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〜愛と魔法使いと吸血鬼〜②

四人はアッシュハート家に戻り夕食を一緒にすることになった


 アッシュハート家のテーブルではエリィの両親が若干(じゃっかん)引きつった面持(おもも)ちで座っており

 あとからエリィの姉のセーラが自室から出てくると不機嫌な様子でテーブルについた

 

 一番上のエマはすでに嫁いでおりセーラはまだ婚約する相手すら決まっていないらしい

 貴族にしては少し後れているらしくその事には触れないようにとエリィに言われている

 もちろんトーマにではなく他二名のほうに特に注意していた


「あらエリィ帰ってたのね、無事で何より……で?そちらの()えない方と獣人族は何故同じテーブルに?……それとそこの少女はウワサの吸血鬼さんね」

 セーラが冷めた目でトーマ達を見て言う

  

「――!」


「セーラ!なんて失礼なことを!」

 ベラが椅子から立ち上がり慌てていると、エリィもトーマ達やビビに一人ずつに頭を下げている

 

 もちろんトーマ達は大丈夫ですよと笑顔で答えて空気を壊さないようにする


「だってお母様達も先程言ってたじゃないですか、貴族でもない素性の知れない男と獣人を連れて来るなんてって!挙げ句の果てには街に急に現れた怪しい女もいるし!」


「セーラっ!」


 セーラのあまりの傍若無人(ぼうじゃくぶじん)さにさすがのノルも声を荒げると食事の場は静まり返る

 

そこで開口したのはビビだった


「よいよい、この娘がイラつくのも無理もない、妹が優秀で親の愛もまともに受けてないのであろう?しかも冴えないとはいえその妹は男を連れて来た、イラつかないわけがない」

 

 ――オレってそんなに冴えないの……二回目――

 

 落ち込んでいるトーマを隣のコーラルが心中(しんちゅう)察するように肩に手を置く


「なっ何ですって!わたしがこんな男を見て嫉妬なんてするわけが……」

「セーラ姉さん!トーマくんはとても素敵な人です!こんな男とかではありません!」

 エリィが反論する


――エリィ……素敵って……妄想していい?ダメか……今そんな空気じゃない……――

 

「はぁぁ?こんな貴族でもない男が素敵?……聞かれましたかお父様、お母様……エリィはこういう男を選ぶそうですよ!」

 

「「……」」

 ノルとベラは黙り込んだ


「これよエリィ!あなたがどれだけ素敵な男だと言っても……連れて来た人が貴族じゃなかったら駄目なのよ!」

セーラの目が潤んでいる


「あなたがどれだけ大切な友人だって言っても獣人族じゃいけないのよ!」

潤んだ瞳から涙が落ちる


「客人を呼んでも身分がはっきりしてないと体裁(ていさい)を気にするのよ!」

涙が止まらない


「わたしもコレでダメだったのよ!ふふっ……どんなに好きでもねぇ…………この二人は認めないわよ!体裁と権力しか見えてないんだから!…………うっうっ……うっ……」

 

「セーラ姉さん……そうだったんですね……姉さんにはそのような方が……」


 セーラは興奮して立ち上がったまま子供のように泣いている

 そんなセーラをそっと優しく抱きしめて一緒にエリィは泣いた

 

 ノルとベラも立ち上がっていたが居心地悪そうに椅子に座り(うつむ)いた

 

 セーラには愛する人がいた

街の商人だったが気も合いよく遊びに出掛けたりして気持ちを深めていった

 いつしか二人は付き合うようになりお互いの間だけだが結婚の約束をした

 だがセーラの両親がそれを許さなかった、街の商人と結婚させるわけにはいかないと

 貴族との縁談を次々と持ってくる両親に反発するセーラは態度の悪い対応して破談にさせていた


 これによりセーラは今だに婚約する相手もいないのだ

 

「すまなかった……知らなかったとはいえ無粋(ぶすい)であった……申し訳ない」

 ビビも立ち上がり頭を下げる

 

「……うっ……うっ……わたしもごめんなさい……失礼なこと言って……しまって……」

 セーラはビビに謝罪する

 

「お前の気持ちは痛いほど分かる……ビビもそうだった……だからいいんだ……それこそ今、妹と分かり合えるんじゃないか?ここで話しにくいならこの部屋から出て話せばイイ……その想いが本物ならこの家を出ていけばイイ……(とら)われるな!」

 

「「なっ!」」


 ノルとベラが反応し立ち上がるが、エリィとセーラは抱き合ったまま部屋から出ていった

 

トーマとコーラルはビビの言葉に感動して泣いている


 トーマ達二人はエリィの過去を知っているからこそ姉との繋がりのきっかけを作ってくれたビビに感謝しかない


「あなた、人の娘をたぶらかすとは……何て事を……」

  

「ふん、たぶらかしているのはどっちだ!愛を()めるなよ!」

 

「「――!」」

 ノルとベラは何も言い返せず俯き口を閉じた

 

 ――ちょーかっけ〜ビビ――

「ビビりん……グスンッ」


「ビビりんって言うな!」


 結局、食事会は行われなかった

 

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