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第30話 思わぬ崩落

 洞窟調査の依頼を受けたキルス、ユビリスと3人娘は案の定洞窟内でオークと遭遇、しかしその数は未だ少なくその場で討伐したのだった。


 そうして、洞窟内をくまなく調査し、他にオークや他の魔物、盗賊の類がいないことを確認したところで、洞窟内にあったちょっとした広場で休憩をすることになった。


「この場所で少し休憩にしよう」

「だな」


 普通ならこのような場所で休憩などはしないが、すでにこの洞窟内にはオークなどの魔物がいないことを確認しているので、問題なく休憩ができる。

 そんなわけで、休憩がてらこの洞窟について話すことにした。


「それにしても、この洞窟どうなっているんだ」

「そうよね、この間オークは討伐したばかりなのよ。にもかかわらずまた少しだけど増えてる」

「うん、おかしいわ」


 こうして、キルス達が洞窟内を不審に思うのは、通常こういった洞窟にオークが住み着いてそれを討伐した場合、次にオークなどが住み着くにはしばらく時間がかかる。

 というのも、まず洞窟周辺にいる魔物は大体、討伐の際に逃げ出すか駆逐される。となると、洞窟内で沸くわけではないために、新たに離れた場所からやってきて住み着く必要があるからだ。

 しかも、この洞窟は以前にも何度もオークが住み着いており、そのたびに何度も討伐してきたという場所であるために、他の洞窟よりも常日頃から周辺に冒険者や兵士などを送り込んでいる。

 その際、オークを発見したという情報は得られていない。


「そこが不思議なんだよね。ここのオークたちが何処から現れているのか。こればかりはいまだに謎なんだ」


 これはバイドルでも長年の謎とされており、この謎を解き明かすための依頼も出されているほどだ。

 そして、この謎にそれなりに多くの冒険者が挑戦してきたが、ことごとくわからなかった。


「そういえば、ニーナ姉さんもそんなこと言っていたな。今じゃ、かなりの高額になっているんだろ、それ」

「そう、だから、今回その謎も解けたらなって、思って受けたんだけどね」


 と思って来てみたが、結局再びオークが沸いていただけだった。


「ほんと、なぞよね」


 コルンがそうつぶやいた、まさにその時であった。


 ゴゴゴゴゴッ


「えっなに」


 地響きが起きた。


「なにが……」


 ユビリスがそう言った瞬間、突如地面が崩れ始めた。


「うぉ、まじか」


 最初に崩れ始めたのはキルスのいる場所だった。


「うそ、でしょ」


 そして、その隣にいたシレイのところも崩れ始めた。


「キルス、シレイ」

「くそっ、まじか」


 地面が崩れキルスとシレイがその下に落下した。

 その瞬間ユビリスは手を伸ばし何とか2人をつかもうと叫んだ。

 しかし、その手は届かず2人はそのまま落下しそうになった。

 だが、その瞬間キルスはシレイの手をつかんだ。


「ユビリス!」


 キルスはユビリスの名を叫びながらシレイをユビリスへ向かって放り投げた。


「キルス!」


 ユビリスはすかさずシレイを受け取りながらキルスの名を叫ぶ。

 しかし、キルスは、そのまま落下していった。


「うそでしょ」

「キルス君!」


 それを見ていたコルンとリンナも口を手で覆いながらそういうしかできなかった。


…………


 しばしの沈黙、ユビリスもその腕に抱かれたシレイも、その隣で絶望するコルンとリンナも一言もしゃべらずにじっとキルスが落ちた穴を見つめていた。


 すると、突然穴から突風が吹き荒れた。


「うわぁ」

「きゃ」

「な、なに」

「かぜ?」


 それはおかしな現象だったどうして急に突風が吹き荒れたのだろうか、ユビリスたちは少し考え、ある答えにたどり着いた。


「今のは、もしかして、魔法?」

「おそらくね」

「とすると、キルス君?」

「そうとしか、思えないけど……」


 魔法使いであるシレイが今のは魔法ではないかと考え、それにユビリスが応え、コルンが結論つけ、リンナが後押しをした。


 それから、しばらくして、今度は声が響いた。


『ユビリス、俺は無事だ。危なかったけど、怪我もない、でも、さすがにここを這い上がるのは無理がありそうだ。かなり深い。別の道を探して必ず地上に出るから後は頼む』


 というキルスの声だった。


「キルス? 今のは、魔法か?」

「ええ、たぶん、遠声(えんせい)の魔法だと思う」


 遠声というのは文字通り遠くに声を飛ばすという風魔法の一種だ。


「となると、やっぱり、キルスは無事だったみたいだね。でも……」


 ユビリスはキルスとは長い付き合いだ。その付き合いでキルスがこのぐらいの落下でどうなるとも思っていなかった。


「別の道って、言っていたけど、あるのかな」


 ユビリスは少しほっとしながらも心配にもなるのだった。


「ねぇ、どうしようか、私たちも道を探す?」


 コルンはシーフの能力でここから地下に行く場所がないことがわかっている。しかし、探さないわけにはいかないと考えた。


「そうなんだけど、さすがに僕たちだけじゃ無理だよ。そうなると、応援を呼ばないと」

「そうね。だとしたら、一度バイドルに戻る?」

「そうだね。それがいいかも」

「でも、その間にキルスが戻ってきたら?」


 そう、そこが問題だった。


「うーん、そうだねぇ。となると誰かがここに残って、っていうのが一番というわけだけど」


 ここで、問題が起きる、誰が残り誰がバイドルに向かうかというものだ。


「そうなると、私たちでバイドルに向かった方がよさそうね」


 シレイがそういった。


 実はユビリスもそれがいいと思っていた。しかし、バイドルに知らせるということは当然キルスの家族やニーナに知らせることになる。それはかなり重荷になるのではないかと考えた。


「それしかないでしょ、ここはオークがまた現れるかもしれないし、そうなると私たちだけじゃ対処は難しいわ」

「でも、ユビリスなら問題ないわ」


 というのがシレイ、コルン、リンナの3人娘の総意だった。


「そうだね、それじゃ、よろしく頼むよ。大変だとは思うけど」


「任せて」


 こうして、ユビリスは1人残り地下へ降りる道を探しながらキルスを待ち、3人娘がバイドルに走りこのことを知らせることになった。

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