第27話 Dランク昇級試験~結果~
キルス達の初めての盗賊討伐は問題という問題もなく終了した。
そうなると、後の問題となるのは盗賊がためている宝の配分だろう。
「終わったな」
「疲れたぁ」
「思っていたより、楽なやつらだったな」
「それでも、数が多いよ」
「確かに楽な仕事だったよな」
ボイデルに続いて、マイナ、ダン、ハンナと来て最後にキルスがそういった。
「後は、宝だけど、どのくらいため込んでいるんだ」
キルスは、さっそくと言わんばかりに先に偵察をしていたボイデルに尋ねた。
「そこまで多くないな、こいつらも最近襲ったばかりといっても、この実力だからな、そこまで得られなかったんだろうな」
ボイデルは少し残念そうにそういった。
ボイデルは戦う前からこのことを当然知っていた。しかし、それをみんなに言っては士気にかかわると思い言わなかったのだ。
「まぁ、そうだろうな」
ダンもこの盗賊の規模などから、そう予想していたようでそこまでがっかりはしていなかった。
それは、キルスや、マイナ、ハンナも同じで、後はその少ない宝からどうやって分けるかという話だった。
というわけで、ボイデルの案内でこの盗賊団の宝物庫という名の少し広い場所にやって来た。
「確かに、少ないね」
マイナは予想していたとはいえ、その少なさに少しがっかりしていた。
「まぁ、所詮はDランクの昇級試験に選ばれる盗賊だからな」
キルスとしても、これが試験であるということから、ギルドの事前調査の際に弱い盗賊を選んだのだろうと考えた。
「だろうな」
これにはダンも同意だった。
「というわけで、分配だけどどうする」
「そうね、普通にお金は均等でよくない」
「うん、ほかは自由とか」
分配に関して、マイナとハンナの意見はお金は均等として、他の物品は好きなものを持っていくということだった。
「俺としては、それで構わないぞ、量は少ないけど、だからといって、これ全部バイドルまで持っていくのは無理だし」
(まぁ、こういう時に魔法の鞄とか、魔法の袋とか、アイテムボックスとか言われているあれがあれば全部持ち出せるけどな)
キルスは、前世で読んだ小説の転生や転移もので主人公が持っている便利アイテムがあればいいとこの時ばかりは心底思った。
(魔法にもそういうの書いてあったけど、そんな魔法この世界にはないしな)
この世界の魔法には空間属性の魔法もある、しかし、その中に異空間に物をしまうようなものは存在しないことは、勇者時代と今でも確認済みであった。
それから、5人はそれぞれお金を均等に分け、それぞれ適当なものを手に持つか背嚢にしまい込んでいった。
ちなみに、お金は完全に均等というわけにはいかず、銅貨が3枚あまってしまったのだった。
それをどうするかという話になったわけだが、ここでリーダーのボイデルが言った。
「だったら、元々、俺とダンは組んでいたし、マイナとハンナもだろ、それでキルスは1人、ということで、それぞれに1枚ずつでよくないか」
「そうすると、俺1人で1枚ってことになるぞ」
ボイデルの提案に待ったをかけたのはキルスだった。
「いいじゃないか、どうせ銅貨1枚だし」
ダンがそういうのも、銅貨1枚というのは、日本円にして100円相当となる。
「そうね、これでもめてもつまらないし」
「うん、私もそれでいいと思う」
配分が少ない4人が同意したことでこの分配方法で決まった。
「そうか、悪いな」
「どうやら、終わったようだな」
ここで、話が終わったと見たギルド職員が声をかけた。
「ああ、そうだな。それで、この後はどうなるんだ」
「後は、バイドルにかえって、結果を告げるだけだ」
ということで、キルス達はバイドルに戻ることになったのだった。
バイドルのギルドには途中1泊してから戻った。
「あら、おかえりキー君、それとみんな、お疲れ様」
キルス達がギルドに帰ると、ニーナが素早く発見してキルス達をねぎらった。
「結果は2階の会議室で行う、約30分後に呼ぶから、それまで待っているように、どっか行くんじゃねぇぞ」
キルス達に就てきていたギルド職員はキルス達に待つように告げるとさっさとカウンターの奥に引っ込んでいった。
「待ってろって、30分どうする」
「適当に酒場で待っていればいいなじゃない」
「そうするか」
そういうことでキルス達は30分酒場で試験結果について話し合っていた。
「どう思う」
「合格しているかな」
「してると思うぞ、このDランク昇級試験って、人を殺せるかを見るだけらしいからな」
ダンの言葉にハンナが少し不安そうに行ったところで、キルスがそう告げた。
「そうなのか、いや、俺もうわさでは聞いていたけど」
この事実は、結構有名で多くの冒険者が知っている事であった。
「ああ、母さんからも、ニーナ姉さんからも聞いているからな、間違いないと思うぞ」
キルスは元Bランクである母レティアと、ギルド受付であるニーナから聞いたから間違いないとほぼ確信していた。
それから30分が経ち、キルス達はようやく呼ばれ2階会議室に向かった。
「おう、お疲れだったな。それで、さっそく結果発表だが、協議したところ、お前ら全員文句なく合格だ。下の受付で手続きをしてくれ」
結果発表は実に簡潔に行われ、キルス達はそれぞれ、担当となる受付の元に行き昇級試験の手続きを行ったのであった。
「おめでとう、キー君」




