巣立ち
すみません。また話が飛びました…繋ぎまで持っていくのが難しいです。
あと…話が短いです。
上級魔法を教えてから150年経った。
弟子達とは出会ってからは400年になる。
時が経つのが早いと思うが、400年……自分の時間感覚は完全に変わってしまっているようだ。
二人の弟子は、明日巣立ちする予定である。
そのために必要なことは、最低限は教えた。準備もしている。だが……
<「はぁーーーーー」>
二人同時にため息つをいて、落ち込んでいた。
もう二人の周りに黒いもやが漂うくらい落ち込んでいた。
「……」
明日は巣立ちだというのに、この調子でほんとに大丈夫なんだろうか?
セリスは、
『二人とも、明日は巣立ちなんですよ?なのにそんなあからさまに落ち込んで』
「でも、セリス……」
『しばらくは無理でも今生の別れではないのですから、ここで忍耐と言うものを覚えるべきです』
<でも、師匠と寝るのは今日で最後だろ?あのふかふかで寝るのが最後だなんて……くっ!!>
「それが一番辛いですね……あの寝心地を再現するのは不可能そうですし、二度とあれで眠れないのは……」
『私なんて寝る必要ないし、感覚がないからそのふかふかを味わえないのですよ……それに比べたら……!』
「……」
なにやら必死に議論を始めた三人に、
(なんの話をしているんだ?)
と首を傾げつつ、仲が良いなとも思う。
この光景を見るのも明日以降、しばらくなくなる。
そう思うと寂しい。
(これからまた一人の生活に戻るのか……セリスがいるから一人ではないか)
(二人が巣立った後どうするかは大体考えてはいるが、ここもまた静かになるだろうな)
考えに耽っているとドンッと衝撃がくる。
下を見るとシェリトゥスとレイが引っ付いていた。
「……」
「師匠はずっと私達の師匠ですからね…!」
<ずっとだぞ!絶対な!>
二人を撫でてやりたいが、狼の身体では撫でられない。変わりに尻尾で二人を抱くように包んだ。
しばらくしてから寝ることにした。
二人は毛をぎゅっと握って寝た。眠たくないようだった。
けど明日は巣立ちの日。眠らなかったら明日は辛いことになるだろう。
(安息の風よ、彼の者達に眠りを、クイエースセレ・ソムヌス)
二人に眠りの魔法をかける。
ふわりと風が吹いたとたん二人は眠ってしまった。
『二人とも良く寝ていますね』
「……」
セリスは二人の寝顔を見ながら言う。
『本当は巣立つにはまだ早いように思います。……この子達は身体が急成長したようですし、精神もまだ未熟ですから……でももう巣立たなくてはいけない。ですよねマスター』
二人は調律者としての使命があるせいか、身体が急成長していることは知っていた。普通の生物から見たらすごく成長が遅いように見えるが、二人は少し特殊だった。
精神の方も身体の成長に追いつくようにとも思ったが、それはやめた。
その性で、身体の年齢より精神年齢は低いが……それでも二人にはまっすぐ育って欲しかったから。
「ああ……これ以上は」
『限界ぎりぎりまで、それが明日ですか……』
「変わることは……できない」
『でも手伝うことはできる。それに巣立つといってもこの子達にはまだまだマスターが必要ですよ』
「……」
『この子達には、支えてくれる人が必要ですから。この子達にとってマスターは師匠でもあり、親でもあります』
「そうだな」
『もちろん私も手伝いますよ。この子達が心配ですし』
「ありがとう……セリス」
『私は自分のやりたいようにしてるのですから、礼は不要です』
話も一段落ついて、
久しぶりに長くセリスと二人だけで話したが、作った当初に比べると感情が豊かになったと思う。
「お前も成長……したな」
『マスターとこの子達のおかげです。私もまだまだ成長しますよ』
「そうか」
かすかに微笑む。素直にセリスの成長は嬉しい。
自分の作ったものは全て愛着があるが、セリスはまた別だと思う。意思があってしゃべるからだろうか?
そう考えつつ、
「そろそろ……寝ろ」
『はい、ではスリープモードに移行します。おやすみなさいマスター』
「ああ……おやすみ」
すうっとセリスが消えていく。
セリス専用の空間に帰ったようだ。
俺は子供達を見てから寝た。
そして最後の夜は過ぎてゆく。
朝。
俺は目が覚めた。
二人はまだ寝ている。
「……」
少し早く起きすぎてしまったようだ。
二人に腹を枕にされているので動けないが、これも今日で最後か……そう思うと寂しいと思う。
セリスは起きているけどなぜか出てこない、なんでだ?
そんなことを思いながら二人を見ていた。
セリス視点
その様子をセリスは自分専用空間から見ていた。
フェイは少し落ち込んでいるのか、耳がいつものようにピンッと立ってない。
そんないつもと違う様子に、マスター……可愛いです。
と思いつつ、
(やはりマスターも、結構落ち込んでますね……)
でも、ここで落ち込んだままになるようなマスターではないですし、私はできる限りサポートにまわるだけです。
セリスは密かにそう決めた。
セリス視点終了。
それから少しして二人は起きた。
二人ともすっかり寝てしまった!とがっくりした。
俺は二人に支度するように促し、しぶしぶ二人は行動する。
昨日のうちに荷物はまとめてあったので、そんなに時間はかからなかった。
二人は無言で洞窟の入り口に行く。
ぐっと堪えているようだ。
そして洞窟入り口にて。
「餞別」
そういって俺の目の前に赤と青の玉を出した。
玉は二人に向かってそれぞれ飛んでいく。
レイは赤、シェリトゥスは青。
『レイのは結界発生、シェリトゥスは特殊空間の魔道具です。どちらも強力で特殊仕様ですよ』
「師匠……」
<……>
不安と悲しさで泣きそうな表情の二人、何か言わねばと思うのに言葉がでない……気の利いた言葉は思いつかない。でもしゃべらなければ……
「お前達は……巣立つ……が」
二人は黙って聞いている。
「ここは……お前達の家……だ」
セリスは無言だ。ここは俺自身が言わなきゃいけない。
「帰る場所……がある……それを……忘れるな」
言葉が終わったと同時に二人に抱きつかれて泣かれた。
俺は黙って二人を見る。
ほんとに良い言葉が思いつかなかった……
そんな様子をセリスは見て。
(ほんとに不器用ですね。マスター)
心の中で微笑む。
二人は泣き終わると俺から離れて、涙を拭ってから、
「師匠」
<俺達もう行くな>
「ああ」
二人は覚悟を決めた顔をしていた。不安はなくなったらしい。
セリスもそれを見て、
『二人とも立派ですよ』
その言葉に若干照れつつ、二人の身体がふわりと浮き始める。
そして俺は……
「いってらっしゃい」
二人はその言葉に少し驚いてからにっこり笑って、
<「行ってきます!!」>
この話を書いていて、文才ない…とすごく思いました。セリフとか思いつかない…
物語がある程度進んだら大幅改造を本気でしそうです。
…とりあえず頑張ります。
次からは新章突入です。やっと次に進めます
では、誤字・脱字・感想・アドバイス等お待ちしております。




