第22話 サイクリング
街を出発した俺は、マウンテンバイクで街道を走る。
勇者達を見失ってしまったので、特に行き先も決めずに彷徨っていた。
純粋に運動を楽しんでしまっている。
たっぷり走ったところで、脳内にシナリオチャートを展開した。
見れば新たなサブシナリオが進行している。
蘇生薬を入手するためのルートだ。
やはり二人の仲間を生き返らせようとしているらしい。
この世界では、残機を除くと蘇生手段は少ない。
錬金術師や魔術師は高レベルになると蘇生関連の魔術を習得するが、彼女達はまだ未熟だ。
冒険も序盤なので、自前では仲間を蘇らせられない。
だからなんとかして蘇生薬を手に入れるしかないのであった。
(まあ、二人を復活させる前に全滅するだろうがな)
この世界は勇者に甘くない。
モデルとなっている『ファンタジック・スリル3』は、難しいゲームの筆頭として必ず挙げられるほどの作品なのだ。
その仕様が忠実に再現されているのは知っている。
たとえ俺が何もしなくとも、様々な弊害が勇者達に襲いかかるのだ。
いくら勇者でも生き延びるのは難しいだろう。
(とりあえず先回りしとくか)
俺はシナリオチャートを確認し、勇者達の行き先を予測する。
細かな動向を探れないが、大まかなルートは網羅していた。
彼らがどういった手順で進むかよく分かっている。
だから慌てることはない。
脳内マップと照らし合わせながら、俺はサイクリングを楽しむのであった。




