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狼の瞳にうつる世界(仮修正版)  作者: 蒼鈴六花
1章 二人の弟子
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遠見の術

何とか投稿。

俺達は、いつものように草原に来ていた。


「今日はどんなことするんですか?」


「遠見の術」


「それなら私、もう使えますよ」


『シェリトゥスの遠見の術は、オリジナルで作ったものですし、まだまだオリジナル魔法を作るには未熟な点が多いです』


「うう……、確かに未熟ですが遠見の術は使えてましたよ?」


「不完全」


『まだ術が不完全なので、あんまり遠くまで見ることができず、遠ければ遠いほど見えづらくなるのでは?だそうです』


「さすが師匠ですね。その通りです。……私の遠見の術では、見えるのは50メートルが限界でしょう」


<あんまし遠くまでは見れないんだな>


「レイはそもそもオリジナルの術を作れないでしょう!難しいんですよ!」


<俺はその代わりオリジナルの技、考えてるからいいんだよ!>


二人はにらみ合いになる。


「そこまで……だ」


「でも師匠!」


<師匠!>


「……」


少しの間、無言の圧力を感じた二人は


<「すみませんでした……」>


二人とも素直で良い子だ。

話を戻そう。


「完全版」


『と言う訳で今日は遠見の術、完全版をやります』


「……」


『まず遠見の術についてですが。これは探知式魔法の一種だとは知っていますよね?』


<いや?知らない>


セリスががくっと傾く。


「レイ」


呆れたようにシェリトゥスが見る。


『まあ、探知式魔法の中でも微妙な所にある魔法ですが、その一種なんです』


<そうなのか>


『探知式魔法に関してはまた後で教えるとのことなので、今日は遠見の術について話します』


「……」


『完成版、遠見の術ですが。完全版で使った場合、力量次第では世界の果てまで見えます』


「世界の果てですか!」


『まあ、相当の力量が必要ですが、二人なら努力すればできるようになるでしょう。調和者にはこの術は使えたほうがいいでしょうし』


「確かにそうですね。いずれマスターして見せます」


<うー、俺はこういうの苦手なんだけどな……>


『レイは攻撃魔法以外、全部に苦手意識を持っていませんか?』


「レイ、私達は攻撃魔法以外に覚えなきゃいけない魔法は多いよ」


「レイ……苦手克服」


皆に言われ、しぶしぶと言った感じで。


<がんばるよ…>


小さな声で答えたレイだった。




『では、気を取り直して、遠見の術についてですが、シェリトゥスは自分の作ったオリジナルと言っても使ったことがあるから感覚は分かりますね?』


「はい。大丈夫です」


「実演」


『レイはまだ良く分かりづらいと思いますから、マスターが実演してくれるそうです』


「え?でも遠見の術を実演っていっても、私達には見えないんじゃ?」


「大丈夫」


『遠見の術を他人にも見せる方法は色々あります。その一つを実演するんです』


「…?」


『見たい景色はあるか?だそうです』


<久しぶりに海が見たい!>


「私も海で良いです」


「分かった」


俺は少し間をおいて呪文を唱える。


「フォス・ブロスタ・ヴェルト・ヴィシウス・トートゥス・マクリア・ウィデーレ」


シュンという音とともに、俺の目の前に四角く切り取られたような海の光景が映し出される。


<おおー!海だ!>


「でも、師匠今回変わった呪文を唱えましたね」


「言語」


『様々な言語を使って、呪文にして見たらしいです。あ、いつも通りなら、光よ、我が前に、遠き地の光景を映し出せ、トートゥス・マクリア・ウィデーレ。です』


「ぶっつけ本番で試した呪文でもできるなんて……」


「……」


『可能だとは知っていたらしいですよ。今までやらなかったからちょうど良い機会だし、試そうと思ったらしいです』


「失敗してたらどうしたんですか?」


「無詠唱」


『そのときはその時で、無詠唱でもやる。だそうです』


「はぁ、なんだかって感じです。師匠にできないことってあるんでしょうか?」


ため息をついて複雑な顔になるシェリトゥス。


<ないんじゃねえの?>


とシェリトゥスを見たレイが言う。


『まあ、マスターですから、無さそうな気はします』


「万能じゃ……ない」


(俺にだってできないことはあるが……)


そう思いつつ周りをみると、全員こちらに向いて、


『なんか、説得力ないです。マスター』


「同感です」


<だな>


「……」


(俺は全知全能の神とかじゃないから、そんな何でもできるなんてことは無いんだが)




そして数分後、


『さあ、説明に戻りましょう』


「はい」


<はーい>


「……」


『ほら、マスター。機嫌直してください』


「普通……だ」


「分かりません」


<まったくな>


『私にすら表情を読ませないなんて、なんか無表情のレベル上がっていませんか?マスター』


「上がって……ない」


(上がっていたら困る……と思う)


『むむむ、これはマスターの表情を読み取るレベルを上げねばです』


「私もレベルを上げます!」


<俺も!いつか見切れるようになる!>


「……」


なんだか複雑な気持ちになった……




さらに数分後、


『今度こそ戻しますよー』


<「はーい」>


「…」


『では、普通の遠見の術の呪文を言いますよ。“我が眼に遥か彼方の光景を映し出さん、マクリア・ウィデーレ”です』


「感覚」


『呪文を唱えた後は遠くを見るように集中してくださいね。最初は難しいですが、感覚に慣れてください』


「私は何度か使ったから大丈夫です」


<俺は、まずはやって見る!>


そして二人は集中して、


<「我が眼に遥か彼方の光景を映し出さん、マクリア・ウィデーレ!!」>


呪文を唱え、ジーッと遠くを見ようとしている。


<なんだか……、気持ち悪く?>


とすぐにレイが目を回し倒れる。

シェリトゥスは術を解除し、


「やっぱりこうなりましたか……」


『千里眼酔い?みたいなものでしょうか』


「シェリトゥス」


『やっぱりって、あの時倒れていたのは、今のレイのようになったからか?だそうです』


「うっ!……そうですよ。師匠に隠れて作ってみた遠見の術を使ったら、ああなって倒れてしまったんです」


過去に一度修行がお休みの自由行動の日に、シェリトゥスは草原で倒れていたことがあった。そのときは目が覚めた後、何も言わなかったので、危ないことはするなと注意して終わったのだが。


「……」


『まあ、遠見の術は危険ではないですが、新しく作った術はマスターに見せてからやったほうが良いです。まだ危険ですしね』


「ほんとはちゃんと完成してから見せたい所ですが……仕方ありませんね」


と、少し落ち込むシェリトゥス。


『とりあえず、レイが起きるまで昼寝でもしてはどうでしょうか。今度はマスターに魔法で酔いにくくしてもらってから練習をしましょう』


「そうですね。またレイが倒れますしね」


「……」


そうして俺達は昼寝をした。


その後、起きたレイが遠見の術を練習するのを少し嫌がったが、酔いにくくする魔法のことを話すと納得してくれた。

まあ、また酔ったが…







魔法を考えるのは難しいです。


また投稿が遅れるやも


では誤字・脱字・感想・アドバイス等お待ちしております。

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