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《Blade Online》  作者: 夜之兎/羽咲うさぎ
―Free Life―
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 前から突っ込んでくる二つの黄色い閃光を、プチトマトとマウンテンが盾で防ぐ。閃光は盾にぶつかり、光を霧散させる。二人は僅かに後ろに下がったが押し切られる事無く、攻撃を受けきった。その間に、二人の横を通り、俺と栞は突っ込んできた物のすぐ近くまで入り込んだ。

 閃光の正体は俺が何度もお世話になったホーンラビット亜種だ。黄色の毛皮と額から伸びた角が懐かしい。

 がら空きになったホーンラビット亜種の横っ腹に向かって《フォーススラッシュ》を発動する。青い光を纏った太刀が毛皮に覆われた肉を四度斬り裂く。突然の攻撃にホーンラビット亜種は悲鳴を上げ、注意を俺に向けた。その瞬間、今まで角を盾で防いでいたプチトマトが動いた。片手剣がホーンラビット亜種の首に突き刺さる。ホーンラビット亜種のHPは0になり、光の粒となって消滅していった。

 栞の方はどうだろうと視線を向けると、既に倒していたようでマウンテンと何か話をしていた。俺の視線に気付くと、栞は「ふふん」と勝ち誇った顔をした後、またマウンテンの方に視線を向けた。


「流石ですね。とても動きが速かったです」


 俺が栞の方を向いていると、プチトマトが話し掛けてきた。興奮しているのか息が切れている。「そっちも止めの手際が良かったよ」などと少し会話した後、俺が指示した方向にパーティー全体が進む。このエリアの地形を一番理解しているのが俺なので、先頭は俺が歩いている。その後ろには前からの攻撃をいつでも防げるようにプチトマトとマウンテンがいて、次に栞。ドルーア、七海、林檎、エッグワンは真ん中で、左右からの攻撃を警戒している。殿を務めているのはカタナとその他『ラケット』の皆さんだ。パーティーとしてこの並び方はあまり良いとは思えないが、個々の実力が高いために十分これでも進んでいける。頼りないと思っていた『ラケット』のメンバーも思ったよりいい動きが出来ている。攻撃力やスピードなどでは俺やカタナには及ばないが、その場に合わせた適切な行動で補えている。

 一人でこの森を移動していた時は倒せそうな敵を不意打ちで倒し、無理そうなら即座に逃げていたが、このパーティーなら襲ってくるモンスターに問題なく対処出来ている。やっぱりパーティーって楽だな。負担が大幅に減るし、サポートして貰えるっていうのは大きい。

 

「確か、こっちを真っ直ぐだったと思う」


 ある程度進んだ地点で一旦動きを止め、HPやスタミナ、武器の点検などをしてから、これからの通路を全員に説明する。確か、と曖昧になるような事を言ってしまったのは実際、ボスの位置が曖昧だからだ。いやぁ……そういえばボスの部屋まで辿りつけたのはキラービーの集団に追い掛け回されたからだった。まあでも、キラービーに襲われた地点は覚えているし、確か洞窟の真逆の方向に進んだ辺にあった筈だ。現在地点もハッキリしているし、大丈夫だと思う。

 パーティー全体の様子を見たところ『ラケット』のメンバーは俺達の中へ溶け込めていた。後ろのメンバーはカタナと仲良く話しているし、プチトマトやマウンテンは俺や栞と話している。話しているといっても周囲を警戒しながらだけどな。……栞の方は俺と話す気はないみたいで視線をあわせてくれないが。でも、今はこれでいい。最近は何だかんだいってコミュニケーションが取れているし、まだ許して貰った訳じゃないんだ。前みたいに話したいなんて言うのはおこがましいってもんだ。

 

 

 休憩を終えた後も、順調に目的地に向かって進んでいる。アーマードスコーピオンが背後から襲撃してきた時はアストロが槍で牽制し、その隙をついてカズヤが大剣で頭を攻撃。更にその間にカタナが攻撃を連続で叩きこみ、あっという間に倒してしまった。アストロの槍では対してダメージを食らわせられてはいなかったが、カズヤとカタナの攻撃はあの固い殻を超えてダメージを与えていた。あの時の俺は殻の隙間から攻撃するしかなかったなあ、と少し懐かしく思った。

 横から突撃してきた針鼠のように全身を鉄の針で覆われた大きた猪、ニードルボアの集団もドルーア達が連携してあっという間に倒してしまった。エッグワンも思った以上に強かったな。

