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厄介者としてパーティーを追放されたので勇者を殺してみた ~【シナリオチャート認識】+【データ改竄】で異世界を謳歌する~  作者: 結城 からく


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第90話 殺戮変動

 長く続いた逃走劇に終わりが訪れた。

 急加速した勇者が、毒を浴びながら刺突を敢行し、博士の胸を貫いたのだ。


 博士は目を見開いて笑顔になる。

 彼は口から血をこぼしながらよろめくと、そのまま屋根の上から落下して俺の視界から姿を消した。


 勇者は聖剣に付いた血を振り払う。

 そこで違和感に気付く。


 聖剣の刃がボロボロになっていた。

 刃こぼれが深刻で、今にも折れそうだ。

 先ほどまでは確かに万全だったが、一瞬で朽ちたのである。


 俺はそんな勇者に向けてマシンガンを乱射した。

 勇者は聖剣ではなく両腕でガードし、射線から外れるように路地へ落下する。

 俺は屋根伝いに追跡して、地上を駆ける勇者を撃ちながら微笑した。


(さすが毒薬博士。ただではやられないってわけか)


 博士は体内に毒を蓄積していた。

 聖剣を腐蝕するための仕掛けである。

 これまでの毒はすべて囮で、すべては聖剣を受けるための誘導だった。

 博士の策略は見事に成功し、勇者の武器は破壊された。


 万能な聖剣が潰れたのは大きい。

 然るべき処置で修復できるものの、少なくとも戦闘中にこなせることではない。

 ここから勇者は徒手格闘を強いられるのだ。


 若干ながら不利を背負った勇者は、次に黒魔導士へと標的を絞っていた。

 聖剣を鞘に収めて、即死魔術を受けながら突進する。


「ちょっとちょっと! 強引な男は嫌われるっすよ!」


 黒魔導士は文句を言いながら退避し、魔術で壁を作りながら距離を稼いだ。

 ところが勇者はいずれも素手で破壊していく。

 多少のダメージはものともせずに接近しようとしていた。


 ここまでの戦い方から察するに、勇者は遠距離用の技能を習得していない。

 白兵戦に特化している。

 カンストを突破した身体能力による力押しと、超絶技巧の剣術が最大の強みなのだろう。


(シンプルだからこそ対策がしづらいパターンだ)


 俺は勇者の頭上から高威力の爆弾を落とす。

 奴は腕の一振りで迎撃してみせた。

 爆破で千切れかけた腕も瞬く間に再生する。

 こちらの攻撃は、お世辞にも効いているとは考えづらかった。


 先ほどから俺が攻撃しても、勇者は睨むばかりで無視している。

 最低限の防御を回避で済ます始末だ。

 ターゲットを絞ることで判断の迷いを消しているようだった。


(あの異常な再生能力をどうにかしないと、妨害もできないな)


 俺はスナイパーライフルを連射しながら考える。


 何発かが勇者の後頭部や背中に命中した。

 血肉が破裂するが、勇者が動きを鈍らせることはない。

 一心不乱に黒魔導士を追いかける姿は、まさしく飢えた獣であった。

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