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第99話 従姉

 身に覚えのない罪で逮捕されていたキルスであったが、冒険者ギルド受付嬢のシュレリーとその従兄妹で警備隊長に助けられた。


「災難でしたね。キルスさん、えっと、すみませんが、このカードは今回は不測の事態ということで、キルスさんに負荷とならないように再発行いたしますね」

「ああ、費用は、警備隊が出す、ほんとにすまねぇ、俺の監督不行き届きだ」


 警備隊長はキルスに深々と頭を下げた。


「ああ、ほんとにな、頼むぜ。大体、警備兵の部隊長が従魔のことを知らないって、まずいだろ。まぁ、従魔なんて滅多にいないけどな」

「いや、それでも、警備兵として知っておかないとまずい、従魔に関しては国とギルドの間でかわされた決まり事だからな」


 その話をしながら、キルスはシルヴァ―が囚われている檻の前までやってきた。


「シルヴァ―、何もされなかったか」


 キルスはすかさずシルヴァ―にそう尋ねた。


「バウン」


「ほぉ、でけぇな、魔狼か、この大きさだと、グレータスウルフか、珍しいな」

「違うわよ。この子は、フェンリル、えっ、フェンリル」

「はっ」


 警備隊長の間違いを指摘しようとして、自分の言葉に驚いた。


「ははっ、まぁ、ちょっとあってね。今は、縮小化スキルを使っているんだよ」


 キルスは2人が固まっているのを見て乾いた笑みを浮かべながらそういった。


「そ、そうか、そりゃぁ、その若さで、Cランクともなれるってわけか」

「そ、そうね」

「まぁ、とにかく、これで、解放だ。言っておくが、街で暴れさすなよ」

「言われなくても大丈夫だ。シルヴァ―はおとなしいからな、なっ、シルヴァ―」

「アウン」


 キルスの言葉にシルヴァ―も大丈夫と返事をした。


「はははっ、よく見ると可愛いかも」

「ほんとかよ」

「あれっ? キルスさん、従魔石は何処ですか?」


 シルヴァ―を眺めていたシュレリーがふとシルヴァ―を見ると、何処にも従魔石が見当たらないことに訝しんだ。


「えっ、首輪についているだろ」


 シルヴァ―の従魔石は目立つように首輪に付けていた。

 しかし、キルスが見たところでも、従魔石は見当たらなかった。


「あれっ、どういうことだ」

「まさかっ、ちょっと悪い」


 何かを思いついたのか警備隊長がその場を飛び出していった。


「これは、最低ね」


 シュレリーも思いついたようで1言そうつぶやいた。

 それで、キルスも予想出来た。

 そして、その予想通り、しばらくしてからやって来た警備隊長により真相が発覚、部隊長が従魔石を宝石か何かと勘違いしたのか、盗んでいたことがわかったのだ。

 その結果、警備隊長は地面に頭をこすりつけるという恰好をしてキルスに詫びをいれる羽目となった。

 もちろん、キルスも警備隊長が悪いわけではないと、言いつつも何とか、頭を上げさせたのであった。



 こうして、トラブルがあったがようやくトーライドに入ることができたのである。


「ほんと、災難でしたね。キルスさん」

「ほんとにな。でも、この街大丈夫なのか」


 ちょっと街が心配になるキルスであった。


「はははっ、大丈夫でしょ。とは、言いづらいですけど、警備隊長はああ見えて優秀ですから、それに他の部隊はちゃんとしていますよ。あの部隊長だけ以前から問題行動をしていましたから」


 何か思い出したのか、シュレリーは少し疲れた顔をした。


「そうか、まぁ、いいけど」

「ああ、ええっと、キルスさんはしばらくこの街に? といっても再発行に少々時間がかかってしまいますが」

「それなら、大丈夫だ。一応一週間はいるつもりだからな。それまでには出来るだろ」

「ええ、それなら問題ありません」

「そうか、じゃぁ、頼む」

「はい、あっ、キルスさんはどこか宿を考えていますか、もし、当てがなければ紹介しますよ」

「ああ、宿か、場合によっては頼むかもしれないな。でも、多分大丈夫だと思うんだよなぁ」


 キルスは今回祖父母、つまりレティアの実家に止まるつもりでいた。

 それというのも、レティアから部屋は余っているはずだと聞いていたからだった。もちろん、それはレティアが住んでいたころの話しで現在は余っていない可能性もあるし、何より突然現れた孫を泊めない可能性もあったが。


「どこか、お知り合いがこの街に」

「ああ、この街は母親の故郷でね。その実家があるはずなんだ。そこを尋ねるつもりだよ」

「そうですか、あっ、じゃぁ、私でよければ、案内出来るかもしれません、私もこの街の出身で色々知っていますから」

「それは助かる。じゃぁ、トロンボタ地区のサエーサ通りってわかるか」

「えっ、はい、もちろん、私の実家もそのあたりなんですよ」

「まじで、それは偶然だな」

「誰の家ですか」

「ああ、えっと、確か、爺ちゃんの名前がコルスだったかな」

「えっ」


 キルスが祖父の名を告げたとき、シュレリーは目が飛び出るぐらいに驚いた。


「どうしたんだ」


 あまりの驚きにキルスの方も驚いた。


「えっと、すみません、その、失礼ですけど、キルスさんのお母さまのお名前を伺っても」

「母さん? 母さんはレティアだけど、元冒険者で、殲滅っていう物騒な二つ名を付けられた……」

「うそ、レティア伯母さん」

「んっ?」


 今度はシュレリーの言葉にキルスが驚いた。


「ほんとに、レティア伯母さんの……」

「えっと、そういうってことは、もしかして、母さんの弟の」

「はい、アレンの娘です」


(まじか、従姉じゃねぇか、どうりで)

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