第50話 ふっとんだ
天空を埋め尽くさんばかりの隕石が出現した。
この世の終わりのような勢いで降り注いでくる。
狙いはやはり勇者達のいる街だった。
先ほどの二十倍の数である。
その破壊エネルギーはとんでもないものだろう。
俺達のいる地点まで吹き飛びそうな予感がしたが、別に構いやしない。
ここで逃げるのはもったいない。
特等席で見届けるのが務めだと思う。
再び街を囲う結界が展開されたが、先ほどよりも明らかに枚数が少ない。
一回分のメテオすら防げなさそうな状態だった。
そこに二十回分が叩き込まれるのだから、さぞ素晴らしい結果になりそうだ。
きっかり三秒後、隕石の豪雨が結界に炸裂した。
隕石は一瞬で結界を粉々に打ち砕くと、容赦なく街に降り注いでいく。
平穏だった風景があっけなく破壊されて、瞬く間に瓦礫へと変貌した。
同時にそこに暮らす人々の命も掻き消されていく。
【のうきんせんし を たおした!】
【むっつりおんな を たおした!】
【どくぜつろり を たおした!】
【うぬぼれけんじゃ を たおした!】
勇者パーティーの連中も順調に死んでいる。
いくら賢者が加入したと言っても、これを防ぐことはできなかったのだ。
明らかにオーバーキルである。
無慈悲な隕石の連打は、跡形もなくなった街をさらに耕していく。
中途半端に残った結界の端が被害の拡散を阻止しており、俺達が隕石落下に巻き込まれることはなかった。
見物しやすくしてくれるとは、なんとも気の利く連中である。
ちなみにレベルアップの通知が鬱陶しいので、レベルをカンストさせて鳴らないようにしておいた。
住民の討伐アナウンスも脳内を圧迫するため一般人を倒した際のログは出ないようにしてある。
これで勇者パーティーの生死だけに専念できるという寸法だ。
微調整も可能なので、必要な時は設定を弄るだけでいい。
つくづく便利なチート能力であった。
それから数分後。
隕石群は終了した。
街のあった場所からは夥しい量の砂煙が舞い上がっている。
建物のシルエットが一切見えないのは、何もかも等しく吹き飛んだからだろう。
黒魔導士は上機嫌で街の跡地を眺める。
「ひゅー、やりましたね。ド派手にぶっ飛びましたよ。これはさすがに全滅っすね」
「いや、まだ一人だけ生きている」
俺は断言しながら討伐ログを確認し直す。
人数が足りていない。
向こうは五人パーティーなのに、記載されているのは四人だけだった。
やはり見間違いではなかった。
まだ生き残っている者がいるのだ。




