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狼の瞳にうつる世界(仮修正版)  作者: 蒼鈴六花
2章 子狼の誕生
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魔道具の思い

3ヶ月ぶりくらいの投稿……久しぶりです。


ちょっと雰囲気がほっこりスローライフみたいになったような気がします。

こっちはシリアス、ほっこりの方はギャグっぽくしたいんですけど、久しぶりに書いたせいかうまく書けないです……


とある岩山の洞窟に住む狼、フェイの朝は早い。


朝日が昇る少し前に起きるフェイは、まず自分のお腹を枕にして寝ている子供達を起こさないようにそっと魔法で浮かして抜け出す。


ちなみに最近はセリスも人型で毎日子供達と同じように寝ている。

セリスを起こさないように浮かすのは少し難しいが、静かに浮かしているとセリスの目がぱちりと開いた。


「おはようございますマスター」


「おはよう」


起こしてしまったようだ。


「どこに行こうとしていたのですか?毎日朝早くに出かけているようですが」


バレバレだった。


「散歩」


毎日の日課、趣味と言って良い。

散歩と言っても走るからランニングのような気もするが気持ち的には散歩だ。


「散歩?こんな朝早くから毎日散歩していたんですか?」


「朝の空気は、良い」


朝は空気が澄んでいて、走ると凄く気持ちが良いのだ。

俺は朝日が出る前に子供達をふわりと下ろし、洞窟の外へと向かおうとした。


「待ってください」


セリスに呼び止められ振り向く。


「私もついて行っちゃだめ……ですか?」


スコールとハティをセリスに頼もうと思ったのだが、セリスが着いて来たいのならスコール達をどうするか……


そう考えているとがっくりとした感じのセリスがやっぱりだめですか?と聞く。


「だめじゃない。スコールとハティの事、考えていた」


「あ……」


いつもはこういう事に気がつくセリスだが、今回は気づかなかった様だ。

どうしようと慌て始める。


「落ち着け。眠りの魔法をかけて見水晶を置いていく」


「それなら安心ですね」


ほっとしたような表情のセリス。


見水晶とは、簡単に言えば全方位監視カメラみたいなもの。音もわかる優れもの。

それと見水晶同士を一回魔力でつなげればテレビ電話みたいにも使える魔道具。


俺は子供達に眠りの魔法をかける。これで帰ってくるまで起きない。

気温は一定の暖かさが残るように別の魔道具を使う。

そして最後に見水晶を置く。


「これで散歩に行けますね」


「ああ」


セリスと供に洞窟の入り口まで行くと、丁度朝日が出てくる所だった。


「うわぁ……綺麗ですね……私、初めて見ました」


そういえばセリスは朝日を見るのは初めてだったのか。

俺は毎日見ているから気付かなかった。


「早起きと言うのは良いものなんですね」


嬉しそうに笑うセリス。

それを見てから俺はそっと伏せてセリスが乗りやすいようにする。


「空から見た方が、綺麗だ」


「本当ですか!見たいです!」


セリスを乗せ俺は空に走りだす。


「良いと言うまで、目を瞑ってろ」


「はい」


少しずつ見えてくる景色を見るのも良いだろうが、最初はこうした方が良いと思う。

セリスが落ちないように気をつけながら、それでもスピードはやや速く。


朝の少し冷たくて澄んだ空気を受けながら駆け上る。


地平線が見える位置まで来てからセリスに声をかける。


「もう、目を開けても良い」


そう言うと、セリスはゆっくり目を開いた。


「……」


そこに広がっていたのは、森を挟むようにある岩山やいつも行く草原、普段良く行く所が一望できた。


セリスはこの景色を見たことが何回かあるが、早朝だとまた変わって見える。


ぼーっとその光景を見続けるセリス。

俺もセリスと同じ方向を向き、景色を眺めた。


早朝の風を感じながら。







洞窟入り口。


ふわりと洞窟の入り口に着地してセリスに降りてもらおうと伏せたのだが、セリスはぎゅっと毛をつかんで抱きつくように背中に乗ったまま降りない。

どうしたのかと顔を上げる。


「マスター」


セリスが顔を見せないようにしながら言う。


「私は今とっても幸せです」


唐突にそう言い始めた。


「ですがそれは、魔道具としての幸せではありません」


俺は黙って聞く事にした。


「魔道具とは文字通り道具です。使われる事こそ魔道具の幸せでしょう」


……


「でも、私は使われるのは嫌です。だめな魔道具ですよね」


……


「マスター」


声がだんだん震えたものになっていく。


「私はどうすればいいでしょうか?道具としての役目を果さず、マスターのそばにいる事を望む私は道具として壊れています」


毛をぎゅっと握り締め、セリスは叫んだ。


「私は……!生物として生きたいです!!皆と同じように!マスターと家族でいたいんです!お父さんって呼びたいんです……!」


手の力が急に弱くなる。セリスは震えながら声を絞り出すように出す。


「だめ……ですか?」


そうセリスが言った時、風が吹いた。

ふわりとセリスの体が浮いたと思ったら風は急に強くなり、セリスは目をあけていられなくなる。


風が止まった途端、セリスを誰かが抱きしめた。


「マス、ター?」


フェイは人型になってセリスを抱きしめていた。


「いい、好きに生きて」


「!」


少なすぎるフェイの言葉。

でも、何が言いたいか元々その為に作られたセリスにはしっかり伝わる。


「魔道具である事がセリスにとって重みなら、変えてやる」


すっとフェイはセリスの頭を撫でる。


「娘の頼み、だからな」


「ッ!!マス、ター……!」


セリスの目から涙がこぼれる。


「すまなかった。いままで、気付かなくて」


フェイはセリスが落ち着くまで抱きしめ続けた。












マスター、いえ、お父さん。私は幸せですよ。




賑やかな精霊やドラゴンの皆。


ちょっと手のかかるやんちゃな弟達。


そして……


不器用だけど優しいお父さん。




そんな暖かい皆と一緒にいられる。


魔道具ではなく〝人〟として。


皆と同じように心と魂を持って。


だから、とっても幸せです。






ちょっと唐突な感じが……心理描写が……無理やり感が……

文章の修正課題が増える一方です。


ほんとはフェイの1日を書くつもりがセリスの話になっちゃいました。

書いてるうちに思わぬ方向に進んでしまって。


なんかぐだぐだと後書きが続きそうなのでこの辺で、誤字脱字・感想アドバイス等お待ちしております。


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