第3話 幕開け
俺は残る一人の仲間である魔術師を見る。
舌を鳴らしながら指で挑発した。
「遠慮するなよ。何か文句があるんだろ?」
「…………」
魔術師は無表情で視線を返してくる。
小柄な彼女は、ローブの裾を引きずりながら進み出る。
そして、俺を指差しながら口を開いた。
「不快。邪魔。臆病。性悪。貧乏。雑魚。地味」
「ああ、もう分かった。十分だ。ようするに俺が大嫌いってことだな」
「その通り。早くどこかに行って」
魔術師は冷徹に述べる。
女戦士も錬金術師も俺を睨んでいた。
どいつも同じ意見なのだろう。
煙草を吸う俺は苦笑する。
この場に味方はいない。
完全なるアウェーであった。
俺は頭を掻くと、このパーティーのリーダーに問う。
「勇者。君も何か言っておくかい?」
「別に僕は……」
「本音をぶちまけてみろよ。他の皆は正直者だ」
俺が三人の女を指し示すと、勇者は恐る恐る三人の顔色を確かめた。
それなりの沈黙を挟んだ後に彼は意を決して発言する。
「あなたがいると迷惑だ。ここは潔く受け入れてほしい」
「分かった。異論はないさ。俺はパーティーを脱退しよう」
俺はあっさりと宣言するも、場の空気は大して変わらない。
いつもの冗談とでも思われているのか。
本気で言ったとは考えていないようだった。
俺は煙草を捨てて踏み消すと、両手を広げて話を続ける。
「ところで、俺達はもう仲間じゃない。つまり何をしてもいいわけだ」
そこで一旦言葉を切る。
四人の元仲間達は困惑していた。
まだこちらの意図に気付いていないらしい。
俺は両手と頭をだらりと下げて、首を回して笑った。
「お前らを皆殺しにさせてもらおう」
「貴方、何を――」
錬金術師が文句を言おうとした。
その前に俺は大地を蹴って疾走すると、彼女の顔面を鷲掴みにする。
さらに振り切るように力を込める。
次の瞬間、錬金術師の顔の皮と肉が剥がれた。




