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 舞踏会の日付が迫ってくる。日食の日が命運を分ける。フルールに密偵を頼んでいないのに、あの子ったらどこで情報を手に入れたのか「アミシアさま。クリスティーヌさまも次の舞踏会に参加するそうです」と、火口を開いた。当然、王子が聖女を招待しないわけにもいかない。どれだけドSぶりを発揮しても聖女を舞踏会のリストから外すことなどできない。まして、聖女に前回の舞踏会では魔物討伐の恩があるとリュカ王子は思っているはず。


「フルール。いつもありがとう。あなたも用心してね」


 首飾りを取り戻してから、嫌な予感しかしない。


 ミレーさまから手紙がときどきくるようになった。私に浮気しているのではない。国境付近で魔物の出現が相次いでいることを私に逐次報告してくれる。本当に助かるわ。


 郊外での出現が多くなったわ。魔物側は戦果をあげられていないようだけど。出現ポイントを拡散させているようにも思えるわ。


 クリスティーヌはときどきどこかに出かけている。そのこともミレーの報告書でどこに出かけているのか分かった。


『クリスティーヌさまには、共に戦地に赴いていただいております。姉であるアミシアさまの心中をお察しいたします。クリスティーヌさまは、めきめきと魔法の腕を上げられて私を何度も救って下さっています』


「心中お察ししますって? 騙されてるあなたを心配するわ! もう!」


 それに、どこに出かけているかなんて今はじめて知ったわ。魔物を自分で呼びよせて、自分で退治するなんて手の込んだことを。褒めてあげるわ。ご苦労さま。でも、クリスティーヌが不在がちになっていいこともある。あの子がいない分、私は魔法をクロエ先生からがっつり教えてもらえるもの。


「アミシアお上手になりました」


 屋敷の中で魔法を使うことは危険になった。だって、私の魔力って偉大で絶大らしいの。先生によるとね。今まで魔力が開化しなかったのは、本能で自分の魔力が絶大だと分かっていたらしいの。扱い慣れない危険な魔力の持ち主ほど、自身が扱うことができる精神年齢だったり、肉体的な成熟がなければならないと無意識に発現を制御するらしい。簡単に言うと、魔力開化の適齢期が人によって違うってことね。なんだかずっと凹んでいて損した。


「先生、じゃあ何もしなくても大人になるまでに魔力のある人は魔力が発現するってことですか?」


「そういうことじゃないわアミシア。魔力は本来、必要に迫られて発現する火事場の馬鹿力みたいなものよ。誰かを守るために使おうという意思で力を得るものなのよ」


 そうなんだ。火事場の馬鹿力ね。私の場合、火災現場にしちゃうんだけど。


 草原が焼け野原。先生が説明しながら慌てて消火している。なんだか申し訳ないわ。


「今度からもっと荒れた土地でやらないと危険ですね。景観も損なわれますし。上級者コースですよアミシア」


「やった。頑張ります。先生、できれば今からやりませんか。もう私、時間がないんです」


「いいわよ。アミシア、でも無理しないでね?」


「はーい」


 明日はピアノのレッスン。明後日はダンス。もう舞踏会で何か起きても全て対処してみせる。クリスティーヌが欲しいのは王宮なんだから。


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