第98話 破滅する異世界
世界の大部分が死に絶えた頃、勇者パーティーの居場所を感知した。
彼らは何もせずにただそこにいる。
間違いなく俺達の到来を待っていた。
どうやら準備が整ったらしい。
今までと一転して姿を晒すのは、明らかな挑発行為である。
別に無視してもいいが、ちょうど俺達も支度が済んだので会いに行くことにした。
この世界にはもはや無事な地域が存在しない。
どこもかしこも俺達か勇者パーティーが破壊してしまった。
別に個人的な恨みがあったわけではない。
そこにあった命は、ただの経験値として消費されたのだ。
襲ったのは人間の居住エリアだけではない。
モンスターの巣や魔族の要塞、次元の異なる地に暮らす天使や悪魔、堕ちた神々すらも獲物にした。
長大なサイドシナリオを無視して敵も味方もなく蹂躙し、起こり得るはずだったストーリーを破綻させた。
ちなみに魔王は異次元の彼方に封印した。
もちろん俺がやったのだ。
奴が死ぬとゲームクリアになるため、そう簡単には辿り着けない場所に隔離したのである。
おかげで決戦となる現在まで狙われることはなかった。
魔王城は更地になってしまったものの、大した被害ではないだろう。
鬼畜ゲーム『ファンタジック・スリル3』のラスボスである魔王は、強力無比な強さを誇る。
しかし、俺達の殺し合いはシステムの領域外での戦いに達していた。
魔王クラスでさえ力不足なのだ。
たぶん現在の勇者なら真っ向から圧倒してしまうため、隔離措置を取ることに決まった。
だからこの決戦を邪魔する者はいない。
俺達三人と勇者パーティーのどちらかが全滅することで終わりを迎える。
実にシンプルなルールだ。
強ければ生き残り、弱ければそこで死ぬ。
全世界を巻き添えにした殺し合いは、そういう状況に落ち着いた。
俺達は勇者パーティーの待つ地点に到着する。
そこは王都の跡地だった。
現在は草木の一本もない寂しい荒野である。
勇者側の誰かが魔術で消し飛ばしたのだ。
大量虐殺によって集まった経験値はそれなりの量になっただろう。
勇者パーティーはその只中に並んでいた。
全員が薄汚れた格好で返り血に塗れている。
遠目にも分かるほど雰囲気が豹変していた。
殺伐としたものが漂っている。
彼らの間でどんなやり取りがされたのか知らないが、世界最悪の虐殺集団になる覚悟は相当に重かったはずだ。
それを乗り越えて目的だけを見据えた二週間で、一体何を思ったのだろうか。
一つ確かであるのは、ここから死闘が始まることだけだった。




