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遊園地2

「なあ、朔。俺ら何やってるんだろうな」


ゲームコーナーで1時間ほど時間を潰したあとは、見つけたジェットコースターに適当に乗っていた。


二人ともジェットコースターは好きだが全く恐がらないので面白味が無い。


「4、5人いるならまだしも男二人で遊園地っていうのはね。そろそろ光に電話してみたらどう?」


「おう、そうするか」


スマートフォンを取り出し、光に電話をかける。

岳は相槌だけを繰り返して電話を切った。


「昼食った後に合流しようだってよ。どっかで適当に飯食おうぜ」


時計を見ると既に12時半を回っていた。なんだかんでいって2時間以上は遊んでいたようだ。


フードコートで不味くも美味くもないカレーを二人で食べていると、岳の手が止まりスプーンを置いた。


「おまえ潮となんかあったのか?」


「え?なんで」


「潮が目を合わせないようにしてたからな。それにお前の様子も変だったしな」


やはり岳も潮の様子が変だったことは気づいていたか。岳が気づいてたと言うことは当然光も気づいているだろう。

だからこそ光は潮の話を聞くために二人きりになったのだと思う。


「詳しくは言えないけど潮に言わないといけないことがあって、それで緊張してたんだ。潮がなんでそわそわしているのかはわからない」


僕は潮に朔夜と同一人物だとばらすので緊張していた。

潮の様子がおかしいのは、朔夜の時に潮から積極的になるという話を聞いていたのでそのせいかと思ったが恐らく違う。潮の表情は緊張よりも困惑という感じだった。


「ついに告白か?」


僕が真面目に返したにも関わらず岳は驚くほど筋違いなことを言ってきた。


「いや、ついにって」


「だってお前らどうみても両思いだろ」


「え、そう見えるの?」


僕が潮のことを気になったのはアルバイトを初めてからだ。

そして、潮が僕のことを好きだと知ったのもアルバイト先で聞いて初めて知った。

それなのになんで岳は気づいてるんだ。


「何で他人事なんだよ。おれもさっさとくっついてほしいから応援してるぞ」


「なんで?関係ないじゃん」


「関係ないことはねーよ。他の奴にお前のこと紹介しろとか、仲取り持てとか結構言われててうざかったからな」


「そんな話初めて聞いたんだけど」


僕の耳には全く入っていない。

朔夜状態の時に潮から聞いた話は本当だったのか。


「やんわりと断ってたからな」


「だから今までモテなかったのか」


僕に彼女ができない理由は岳だったのか。


「いや、俺のせいにすんな。お前のことを紹介してほしいって言ってた奴は人の悪口ばっかり言うやつだったから全部食い止めてたんだよ。そいつらは光の悪口も言っていたしな。そんな奴をダチの彼女にしたいとは思わないだろ?」


「確かにそうかも。僕も岳と光が付き合った時は安心したし」


岳と光が良いやつなのは長い付き合いで知っていたし、二人の親友が変な奴と付き合わなくて良かったと思った。


「だろ、その点潮ならいいだろ?ちょっと恐いところもありそうだけど基本的には良い奴だしな」


僕も薄々感じていたが岳の目から見ても潮は恐いところがあるようだ。


「確かに潮は恐いところもあるけど性格良いよね。いや、そもそも言いたいのは告白じゃない」


「告白じゃないならなんだよ?」


「ごめん、それは言えない」


「まあ、いいけどな。結構重要な話っぽいから深入りはしねーよ。最終的には付き合ってほしいけどな」


「ありがとう」


「おう。合流したらどっかのタイミングで二人きりにしてやるよ。俺も光と二人でデートしたいしな」


岳はこういう時に本当に空気が読める。

岳がモテるのは顔が良いだけじゃないと言うことがよくわかる。


カレーを食べ終わり待ち合わせ場所で待っていると光と潮が来た。


「お待たせ。そっちは男二人で何やってたの?」


「ゲーセンとジェットコースター」


「うわ、微妙」


微妙なのは僕たちが一番知っている。


「男二人で遊園地にいたらそのくらいしかできねえよ」


「でしょうね。じゃあ、こっからはまた別行動で」


「は?」


また、別行動?それならば何のために集まったのだろう。


「岳、行こ。沙羅、あとは頑張ってね」


「うん、ありがとね。光ちゃん」


どうやら今度の別行動は光と岳、僕と潮で別れるらしい。岳に何も言わせず引きずっていってしまった。


光は岳よりもストレートに僕と潮を二人にしてくれたようだ。

本当にお似合いと言うか似た者同士だな。


「絶叫系いかない?でも、穂高君と乗ったんだよね」


「いや、僕も絶叫系好きだし行こう。岳と乗ってもつまんなかったし」


潮と急に二人きりになってしまったが、話しかけてくれたおかげで自然と話すことができた。


「そっかじゃあ行こっか。光ちゃんが苦手みたいだったからこっちは全然乗ってなかったの」


そういえば潮は、絶叫系が好きだと言っていた。

光と二人の時もずっと乗りたかったのだろう。


それから3時間ほどジェットコースターや上下に動く乗り物などあらゆる絶叫系の乗り物を乗り尽くした。


「潮、ちょっと休憩しても良い?」


「ごめんきつかった?」


いくら僕が絶叫系が得意でも飯を食ったあと3時間近くぶっ通しで乗るのはきつかったようだ。


「いや、大丈夫。でもちょっと休憩したいから観覧車とか乗らない?」


「うん、そうしようか」


ジェットコースターは待ち時間もあまりなかったし、それほど話せなかった。観覧車なら誰にも聞かれずに少しの間だがゆっくりと話せる。


今日の朝からここでいうと決心していた。

観覧車のドアが閉まり完全に二人きりになった。言うなら今しかない。


「潮、実は……」

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