第63話 国王の護衛
続けて発言しようとしたその時、壁や天井の一部が回転した。
中から黒ずくめの集団が現れる。
手には剣と盾を持っていた。
彼らは国王直属の護衛だ。
一人ひとりが並の中ボスを超える実力者で、デフォルトで三回行動を取る。
さらに即死や麻痺の特殊行動を絡めて戦う曲者揃いだ。
ゲーム内で国王暗殺が困難な理由の筆頭であった。
しかし、現在の俺はチート満載の無敵モード。
何者だろうと止められない存在である。
俊敏な動きで接近する彼らに対し、俺は拳銃を乱射した。
護衛達は素早く反応して弾丸を躱す。
そのまま俺の身体に剣を突き刺してきた。
一糸乱れぬ連携により、互いの邪魔にならないようにしつつ、的確に俺の急所を破壊している。
「……っ」
全身を刺された俺は吐血した。
気の狂いそうな痛みからして、即死攻撃も混ざっているようだ。
賢者から何度も受けたので記憶に新しい。
俺は血だらけの口を笑みの形に歪めると、拳銃を捨てて両手を広げて万歳をした。
護衛達は顔色を変えずに追撃を叩き込んでくる。
心臓をくり抜かれて手首が飛んで両目を叩き切られた。
だが、その程度で俺は止まらない。
手探りで二人の護衛を掴むと、笑いながら力を込めた。
次の瞬間、大爆発が起きた。
鼓膜が破れて肉体がバラバラになる感覚。
すぐさま再生して立て直すと、爆破攻撃の成果を確認する。
室内は見事に半壊していた。
あちこちが焼け焦げて調度品が散乱し、爆心地には大きな穴が開いている。
護衛達の被害も著しい。
まず俺が掴んだ二人は跡形もない。
いや、天井にへばり付いた肉の残骸がそれだろうか。
他の護衛もそれぞれダメージを負っている。
何人か死んでおり、無事な者も四肢を失っていた。
至近距離かつ高威力だったこともあって避けられなかったようだ。
むしろ全滅できなかったのが驚きである。
唯一、国王だけは無傷だった。
そばに死体が転がっているので、護衛が自らを盾にして守ったらしい。
素晴らしい忠誠心である。
(ゲームでもそういう仕様だったな)
国王との戦闘では常に護衛が付き従う。
まずは彼らを倒し切らないと国王に攻撃が通らないのだ。
それでいて護衛達は中ボス以上のステータスを誇る。
実に馬鹿げたシステムだった。
事前に対策を打たなければ勝利するのは困難であった。
もっとも、国王と戦う場面は少ない。
ゲームクリアが目的ならそもそも敵対する必要はなかった。
戦闘を避けられないシナリオでも、やり方次第で有利な状況から始めることができる。
戦略によって結果が大きく左右されるのが特徴だった。
(俺も国王暗殺には苦労したもんなぁ……)
昔のプレイを懐かしみながら、瀕死の護衛を射殺する。
それでも避ける者は近付いて接触することで爆破してやった。
現在の俺はレベルがカンストした上に能力値も弄っている。
素の身体能力は、護衛達が束になっても敵わない領域であった。
勇者がイレギュラーすぎるだけで、他の人間に負けるはずがなかった。
拳銃を拾った俺は、それを改めて国王に向ける。
「余計な真似はするなよ。あんたをぶっ殺すのは簡単なんだぜ」




