第84話 父の故郷~朝~
フェブロから聞かされたガバエント王国との最新の情報は、すでに睨みあいの状態であるということであった。
それを聞いたキルスはカテリアーナの占いの話しと合わせて、確実にぶつかるだろうと考えていた。
しかし、同時にそこまで派手な物とはならないだろうとおも思っている。
その理由は、やはり、両王家としては争いたくないという思いが強いためだ。
また、キリエルン王国としては北の帝国の方が気になっており、南と本格的な戦争などしている場合ではないからであった。
そんな話をしていると、いつのまにか夕方となりそろそろ夕飯の支度をする時間となった。
「あら、そろそろ夕飯の支度をしなくちゃ。キャシアちゃんとミレアちゃん何が食べたい」
アメリアは当たり前の如くキャシアとミレアに食べたいものを尋ねた。
それを受けた2人は「えっとね」などとつぶやきつつアメリアに食べたいものを言っていった。
それを聞いていたキルスは半分遠慮しつつも、相手は祖母、さすがに祖母相手に遠慮するのは逆に悲しませるかもしれないと苦笑いを浮かべつつそんな様子を見ていた。
だが、それでも一応ということで声をかける。
「ごめん、祖母ちゃん突然来たのに」
「ふふっ、いいのよ。キルス君も遠慮せずに何か食べたいものはある」
アメリアは微笑みつつキルスにも尋ねてきた。
「いや、すでに2人に言われたよ」
「あらあら」
「でも、まぁ、ただ作ってもらうのも何だし、食材は提供するよ」
「食材? でも、キルス君食材持ってた?」
それを聞いてキルスはまだマジックストレージのことを話していなかったと思い出し、まずは出して見せながら話ことにした。
「ああ、それは……」
キルスはその後マジックストレージを手に入れた経緯やその際に倒したエンシェントドラゴン、または魔剣エスプリートを手に入れたことなどを話した。
それを聞いたフェブロとアメリアは驚愕していた。
それはそうだろう、特にフェブロはバラエルオン伯爵領内でドラゴンが討伐されたことは情報として知っていたが、まさかそれをなしたのが自らの孫であったのだから。
また、マジックストレージとマジックバックの話しも衝撃的なものであった。その有用性はもちろんその危険性も2人は理解しキルスを心配しだしたのであった。
その後夕飯を食べながら更なる話をしていくのであった。
そうして夜、寝る時間となった。
キルスはファルコが使っていた部屋があったのでそこで寝ることにしたが、キャシアとミレアは祖父母と一緒に寝たいということで一緒に寝ることになった。
もちろんそれを聞いたフェブロとアメリアが顔をほころばしていたのは言うまでもないだろう。
そして、翌日キルスは体にかかる重さで目を覚ました。
「朝だよー」
「起きてー」
「お、おう、お前ら、早いな。ていうか、重い」
冒険者として鍛えているキルスであってもさすがに6歳児2人同時に上に乗られると重かった。
それから、ようやく降りてくれたキャシアとミレアを追い出して着替えてから部屋を出た。
「おはよう」
「あら、おはよう、キルス君、眠れた」
「ああ、ぐっすりとね」
「それはよかったわ」
「爺ちゃんは」
「ふふっ、おじいちゃんは、お庭よ」
アメリアは嬉しそうにフェブロのことをおじいちゃんと呼びつつ庭を指さした。
キルスはそんなアメリアを見つつ庭を見た、するとそこには剣を振るフェブロの姿があった。
(あさから、訓練か、そういえば父さんが子供頃朝から訓練させられてたっていってな)
そんなファルコの言葉を思い出しつつ、キルスは庭ん出ていった。
「爺ちゃん、俺もやるよ」
キルスもまた、普段から早朝訓練を欠かしていないそこでどうせなら祖父と訓練してみるのもいいかもしれないと考えたのであった。
これもまた祖父孝行であった。
「そうか、ならばこっちに来なさい」
それから、キルスとフェブロは2人で並んで剣を振り、軽く模擬戦をして過ごした。
「ふぅ、どうやら殲滅によく鍛えられているようだな」
「あははっ、小さいころから冒険者になるって言っていたからね」
「それに、どうやら、ファルコの奴からも学んだようだな」
そういつつフェブロは嬉しそうであった。
そう、実はファルコ戦闘能力が皆無と思われるが実は結構強い、しかし、その性格が伴わず模擬戦でなければ剣を交えることができなかった。
キルスは幼いころそういったファルコからも剣を教わっていた。
そうして、不詳と思っていた息子が孫に自身の技を伝えていたことにフェブロも喜んでいるのだった。
それから、キルス達はアメリアが作った朝食を食べ、今日の予定の話しとなった。
「キルス君は今日の予定はあるの」
「今日は、まずギルドに行こうと思う、街についてからギルドに行ってないし、そこで何か依頼でもあれば受けたいところだけど……」
ここで、キルスは言葉を切った。
「ないだろうな」
それに続いたのはフェブロであった。
この街は、バイドルよりも小さい、そのうえ周囲も強力な魔物などがいるはずもなくキルスのようなCランクの冒険者に対する依頼はほぼ存在しないのであった。
「だね。まぁ、無ければ消化依頼でもやるさ」
「消化依頼、それはどんなお仕事なの」
「低ランク向けの依頼なんだけど、誰も受けないような依頼のことだよ、例えば、川掃除とか」
キルスが最初の依頼として行ったソルケイ川の掃除がまさにそういった依頼であった。
「へぇ、そういうのも冒険者のお仕事なのね」
「冒険者といっても、低ランクとなると街の外には出れないから、街中の依頼をこなすしかないんだ」
「そうだな。この街はともかく通常街の外は危険だ。そこに戦闘能力もないものを出すわけにはいかないからな」
「そういうこと」
「そっか、大変なのね。それで、キャシアちゃんとミレアちゃんはどうしようか」
「えっとね」
「おさんぽ」
「いきたーい」
アメリアの質問に一生懸命朝食を食べていたキャシアとミレアは元気よくそう答えた。
「お散歩、いいわね。それじゃ、おばあちゃんと行きましょうか」
「うん」
「おじいちゃんも」
「ワシもか」
「うん」
「あとね。キルにーちゃも」
「俺も? いや、俺はギルドに」
キルスは散歩ではなく仕事をするつもりであった。
「そうね。だったら、キルス君今日はギルドに顔を出して、その後みんなでお散歩に行きましょう。あなたたちのお父さんが過ごした場所を案内するわ」
「そうだな。キルス、今日はそうしろ」
「うーん、わかった、そうするか」
ということでキルスの今日の予定は決まったのであった。




