第25話 提案
話を聞いた勇者が激怒する。
彼は聖剣を引き抜きながら追及してきた。
「なぜ、そんなことをしたんだ!?」
「お前らが来るって分かっていたからな。簡単に仲間を生き返らせられると思うなよ。生死を弄ぶのは良くないんだ」
俺は得意げに説教する。
その間、二人は臨戦態勢に移っていた。
生憎とこちらの言葉は胸に響かなかったらしい。
ちなみに二人はいくつかレベルが上がっている様子だ。
数値として見れるわけではないが感覚的に分かる。
きっと移動中にハイペースで戦闘を繰り返してきたのだろう。
このサブシナリオは、本来ならもう少しレベルを上げてから挑戦するものだ。
二人は実力に見合わない難所に挑んでいる。
その道程を全滅せずに乗り越えたのだから大したものであった。
しかし、残念ながら話し合う余裕はない。
嘆息した俺は、手を打って勇者に尋ねる。
「長旅で疲れているんじゃないか。少し休むといい。食事くらいなら作らせてもらうが」
「……一体、あなたはどこまでふざけているんだ」
「全部さ。所詮、この世界はゲームみたいなものだからね。楽しまないと損だろう」
俺は暖炉の火を調節しながら答える。
無防備な背中を晒しているが、二人は攻撃してこない。
正攻法では敵わないと知っているからだ。
今も逃げる算段でも付けているのだろうか。
そんな二人に俺は提案する。
「なあ、俺をまた仲間に入れてくれないかな」




