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厄介者としてパーティーを追放されたので勇者を殺してみた ~【シナリオチャート認識】+【データ改竄】で異世界を謳歌する~  作者: 結城 からく


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第70話 超犯罪者

 俺は黒魔導士のもとに戻ると、デザートを頼む彼女に国王殺害を伝えた。

 最初は驚かれたが、必要なことだと説明すると納得してもらえた。

 物分かりが良いところには感謝しなければならない。


 ただ、残念そうな顔をされたのは、国王の権力を利用できないからだと思う。

 仕方がないので他の国の王を懐柔すると約束したら、黒魔導士はすっかり上機嫌になった。

 これで無関係な国の犠牲が確定したわけだが、生憎と俺の知ったことではない。

 シナリオ的に有利になりそうな国をいずれ乗っ取ろうと思う。


 食後、俺達は国外の辺境都市に移動した。

 それぞれ座標移動とワープの魔術でサクッと到着する。


 一軒の建物の屋上に出現した俺達は大通りで巻き起こる騒乱を眺める。

 渦中にいるのは勇者パーティーだ。

 彼らは住民からの猛攻を防ぎながら懸命に進んでいる。


 その様子を目にした黒魔導士は、愉快そうに笑みを深めた。


「おっ、やってますねぇ。お尋ね者なのに、どうして街にいるんでしょう」


「闇の魔神の弱体化を狙っていたのだろう。この街に手がかりの一つがあるんだ」


「なるほどっす。今更そんなことをしても意味ないのに律儀っすね」


 黒魔導士の言う通りである。

 闇の魔神は既に戦力外というのが俺の認識だった。

 勇者パーティーが進めたイベントのせいで弱体化が始まっているからだ。

 まだそれなりに能力は残っているが、切り札として数えられるほどのスペックではなくなった。


 ようするにこれ以上の弱体化は不要なのだ。

 戦闘になっても勇者達ならば難なく倒せるだろう。

 もはや変身するだけの価値はない。


 もっとも、現在の勇者パーティーは手配レベル10のせいでパニックに陥っている。

 闇の魔神どころではない状況だ。

 彼らもさらなる弱体化は無意味だと判断して、シナリオ進行を放棄するものと思われる。

 この事態では呑気に冒険することもできないのだ。


 勇者パーティーは街から脱出しようとしていた。

 それを阻むようにして、住民達は四方八方から攻撃を加える。

 手配レベル10の犯罪者を殺すと、多額の報酬が支払われるためだ。

 勇者達は残機制なので復帰するが関係なく、殺すたびに報酬が発生する仕組みである。


 だから街の住民は一丸となって力を尽くしていた。

 結局、金の前では英雄でも獲物に成り下がるというわけだ。

 魔王の死よりも、目先の生活が大事なのだろう。


 余談だが、手配レベル10になると各都市に逃走防止の結界が張られる。

 勇者達は魔術によるワープが使えず、簡単には離脱できない仕様になっていた。

 したがって彼らは地道に突破するしかない。

 今度は街に入るたびに乱戦を強いられることになる。


「ほほっ、住民を殺さずにいくつもりみたいっすよ」


「不殺の誓いでも立てているんだろうな」


「難儀っすね。相手からはバンバン狙われてるのに」


 無力化された住民は誰も死んでいない。

 勇者達は一般市民を虐殺する気はないらしい。

 その気になれば殲滅も容易いだろうに、人道的な理由から避けているようだ。


(甘い考えだ。それで生き残れると思っているのか)


 彼らの判断に嘲笑していると、住民の投石が魔術師の側頭部に命中した。

 魔術師が転倒し、そこに住民が集まって彼女を滅多打ちにする。

 魔術師はほんの三秒くらいで肉塊となった。


「あ、死んだ」


「クリティカルヒットだな。運が悪かった」


 そんなことを言っている間に、今度は女戦士の首が飛んだ。

 進路上に仕掛けられたワイヤートラップに引っかかったのである。

 他のメンバーは反応して回避したが、後方の防御を担っていた女戦士だけが対処し損ねた。


 首なしの死体がふらついて崩れ落ちると、住民から拍手喝采が起きる。

 これで二人分の報酬が支払われることが決定した。

 住民の反応を見るに、街全体の功績として山分けするのだろう。


「また死にましたよ」


「油断できないぞ。賢者の蘇生魔術を使われると残機は減らない」


 とは言え、賢者も仲間を気にするだけの余裕がなかった。

 先ほどから常に防御魔術を展開し、削れるたびに新しく発動している。

 ただ、住民の猛攻を前に間に合わなくなりそうだ。


 それを見た黒魔導士は、ビシッと挙手をする。


「あたしも妨害したいっす」


「じゃあ俺達も混ぜてもらおう。先に奴らを殺した方の勝ちだ」


「了解っす」


 俺は狙撃用のライフルを黒魔導士に投げ渡しつつ、同じ型の物を構える。

 そして嗜虐心に駆られながらスコープを覗き込んだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 楽しくなってきましたね、ようやく有利になれた
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