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最終話 終焉

 キルスとオルクが会議へ向かうとそこにはすでにほかのメンバーがそろっていた。


「遅くなりました」

「なに、構わんよ。それでは始めようか」

「はい、お願いします」


 キルスはそう言って空いていた椅子に座り、オルクはその背後の椅子に座ったのだった。


「まずは、此度の戦ご苦労であった。みなのおかげで帝国を追い返すことに成功した」

「いいえ、私どもは、此度の功労者はなんといってもオルステン殿でありましょう」

「うむ、それは間違いないな」

「ええ、オルステン殿がいなければそもそも我が王国はすでに帝国の手に落ちていたでしょう」


 ここで、ボライゲルド侯爵がしみじみとそう言った。


「皆様の過分な評価、ありがとうございます」


 キルスも最近はメリッサから色々学んでおり、こういった返しができるようになってきていた。


「さて、これからについてなのだが……」

「申し上げます!」


 今まさに会議が本格的に始まろうとしたタイミングで、会議に使っている幕営に1人の兵士が飛び込んできた。


「なんだ。どうした?」


 入ってきたのが国軍兵士であったために、上司であるコリアータル侯爵が怪訝な顔で尋ねた。


「はっ、帝国帝都に潜入している間者より伝令、帝都陥落及び皇帝が捕縛されました」

「……はっ?」

「なに?!」

「そ、それは?」

「どういうことだ!」


 キルスが思わず間抜けに反応する中、ほかの面々もまた意味が分からず聞き返していた。


「はっ、詳細はこちらに記されております」


 そう言って、兵士は手紙のようなものをコリアータル侯爵に渡した。


「うむ、……どうやら反乱軍の手に落ちたようだな」

「反乱軍、ですか?」

「そうだな。まずはそれについて説明しよう」


 帝国の内情にはそれほど詳しくないキルスたちに対してコリアータル侯爵が詳しく説明することになった。

 それによると、帝国という国は周辺諸国を侵略し支配してきた歴史を持っている。

 その支配のしかたも恭順を示した者たちには爵位などを与えたが、抵抗したものたちは処刑していった。

 そんな処刑された者たちの元民たちの中には、当然そんな帝国に憎しみの感情を持つものも少なくない。

 そうしたものたちが起こしたのが反乱軍という組織だった。といっても、彼らはそれほど数は多くなくこれまで行動という行動は起こしていなかったという。

 では、なぜ彼らが突如行動を起こしたのかというと、答えこそ此度の遠征であった。

 今回皇帝は、キリエルン王国に対して150万の軍勢を出したことで、各地にいた兵たちの大半を集めた。

 これにより各地が手薄になり、反乱軍が動けるようになってしまった。

 もちろん、帝国も馬鹿ではないのでさすがに反乱軍のことは把握していた。しかし、皇帝の怒りはそれを忘れるほどに強かった。

 そんな隙をついたというわけだった。

 そうして、動き出した反乱軍、それは各地で同時に発生し、残された兵たちではどうにもできず、また、帝都に潜伏していた反乱軍は、なんと城の抜け道を通ってあっさりと皇帝の寝所にもぐりこんだのだった。

 なぜ、反乱軍がそんなものを知っているのかというと、それは帝都が以前はタビルアート王国という国の王都であり、城もその国の王城であった。

 それを改造して皇城として使っていたのだった。

 当然ながら、帝国側もそういった経緯の城であるために事細かに調査した。

 しかし、帝都反乱軍のリーダーを務めていた男は、かつてその城を設計した人物の末裔であり、以前の国王すら知らない抜け道があることを先祖が残した図面から熟知していた。

 そんな、元の主すら知らない抜け道の存在なぞ、それを奪ったものたちが知るわけもなく、調査でも全くわからなかった。

 その抜け道を今回利用されたというわけだ。

 そして、あっさりと拘束されてしまった皇帝であった。


「……皇帝は、ふむ、今日か、今日、帝都広場にて処刑されるそうだ。いや、時間的にはまさにそろそろか」


 受け取った書類には皇帝の処刑の日取りまでかかれていた。

 場所は、帝都広場、実はこの広場はかつて、タビルアート王国の国王をはじめ王族や反抗した貴族たちが処刑された場所であった。

 そして、今まさに帝都広場にてバラエスト帝国最後の皇帝が処刑されたのであった。


「気が重いなぁ」

「そうだね。でも、知らせない訳にもいかないよね」

「そうなんだよなぁ」


 キルスの気が重い理由は、これより自身の妻となっているサリーナに帝国のことを伝えなければならないからである。

 サリーナは現在出奔しているとはいえ、帝国の皇女であり、何より皇帝の娘だ。

 その娘に父親が処刑されたという事実を話さなければならない。


「姉さんたちには僕のほうから知らせておくから」

「ああ、そっちは任せたよ。はぁ」


 オルクと別れたキルスは足取りも重く、サリーナをはじめ玲奈と幸が過ごしている幕営へと向かったのだった。


「あっ、おかえりキルス、早かったじゃん」


 キルスが幕営に入ると玲奈がそういった。


「ちょっとあってな。それでサリーナ」

「おかえりなさいまし、キルスさん、どうしました?」

「ああ実は、会議中に入ってきた情報でな……」


 キルスは椅子に座り、3人にも座るように言ってから、帝国で起きたことを話すことにした。


「……そ、そんな……お、お父様が……」

「……」


 話を聞いたサリーナはショックで震えた後、さめざめと泣き出した。

 それを見たキルスは静かにサリーナを抱きしめたのだった。



 そんな日から1か月余りが経った。

 帝国は帝都陥落と皇帝が処刑されたことや、帝国最強の男であったザレスをキルスが倒したことで、まさにあっという間に反乱軍によって滅ぼされていしまった。

 そして、ついこの間帝都があった場所から、キルスの領地までを新生タビルアート王国となった。

 なんでも、帝都を落とした反乱軍のメンバーの旗印がタビルアート王国の王族の生き残り、正確には隠し子の末裔たったことでその人物が王となった。

 また、皇族をはじめ帝国貴族がどうなったかというと、皇族はすべてつかまり処刑され貴族も皇族に近いものたちはことごとく処刑された。

 実は、サリーナがキルスのもとにいることは知られていたことであるために、新生タビルアート王国から使者がやって来てサリーナを差し出すように言ってきたことがあったが、サリーナはキルスの妻でありそれを差し出すことなぞできるわけないと断った。

 もちろん、それで納得しなければ力を示すことになるということは当然伝えたのだった。

 そうして、キルスの愛を感じたサリーナは家族を失った悲しみを乗り越え、現在は玲奈や幸などとともに楽し気に過ごすようになっていた。

 それを見たキルスもほっとしつつ、オルスタンをはじめ領地の運営を行うのであった。


「はぁ、ようやく落ち着いたか、帝国も終わって変わりの新生タビルアートも友好的になったしな。まぁ、サリーナのことを思うと、あまり仲良くはしたくないが、それでもさすがに戦争は御免だからな。まぁ、平和が一番、のんびりとするさ。なぁ、シルヴァー」

「バウン!」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 全体を通して 面白く読めた [気になる点] 誤字脱字が多く 修正できる所はやったほうが良い [一言] もう少し キャラクターのイメージを想像できる表現をすれば 映像化もイケる ふぁいとー
[良い点] 一話一話の長さも個人的には丁度読みやすい文字数でした。 登場する主要キャラに命が吹き込まれているのが、とても良かったと思います。 [気になる点] ちょっと誤字が目立つ時があるのと、身内の人…
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