燃えた御守り
「行ぐべ」
中学のころ、友達と皆で地元の有名な心霊スポットに行こうという話になりました。恥かしながら僕は怖がりで、絶対に行きたくないと思ったのですが、ばかにされるのが嫌でつい強がって一緒に行くと言ってしまったのです。
目的の場所は、ここ山形市の隣、K市の山中の滝不動です。そこには小さな滝の側に不動明王像を祀っているのですが、滝の下に奉納された木剣をいじると祟られて死ぬとされていました。とにかく怖い噂のたくさんある場所です。昔は斬首場だったと言われ、周りには火葬場やトンネルなどの心霊スポットもあります。有名な霊能力者さんが近づけずに逃げ出したことでも有名です。
「行きだぐねえなぁ」
決行の前の晩、翌日のことを考えてため息をついていたら、祖母に心配され、滝不動に行くことを話しました。
「おめは憑かれやすいがらの。断ればいいべ」
祖母はそう言いますが、そんな訳にはいきません。行かねば皆の笑い者です。そう語ると祖母は古い御守りを渡してくれました。祖母が若い頃に母親から貰ったものだそうです。
お不動様なのだから不敬なことをしなければ大丈夫だろうが、そういう場所には面白半分では行くべきでないとは釘をさされました。
いよいよ当日、土曜は午前授業で、昼が近づき憂鬱な気分になっていました。昼になり、いざ行こうというとき、ポケットの中の御守りを確認すると、手が熱い。びっくりして御守りを取り出すと、僕の手の中で御守りが燃え出しました。右手に火傷を負った僕はそのまま保健室へ、そして病院に連れていかれたため、滝不動に行かずにすんだのです。
火傷は今でも残っていますが、滝不動に向かった友人たちの今を考えると、祖母の御守りには感謝しかありません。
まじで昔怖い噂があった場所ですね。私の友人たちは見にいって何事もなく帰ってきましたが。




