蛇狩りのおじさん
近所に蛇を捕まえるのが得意なおじさんがいました。猛毒のマムシですらも、素手でひょいと捕まえてしまうのです。
近所の子供たちは、すごいすごいと言ってくるので、おじさんも得意になって見せびらかしていました。
おじさんは、捕まえたマムシを生きたまま口のあたりから皮をするっとはいでしまい、内蔵をつまみ出してしまうのです。そして丸い肝を取り出して生で食べてしまうのです。これが元気のもとだと言っていました。
そんなおじさんは、一日にマムシは一匹しか捕まえないと決めていました。
昔、山の神様と約束したのだそうです。若い頃に山で谷底に落ちて動けないところを助けてもらったのだと言っておりました。
山の神様は顔の真ん中に目が一つだけある老人の姿で、足が折れ動けないおじさんの前に現れ、マムシを取るのは一日一匹までにすると約束するなら助けてやるとそう言ったそうです。おじさんは、その老人に軽々と背負われて、山の麓まで連れてきてもらったのだそうです。
一つ目の老人が山で何かの取り引きを持ちかけてくる話は地元の民話集にも載っている話でした。また、僕の父が猟師だったので、地元の猟師の間で親子連れの動物は狩ってはならないとされていることも知っていました。僕はおじさんはそこらへんから話を拾ってきたのだなと思っていました。
あるときから、おじさんは、頻繁にマムシをとるようになりました。どうもマムシを高く買ってくれるお店を見つけたとのことでした。そして、親子マムシには手を出さないという禁も破ってしまったのでした。
しばらくして、おじさんは突然亡くなりました。家の玄関で数匹のマムシに噛まれたのだそうです。
おじさんの奥さんから後に聞きました。おじさんが蛇にかまれる前日の夕方、編笠を被った老人が、おじさんから借りた長靴を返しに来たのだと言って、玄関に長靴を置いていったのだそうです。
うまくまとまらなかったな




