第126話 真実
『ファンタジック・スリル4』とは前作から百年後が舞台のゲームだ。
魔王が滅んで平和になった世界に古代の邪神が復活し、それに対抗して勇者の末裔が旅に出て冒険をする話である。
大まかなストーリーは前作と同じで、細かなシステムや世界の文明レベルが異なるのが特徴だった。
窓の外に見えるゴーレムやドラゴンの労働力はその一例なのだ。
地域にもよるが、スチームパンク寄りの世界観になっている。
どうやら俺は、そんな『ファンタジック・スリル4』で目覚めたらしい。
3に酷似した異世界で自殺したが、たぶん遠い未来で蘇ったということだろう。
(そんなことはありえるのか……?)
俺は冷静に考えを巡らせる。
当然だが次回作に似た異世界に来る予定はなかった。
自暴自棄になって自殺したのは、それで終わりにしようと思ったからだ。
それ以上の理由は何もない。
しかし、俺の意図を無視して世界は続いている。
推測が間違っていなければ、この世界は勇者パーティーがゲームオーバーになったあの場面から地続きになっているはずだ。
『ファンタジック・スリル4』の設定だと魔王は死んでいた。
実際は俺が次元の彼方に封印したので、厳密には死んでいないはずだ。
結局、出られなくなったので死亡扱いになったに違いない。
辻褄は合っていると考えてよさそうだった。
そこまで推察したところで、俺は脳裏に浮かぶシナリオチャートに気付く。
どうやら3の頃のチート能力は引き継がれているようだ。
いくつもの見慣れたシナリオが分岐しながら並んでいた。
能力値の類も確認できた。
ただしステータスは初期値に戻っている。
やはり改竄できるので意味のない数値だが、最終戦のバグ状態は解消されたようだ。
(それにしても、今更だがこの部屋はどこだ? ゲーム版のスタート地点ってわけでもないが……)
俺は室内を歩き回しながら考える。
どうにも見覚えがあった。
ゲームの記憶ではない。
もっとダイレクトで重要なことだ。
うなりながら過去の出来事を振り返っていた俺は、部屋の壁に並ぶガラスケースに注目する。
そこには全部で十個のケースがあった。
大半が空で、左から三つ分のケースに懐かしい代物が飾ってある。
それは初代『ファンタジック・スリル』と『ファンタジック・スリル2』、『ファンタジック・スリル3』の外箱だった。




