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KallistoDreamProject  作者: LOV
КаллистоМечтаПроект:Другая точка зрения
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Другая точка зрения:одиннадцатый

 その日は珍しく面倒事もないまま、あたしは同僚のテティスと共に待機室で夕方を迎えていた。なので、概ね気分は上々だ。いつもツンケンしているテティスだけど、こういうときは少しだけクチを利いてくれるから好き。

「ねえ、休みの日とか、いっつも何してんの?」

「お前の知ったことか。そもそも特殊な任務を帯びる私たちに休日など無い!」

 テティスはいつも怒ったような物言いだけど、実際はそんなに怒ってるわけじゃないことをあたしは知ってる。でも基本は機嫌が悪い。だけど、真面目で責任感が強くて頼りがいがあるから、所属してるみんなアンドロイドはテティスのことを誰よりも慕っていた。今もテティスの指示に従って、いつ来るか判らない任務に備えて黙々と準備や作業をしている。あたしにもテティスの半分くらいでも人望があればなー。

「だいたい、お前のその態度と格好は何だ!? 何度も言っているが、いい加減、ちゃんとした戦闘制服を着ろ! 勝手に改造するな! 私たちはアストラル技研に属する誇り高きバイオロイドなんだぞ!? もっとしっかりしろっ!」

「えー? だってさあ、こんな黒ずくめ、どっからどう見たって怪しすぎるし。内勤制服はカワイイから好きだけど、戦闘制服はなー。なんというかなー」

 テティスが言うように、あたしはしっかりしてない。自分で言うのも何だけど、たぶんバイオロイドの中でも飛び抜けて軽薄で不真面目な部類だと思う。でも一番ってワケじゃないんじゃないかなー。社外には物凄くトンチンカンな娘がいるらしいから。ハナシで聞く分には、相当にスカポンタンらしいし。うーん、いやどうかな、いい勝負かもしれない。

「ゴクヒニンム? なんだから、もっと自然な普通なカッコした方が怪しまれなくてイイと思うんだけどな」

「自然だと? お前の格好が自然で普通だと?」

 テティスはギロリと睨む。あ、軽く本気気味に怒ってる。まぁ確かに、戦闘制服のスラックス状のパンツの代わりに、超ミニのスカート穿いてる。あのパンツ、特殊繊維でできてるから重いし肌触り悪いし、何より自慢の脚が隠れちゃうから好きじゃない。

「このスカート、いちおうパンツと同じ繊維でできてるから防弾防刃性能は高いよ」

「そういう問題かっ! バカバカしい! だらしなく脚を組むなっ! し、下着が見えてるぞっ!?」

 テティスはプイッとそっぽを向くと、深く溜め息を吐いた。ちょっと照れ隠しも入ってる気がする。真面目だなあ。そういうとこが好き。あ、変な意味じゃなくてね。ちなみに、テティスと一緒に仕事をするようになって、もうかれこれ3ヶ月くらいになるけど、いまだにプライベートで遊んだりしたことがない。さっきテティスは「休日など無い!」って息巻いてたけど、実際は普通に休みの日はある……少なくともあたし4週8休で任務に就いてる。だけど、テティスはこの3ヶ月、ほとんど休んでないみたい。夜も自室に帰らないで、この待機室で休んでいることが多い。そりゃ休みのことを訊いたらハラが立つのも無理ないよねー。

「ねえ、テティス。たまには仕事のこと忘れて、思いっ切り休んだら? そんなに重要じゃない任務ならあのコたちに任せることだってできるんだから、なんだったらあたしとどっか遊びに行こうよ? 仕事と遊び、メリハリ付けたほうがイイって昔からみんな言ってるよ?」

 もちろんバイオロイドは過労死なんかしない。1日に数時間くらい横になって休憩できれば、半年や1年くらいなら休みナシで働ける(そんなのあたしは絶対にイヤだけど)。でも、バイオロイドのココロはカラダほど丈夫じゃないから、時には遊んだりゆっくりしたりしてリフレッシュしないとね(さすがに鬱になったりはしないとは思うけど)。まるで仕事マシンみたいなテティスだけど、あんまり根を詰めて頑張りすぎるのも良くないと思うんだよなー。

 からかい半分だったけど、もう半分は本当にテティスのためを思ってのこと。でもまぁあたしらしい無神経な発言だったことは認める。テティスはいつにも増して眉間に厳しさを滾らせながらあたしを一瞥して、それから再び溜め息だ。

「……私なら大丈夫だ。休みはそのうちにまとめて取らせてもらう。だいたい……私が気安く休めないのはお前がしっかりしてくれないからなんだぞ!」

 あー、やっぱりそうなるか。そりゃごもっともごもっとも。こういう厳しいことを遠慮ナシに真っ正面から言ってのけるテティスは怖いけど少しカッコイイかもしれない。もちろんあたしは特に悄気るでもなく(我ながら強メンタルだと思う)悪びれもなく笑って応じた。

 そんなテティスとの戯れの時間も終わりを迎える。各機関をモニタリングしていたアンドロイドのひとりがこちらに目配せし、手を挙げた。

「どうした!?」

「はい。いま“112”に送信された救急通報なのですが……送信に使用されたMTが我が社の支給品のようなのですが」

 コンソールを叩いているアンドロイドの傍にテティスが駆け寄り、モニタを覗き込む。いつもキビキビしていて、確かに頼りがいがある。

「何か問題があるのか?」

「はい。特に特殊な内容ではなく、一般男性が事故にあったための純粋な救急要請のようです。ただ、端末固有番号が我が社の支給品であることは明確に示しているのですが、使用者の識別番号がクローズされています。使用者を特定できませんね。発信位置はツェーレンドルフです」

「ということはだ……」

 テティスは少しだけ考えて顔を上げる。

「おそらく使用者は我が社のバイオロイドだろう。特に問題は無いとは思うが……少しばかり気にはなるな」

 そしてあたしに向き直る。なんともイヤな予感がする。

「おい。お前。どうせヒマを持て余しているのだろう。念のために様子を見てこい」

「えー? 今から? もう定時前だよ?」

 拒否するつもりはなかったけど、とりあえずイヤそうな素振りをしてみる。鬱陶しいよね。でも、こうでもしないとテティスと会話が続かないし。

「なんだったら一緒に行かない?」

「下らない戯れ言はお終いだ! チタン! お前の仕事だ! 今すぐ向かえ! 単独行動になるから、その馬鹿げた改造制服を脱いで、お前がお気に入りだとか言ってた内勤制服に着替えて行くんだぞ!」

 ちぇっ、おこりんぼテティス。もうちょっと優しくしてくれたら、ホントに大好きなんだけどなー。

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