第52話 大暴露大会
俺は歩きながら勇者に話しかける。
「よう、調子はどうだ?」
「ムカイ……あなたは、どれだけ僕達の邪魔をすれば気が済むんだ」
「残機が無くなるまでやったら満足しそうだな。自殺しまくってくれると楽で助かる」
正直に伝えると、勇者は眉間に皺を寄せた。
複雑な表情だ。
怒りと悲しみが入り交じっている。
そこに殺気も含まれていた。
既に引き抜かれた聖剣は、いつでも力を発揮できるだろう。
勇者は幾分かの躊躇いを持ちながら告白する。
「あなたを追放したのは悪いと思う。しかし、こんな形で報復するのは違うんじゃないか」
「おいおい、まさか俺が追放に対する仕返しをしていると思っているのか?」
肩をすくめて驚いてみせると、勇者は怪訝そうに足を止めた。
どうやら予想と異なる反応だったらしい。
俺が怒るとでも思ったのだろうか。
なんとも滑稽な考えである。
「勘違いしないでくれ。俺は最初からこうするつもりでパーティーに加入した。寄ってたかって罵ってきたお前らの性格は悪いが、そこまで怒っちゃいないさ」
「では、どうしてこんなことを……」
「ゲームクリアで世界が滅びるからだ。お前らは魔王以上の破壊者ってわけだよ」
俺は真顔で告げる。
この世界は、俺の知る『ファンタジック・スリル3』というゲームに酷似している。
おそらくは無限に存在するパラレルワールドの一つだろう。
何かの奇跡でゲームと関連する時空なのだ。
そんな世界に転移した俺は、チート能力を使うことができる。
シナリオチャートの認識はゲーム知識を利用した疑似的な予知だ。
それによると、魔王討伐後の世界が空白なのだ。
勇者がゲームオーバーになっても変わらず世界は継続するが、クリアした場合のみ存在しない。
これは世界の崩壊を意味しているのではないか。
イレギュラーによってクリア後のルートも生まれるかもしれないが、少なくとも現状は存在しなかった。
勇者は世界を救うために活動している。
しかし、未来を認識できる俺からすれば、こいつこそ破滅の原因だった。
「あなたは一体何を言っているんだ」
「どうせ説明したって伝わない。どう足掻いても俺達は敵対する。ただそれだけのことだよ。もう気にすんな」
俺は投げやり気味に言って笑う。
こればかりはもう仕方ない。
何一つとして証拠がないし、信頼させる気もなかった。
俺は自分のやり方で異世界を存続させる。
ただそれだけのことだった。




