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厄介者としてパーティーを追放されたので勇者を殺してみた ~【シナリオチャート認識】+【データ改竄】で異世界を謳歌する~  作者: 結城 からく


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第55話 勇者の執念

 底無しのガッツで攻め立ててくる勇者を前に、俺はふと疑問を抱く。


(そういえば、ここからどうするつもりなんだ?)


 勇者に俺を殺すことはできない。

 こちらは無制限に再生できるためだ。

 延々と斬首してもくたばらないのは、勇者が誰よりもよく分かっているはずだった。


 現状を打破する可能性があるとすれば賢者の魔術だろう。

 しかし、あのメテオの中で策を張れたとも考えにくい。

 今回は途中で仲間が駆け付けるようなパターンはなく、既に他のパーティーメンバーは死んでいる。


 シナリオチャートを確認するも、妙な新規ルートが開拓された気配もなかった。

 正真正銘、勇者は孤軍奮闘の真っ最中なのだ。


 眼前の勇者は決死の覚悟で戦っている。

 何らかの策で行動しているようには見えなかった。


 しばらく考えた末、俺は胴体を切り裂かれながら気付く。


(やはりこいつは無策で戦っている。意地と執念で俺に挑んでいるのだ)


 ただ殺されるだけではないという表明であった。

 互いに命が一つだけではない。

 これから何度も殺し合うことになる。


 それを悟った勇者は、ある種の宣戦布告をしてきたのだ。

 この場ではいずれ死ぬと分かっていながら、それを覚悟した上でやって来た。

 意味のある死を俺に刻み込もうとしている。


(まあ、やられっぱなしじゃ納得いかないだろうからなぁ)


 俺は滅多切りにされつつ考えを巡らせる。

 いずれも推測に過ぎないものの、大きくは間違っていないだろう。


 勇者の姿を見るに、やけになったわけではない。

 やはり覚悟を固めてこの場にいるのだ。

 迷いの感じられない刃は、次々と俺の身体を解体していく。


 両脚が輪切りにされたところで再生するも、すぐさま額を貫かれた。

 聖剣を握って爆破しようとするが、その前に指を残らず切断されてしまう。


(普通に殺すのは駄目だ。ここで心を折っておかないと)


 俺が対峙するのは、死をも恐れない勇者だ。

 ここで無理やり即死させたところで大して意味はない。

 残機が減少するだけで、勇者パーティーの士気は崩れないだろう。


 したがって俺が取るべき行動は、その覚悟の精神を挫くように殺すことだった。

 何が何でも徹底的に叩き潰す。

 ゲームクリアを失敗させるならば、まずはその力を削げばいい。

 別に難しい話ではなかった。


 まあ簡単そうに感じられて、実際はなかなか難しい問題だ。

 相手は世界を救うヒーローである。

 並大抵のメンタルではなかった。

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