっ!」
洗濯を終えた私は、階段を降りながら、大きな声で皆に呼びかけた。
各部屋や廊下、リビングなど様々な場所から返事が聞こえてくる。
私は倉庫へ行き、洗濯籠を片づけ、魔法のじゅうたんを持つと、外に出た。
「ウォン!」
「あ、コタ! そうだ、久しぶりにコタも街に行く?」
「ウォン!」
「そう。じゃあ一緒に行こうか」
「ウォンッ!」
皆を待っているとコタが駆けてきて、私の前にちょこんと座る。
私はその頭を撫でながら、思いついた事を口にすると、コタは嬉しそうに一声鳴いた。
なので、今日はコタも一緒に連れて行く事にした。
「「 クレハ様、お待たせしました 」」
「お待たせ、クレハちゃん」
「お待たせしました! クレハちゃん」
そのままコタと戯れていると、皆がやって来た。
私は魔法のじゅうたんを二つ広げた。
ひとつ目の魔法のじゅうたんに私とシヴァくんとギンファちゃん。
もうひとつにフレンさんとイリスさんとコタが乗って、街へと向かって出発した。
「クレハ様、皆様、ようこそお越し下さいました。お待ち申し上げておりました」
「こんにちは、イザークさん」
「奥様や皆様はダイニングでお待ちです。どうぞこちらへ」
ハイヴェル邸に着くと、アイリーン様の護衛であり、ハイヴェル家の執事長でもあるイザークさんが出迎えてくれた。
イザークさんは流れるような身のこなしで、私達を促し、ダイニングへ案内してくれた。
「奥様や皆様は、この中でお待ちです。クレハ様、どうぞ扉を開けて、お進み下さいませ」
ダイニングの前まで来ると、イザークさんはそう言って一歩下がり、手を胸に当て、頭を下げた。
どうやら今日は、私が扉を開ける事に意味があるらしい。
私は期待を胸に膨らませながら、ゆっくり扉を開いて、中へ入った。
すると途端に、パァン!と幾つもの音が響く。
次いで、聞き慣れた皆の声が聞こえてきた。
「誕生日おめでとうクレハ!」
「「「 クレハちゃん、おめでとう! 」」」
「「「「 おめでとうございます、クレハちゃん! 」」」」
ダイニングには、アージュとジュジュさん、アイリーン様、セイルさんとミュラさん、そして、ハイヴェル家の使用人の皆さんが勢揃いしていた。
「クレハ様、お誕生日おめでとうございます」
「おめでとうございます、クレハ様!」
「おめでとうクレハちゃん」
「クレハちゃん、おめでとうございます!」
「ウォン! ウォン!」
「おめでとうございます。クレハ様」
シヴァくん、ギンファちゃん、フレンさん、イリスさん、コタ、そしてイザークさんも私の前へと進み出て、お祝いの言葉を口にしてくれた。
「皆……ありがとう!! とっても嬉しいよ!!」
予想していた以上の人数が集まっていたダイニングを見て、私は自然に笑顔を浮かべ、そう言った。
その後私は、二段になっているとても大きなケーキと、私の好きなものばかりが並んだ料理を、皆と一緒に味わった。
一人一人からプレゼントも贈られ、私は両手いっぱいの荷物を持って、家へと帰った。
そして、夜。
部屋で寛いでいると、隅のほうが光り、ラクロさんと馬鹿天使とエンジュさんが現れた。
三人からもお祝いの言葉とプレゼントを貰え、私はまた笑顔になった。
この一年、たくさんの人達と出会い、交流し、去年よりも賑やかで楽しい誕生日が迎えられた。
来年もまた、こんなふうに、もっとたくさんの人と出会って、誕生日を祝って貰えるといいな。
そんな願いを胸に、私はベッドに横たわった。
クレハ・カハラ 10歳
友達 アージュ
家族(のような人) シヴァ ギンファ フレン イリス
親しい知人 アイリーン セイル ミュラ アレクリード フェザラッド アーガイル ジュジュ
知人 ギルドのおじさん アレフレート ハイヴェル家の使用人一同
親しい天使 ラクロ ルーク エンジュ
動物 11匹
さて、ほぼ旅行と冒険に明け暮れさせた二年目が終わりました。
三年目は、家と街周辺の行動になる…………予定です。




