第67話 冤罪パレード
その後、俺は国王と共に城へと戻った。
私室は爆発で崩壊していたが、国王はいたく上機嫌である。
俺から大量の宝石や財宝を前払いで受け取ったからだ。
今後も定期的にプレゼントすると約束したのも大きいだろう。
これで国王の財源は無限に等しくなった。
舞い上がってしまうのも無理はないし、部屋の崩壊くらい見逃すのも当然であった。
国王と別れた俺は、次に黒魔導士のもとへと赴く。
合流してから二人で王都のレストランに入ると、そこでランチをとった。
都会の食事を楽しみつつ、ここまでの成果を報告する。
一通りを聞き終えた黒魔導士は、頬杖をついた姿勢で半笑いした。
「そんな悪代官みたいなやり口で成立させたんですね。さすがムカイさんっす。極悪非道の詐欺師だって腹を見せて降参しますよ」
「どんな表現だ」
だんだんと悪口がエスカレートしている気がする。
彼女の中で俺のイメージがどんどん急降下していた。
我ながら冷酷というか卑怯というか外道だとは思っているが、他人からストレートに指摘されると、異議も唱えたくなる。
しかし、残念ながら反論材料がないため何も言い返せないのだった。
「それにしても、手配レベル10って殺る気満々っすよね。もうあたし達の勝ちが決まったもんでしょ」
「いや、相手は勇者だ。賢者も仲間なのだから気は抜けない」
「あー、確かにあのオバサンは厄介っすね。魔術で無罪放免に覆したりしそうです」
「さすがに無理だと思いたいけどな」
そんな会話をしていると、表通りが騒々しくなってきた。
住民の会話を盗み聞きしたところ、勇者一行が重罪人であることが発覚したらしい。
無関係な都市を隕石の魔術で崩壊したり、さらには各地で虐殺行為にまで手を染めたそうだ。
魔王討伐を目指すのも、暗黒の力を手中にするためだと判明したのだという。
もちろんいずれもガセネタだ。
ただし、国王が直々に言い広めているため、嘘だと疑う者がいたとしても少数派である。
それも大多数の声に押し流されて意味を為さないだろう。
黒魔導士は、店の外を眺めながら意外そうに呟く。
「おや、もう発令されてますね」
「急がせたからな。既に他の地域や国も同じ状況になっている」
「それはすごいっすね。魔王を倒す勇者が指名手配なんて世も末っすよ」
「まったくだな」
国王はかなり張り切っている。
急がせたと言っても、まさかここまで早く発令されるとは予想外だった。
交渉に使った宝石や財宝がよほど効いたらしい。
強欲な王は目先の利益に夢中となり、見事に世界を掻き乱していた。