 あとは宿敵ブラッディベアーと再び遭遇したり、鋭く長い嘴を持った巨大な鳥、ピアースとぶつかったりしたが、誰も大きなダメージを負う事はなかった。

 しかし、順調に進めてい入るが、ひとつさっきから嫌な感じがしている。まるで誰かに見られているような、そんな気配がするのだ。それに栞も気付いているみたいだった。さて……どう対処するべきだろうか。栞に相談するのもなんか嫌だしなあ……。一旦止まって全員で話し合いをしようか。

 そう思った矢先、後ろからカタナの大声が聞こえてきた。


「さっきからチョロチョロ着いてきてるのは誰かな? そろそろ我慢の限界なんだけど、出てきてくれない?」


 その言葉に全員が動きを止め、後ろを振り返った。ドルーアや林檎達も気付いていたようで、驚いた様子もなく後ろを睨みつけている。

 さて……どうでるか。

 しばらくこちらが動きを止めていると、相手も観念したのか少し後ろの木々の間からゾロゾロと姿を表した。黒い鎧を装備した男達が何人もいる。やはり《攻略連合》の連中だったか。


「流石にこの距離でこの人数じゃ気付かれるか」


 《攻略連合》は隠れるのを止め、全員が俺達の方に歩いてきた。


「どーも。あー、俺達は《攻略連合》第二部隊。んで俺は第二部隊隊長センズキっていう」


 俺達の後を付けていたのは第二部隊か。確かアオギリの話では第一部隊も《ブラッディフォレスト》の中にいるんだったな。クソ、面倒くさい。


「俺達は攻略する為に集まったなんでもないただのパーティだ。俺はリーダーのアカツキ」

「おいおい、冗談キツイぜ。ただのパーティにはとても見えねえよ。《照らす光》んとこの嬢ちゃんに幹部の《雷刃》《水槍》《風姫》、んで《嵐帝》にイベント三位入賞のあんた。こんだけんの実力者がパーティ組むなんて驚きだぜ。アオギリの奴から連絡きた時はビックリしたぜ全く」

「元、《嵐帝》だよ」

「……それで、なんで俺達の後をつけていたんだ?」



 そう聞くと、センズキはおどけたように笑う。


「あぁ、わりぃわりぃ。あまりに迷いなくズンズン進んでくんでよ、こりゃ道を知ってるなって思ってな」

「……それで?」

「それで、悪いんだけどボスの場所を俺達に教えて、引いてはくれねえかな」

「それは出来ない相談だな」

「んー。どうしたもんかねえ……。まあいいや。第一部隊の奴らも今さっき呼んだし、もうすぐここに来るだろ。それから話を付けるか」


 こいつ……。人数に物を言わせて俺らが断れなくするつもりか。


「どうしますか? このままこいつらの言うこと聞くわけにも行きませんし……」


 ドルーアが小声で話し掛けてきた。


「……この《攻略連合》ってやつらはどれくらいの実力を持ってるんだ?」

「この人達は《イベント》に出たりしてませんから、あまり個人の実力は分かりませんが……エリアで戦ってるのを見た限りじゃ、第二部隊も第一部隊もそれなりの実力者揃いです。第二部隊だけならとにかく、第一部隊に合流されたら俺達だけじゃキツイかもしれません」


 クソ……。どうする。こいつらはアオギリと同じで話が通じなさそうだ。このまま待っても状況は悪くなる一方か? しかし……。


「やれやれ全く。何を悩む事があるのさアカツキ君。こんな面倒な連中をまともに相手する事なんかないよ」

「カタナ……」

「邪魔をするなら、全員叩き潰していこうぜ」


 カタナはそう言うと、俺が止める間もなくセンズキに向かって突っ込んでいった。背中から太刀を抜き、センズキを斬り付ける。流石に第二部隊隊長はアオギリのように弱くは無かった。突然のカタナの攻撃に反応し、双剣を素早く抜いて太刀を受け止めた。


「うひゃ、怖いねえ」


 センズキはおどけたように言うと、カタナを双剣で押し返した。それを見た他の男達も、武器を俺達に向けて戦闘態勢を取った。

 これはもう、戦うしかないのか?

 

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― 新着の感想 ―
ハチミツとかアイテムがあればキラービーを誘導出来そうだ。まあ、MPKだけど。
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