悪魔・属性・ハッシュタグ
本日のお題「悪魔」「属性」「ハッシュタグ」
「そこに、宝が置いてあります」
マイケルは老紳士から、宝に辿りつくまでの道程を丁寧に教えてもらっていた。
高架線を通り過ぎ、細長い路地に入ったとき、マイケルの頭に不安が過ぎる。
「ったく……あの爺さん、本当にちゃんと宝の置いてある場所、分かってたのかよ……」
一週間前、twitter上でマイケルの登録していたハッシュタグ“#Megane_zokusei”からこんな呟きがあった。
「twitter上で宝探しをします」
「見つけた方には主催者と一日デートをする権利を与えます」
「開催中、〇〇市には全部私の雇用者しかいません」
「ヒントはありません」
「では、頑張って下さい」
マイケルは途方に暮れていた。
ついハッシュタグを使って呟いてみた。
「もうわからん。ギブアップなう」
すると数秒後、即座に黒服の男達がマイケルを取り囲んだ。
マイケルに手錠を掛け、右腕に何か注射針のようなものを刺していた。
そして徐々に、マイケルは全身の痺れを感じ、黒服の男たちに抵抗する力が抜けていった。
二本足で立つこともままならず、膝を付く。
その時、黒服達は即座にマイケルから離れ、やがて一人の女の子が近づいてきた。
紺のカッターシャツにリボン、チェック柄のスカート膝丈十センチ程度の、ごく女子高生の容貌をした、紫縁眼鏡を着用した品のある女の子だった。
マイケルは言葉が出ない。
徐々に脈拍も弱くなり、景色も朦朧としていた。
その女子高生は告げた。
「残念ね。これでまた一人屠殺場行きね」
こうしてマイケルは最後に悟った。
あぁ、この女子高生こそ、人間を惑わす悪魔、人間と永遠に敵対している化身の象徴だったのだ。
やがてマイケルの瞼は重くなり、その闇の中に飲み込まれ、永久にその闇から出ることはなかった。




