第14話 シナリオ
勇者が前に進み出た。
彼は他のメンバーを制して叫ぶ。
「待ってくれ! ムカイ、なぜあなたはこんなことをするんだっ!」
「ゲームを終わらせないためだ。お前らが魔王を倒すと、世界が滅びてしまうんでな」
俺はシナリオチャートを認識できる。
無数に分岐するその先には、当然ながら勇者パーティーが魔王討伐を果たすルートが存在していた。
所謂ゲームクリアである。
クリアに繋がるシナリオは、そこで途切れていた。
続きが用意されていないのだ。
ゲームに当てはめて考えると当然だろう。
クリアしたのだからそれで終わり。
シンプルながらも分かりやすい。
元のRPGである『ファンタジック・スリル3』にもクリア後の特典はなかった。
エンドクレジットの後はタイトルに戻るだけである。
どうやらこの世界にもそのルールが適用されているらしい。
ちなみに勇者パーティーの残機がゼロになってゲームオーバーになった場合、シナリオのルートは途切れずに続いていた。
だから俺は、連中にエンディングが訪れないように妨害しているのだ。
そういった事情を知らない者からすれば、俺の主張など理解不能だろう。
案の定、勇者は困惑しながら俺に質問を重ねてくる。
「魔王を倒すと世界が滅びる……? 一体、何を言っているんだ!?」
「どうせ説明したって分からねぇんだ。何も考えずに死ねばいいさ」
俺は勇者の疑問を遮りながら、長机の破片を拾う。
IDを改竄して再び大型マシンガンを入手した。
今度は弾に炎属性が付与されたバージョンだ。
掠めるだけで延焼する優れものである。
今度はこいつで蜂の巣にしてやろうと思う。




