第130話 勇者パーティーの厄介者
あれから三日が経過した。
その間にいくつか新たな発見があった。
まず、この世界は超難度のRPGである『ファンタジック・スリル4』に酷似している。
脳内に浮かぶステータスや世界観が一致しているのが何よりの証拠だ。
どうやら俺はゲームの世界に迷い込んだか、よく似た異世界にいるらしい。
なぜ中途半端な4なのか気になる。
シリーズを通しても飛び抜けて名作だったわけではない。
安定した売り上げだったが、歴代をランキング順に並べるなら、ワーストにはならないにしてもトップ3にも入ってこないだろう。
実に平凡な作品なのだ。
どうせ再現するなら、別の作品にしてほしかった。
話が脱線してしまったが、とにかく俺はゲームに似た異世界に来たというわけである。
それについて特にネガティブな感情はなかった。
日本での生活に悔いはなく、むしろ新たなスタートを切れるのだから感謝しているくらいだ。
そんなことで悩むより、チート能力の検証の方が有意義である。
ステータスだけでなく、持ち物も改竄可能だと判明した。
ただの石ころが宝石にできるので、当面の資金は簡単に調達できた。
服装と武器も整えてみた。
魔術効果のある洒落た衣服を着て、武器は刀と銃に決めた。
なぜか過去作や没データのアイテムも入手できたが、細かいことは分からない。
改竄以外にも特殊能力があった。
それはシナリオチャートの閲覧だ。
『ファンタジック・スリル4』のストーリーの進行具合を示しているようで、俺の行動とは連動していない。
つまり俺はゲームの主人公ではないのだろう。
チャートが勝手に進むことがあるから、どこかに主人公――すなわち勇者の末裔がいるようだ。
(主人公には会ってみたいな……)
その日の昼食を決めようと街のメインストリートを歩いていると、前方に人だかりができていた。
何やら騒がしく、人々の話す声が自然と耳に入ってくる。
どうやら勇者の末裔が来訪したらしく、魔神討伐の旅の途中に立ち寄ったのだそうだ。
(ちょうどいいタイミングだな)
俺は押し合う人々の波から外れて遠目に見守る。
隙間から勇者の末裔の顔が見えた。
少し頼りなさげだが、双眸は芯の通った正義を湛えている。
まさにヒーローといった姿だ。
野次馬の歓迎ぶりに困惑しつつも、悪い気はしていないようだった。
その姿を認めた俺は、驚きと共に名案を閃く。
「――よし。殺すか」
あまりに突拍子もないアイデアが天啓のように舞い降りた。
まるでそれが当然かと思ってしまった。
閃いた瞬間、脳内で歯車の噛み合う音を聞いたのだ。
どうやら俺は、勇者の末裔をゲームオーバーにしたいたしい。
我ながら素晴らしい考えだと思った。
そうと決まればさっそく実現に向けて行動しよう。
チート能力のおかげでで色々な作戦を立てられるので、まずは慎重に事を進めていきたい。
それならば仲間として同行するのはどうだろうか。
内部から妨害を進めて、残機を徐々に減らしていけば……。
これにて本作は完結です。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
新作を始めましたので、よろしければそちらもお願いします。




