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 数週間が経った。コラリーとフルールに頼んだ用事も順調に進んでいる。新聞に日食の日時が記載された。やっぱり日付に間違いはない。天文学師が不吉だとか記事に書いているけど、私にとっては不吉どころじゃない。月日が経つのは早いわ。私がギロチンにかけられて処刑された日が目前に迫っている。何も心配することはないわ。私を取り巻く環境は大きく変わっている。


もう以前の私はいないのよ。階段でクリスティーヌを突き落とすようなこともしていない。あれは、お母さまの形見の首飾りを取り返したくて手を伸ばした拍子に、クリスティーヌ自らがわざと階段を落ちたことによる冤罪よ。今回はあんな取り戻し方はしない。


 夕食のときに私はトパーズの首飾りをした。とても目立つもの、お父さまが質問しないはずがない。


「アミシア、今日は着飾って美しいな。なにかいいことでもあったのか?」


 金遣いが荒いとはもう言われなくなった今だからこそできる、贅沢。


「ええ。宝石商が私にプレゼントして下さったの。似合うかしら」


「おお、よく似合ってるよ」


「でもねお父さま。今は誕生石を身に着けるのが流行っているらしいの。私の誕生石はルビーなの。それで、ルビーの首飾りを注文したかったんだけどね。でも、私にはどうしてもルビーを買う気になれなくて。お父さまなら分かるでしょう?」


「母さんのか」


 お父さまははじめてお母さまのルビーの首飾りのことを口にした。そして、それを今所持しているクリスティーヌに冷ややかな視線を送る。クリスティーヌが冷や汗をかいている。


「購入をためらっていると、宝石商が店で一番いいトパーズをくれたんです。クリスティーヌ。あなたの誕生石はトパーズなんでしょう? あなたも誕生石の宝石を持っているならつけた方がいいわよ? 貴族の間で大流行しているから」


 クリスティーヌがまさかって顔している。お父さまが暗い顔をする。


「ああ、お父さまごめんなさい。私ったら。ねえ、クリスティーヌ。お父さまがいないときに話しましょうか。私のトパーズをあげるわ」


「首飾りをですか? 私のルビーの首飾りと交換したいってことですか? お姉さま」


 あらあら。私は首飾りなんて一言も言ってないのに。素直な子ね?


「そんなこと一言も言ってないわよ。二人で着飾りましょう?」


 姉妹で逆の誕生石を身に着けて滑稽だと一緒に笑われる? 嫌でしょうね。それか嘘をつく? クリスティーヌなら誕生日を偽ってでもルビーの首飾りを身に着けるでしょうね? この挑発。あんたは絶対乗ってくる! 


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