第47話 再会の挨拶
(さて、ここからどう探すかだな)
勇者達がこの街にいるのは確かだった。
ただし、詳細な居場所が不明である。
黒魔導士が感知魔術を使ってくれればすぐに分かるが、勇者パーティーに勘付かれる可能性があるので駄目だ。
デフォルトメンバーの魔術師と錬金術師の目は欺けるものの、向こうには賢者がいる。
逆探知されるリスクが高かった。
こちらの存在が露呈した時点で奇襲は困難になる。
それは望ましい展開ではない。
「悔しいっすけど、実力は認めざるを得ないっすからね」
黒魔導士は苦い顔で言う。
賢者を殺したがっている彼女だが、力量の差は頭で理解していた。
意外と冷静なのだ。
やはり黒魔導士は優秀である。
賢者が際立っているものの、双璧を担うだけの存在だった。
「それで、どうやって殺します?」
「既に考えてある。ここは派手にやってやろう」
「いいっすね。派手なのはあたしも好きっす」
黒魔導士はニヤリと悪い顔をする。
きっと俺も同じような表情を浮かべているのだろう。
(現在地を調べるのは面倒だ。見つかるリスクもある以上、率先して行うべきではない)
それが俺の出した結論だ。
せっかく奇襲できる状況なのだから、台無しにしてしまうのはもったいない。
真っ向からの戦闘では不利であった。
俺達の持つ有利な点を存分に活かした形で攻めた方がいいだろう。
俺と黒魔導士は街から離れる。
だいたい一キロほど移動して、草原の小高い丘を陣取る。
そこは街の外壁を眺められる位置だった。
「ここからどういう風に奇襲するんすか?」
「とっておきの魔術を披露するんだ」
俺が答えると、黒魔導士は少し驚いた。
「ムカイさんって魔術を使えるんすか。ちょっと意外っすね」
「そんなに頭が悪く見えるか?」
「否めないっす」
「せめて濁してくれよ」
俺は苦笑しながら準備を行う。
そこらへんに落ちていた小石を改竄して、一本の杖に仕立て上げた。
その杖は黒に近い赤色で、溶岩のような模様が表面を流動している。
俺は杖を黒魔導士に見せた。
「魔術と言ってもアイテムを使った使い捨てさ」
「誰でもできるやつじゃないっすか」
「楽だからいいんだよ」
この杖はメテオステッキというアイテムだ。
一度使うと消滅するが、絶大な効力を持つ魔術兵器である。
ゲームでも入手機会は一度のみで、そこを逃すと敵の武器になってしまう。
かなりのレアアイテムだった。
ただし、チート能力を持つ俺にとっては、手軽に使用できる武器である。
「さあ、派手にぶっ飛ばすか」
俺は杖の持ちてを掴んで捻る。
カチリ、と小気味よい音が鳴った。
雲一つない青空に、無数の黒いシルエットが浮かぶ。
轟音を立てて落下してくるのは、炎を纏う大量の隕石だった。




