第226話 ギルマスの邂逅
キルスは王都からやってきた新しい冒険者ギルドマスターであるガイムとその相棒のセッテをギルドまで案内した。
「あらキー君、どうしたの?」
「キルス君いらっしゃい、その人たちは?」
キルスがギルドに入ると受付に座っていたシュレリーとニーナが声を掛けた。
この2人はオルスタンのギルドが人手不足となったことを受けて、自身のギルドへ移動願いを出し今現在はここオルスタン冒険者ギルドに配属されている。
「この2人はガイムとセッテ、王都から来たんだ」
「それって、もしかして」
「そういうこと」
シュレリーはキルスの言葉を聞きすぐにガイムとセッテが何者かに気が付いた。
「ああ、そういうこと。だからキー君が一緒なのね」
少し遅れてニーナが気が付いた。
「というわけで、じいちゃんいる」
「ええ、上で相変わらずよ」
「そう、じゃぁ入るよ」
「どうぞ」
キルスはそう言ってガイムとセッテを連れてギルドの奥から上へと上がっていく。
「領主様今の人たちは?」
「ずいぶんと親しそうだったじゃねぇか、もしかしてあんたのこれか? ……ってぇっなぁ!」
ガイムがキルスを揶揄するようなことを言ったことで隣にいたセッテから後頭部を殴られた。
「失礼な事言わないの、ったくあんたは、ホント馬鹿なんだから。すみません領主様」
「あははっ、いや、気にしなくていいよ。あの2人は身内なんだよ。人族のほうが従姉で獣人族はまぁちょっとあって姉なんだよ」
「ああ、それでですか?」
「あん、どういうことだよ」
「あの2人からは、なんていうか弟を見る感じがしたので」
「鋭いな」
「女の感です」
「お、おう、えっと、着いたなここだ。じいちゃんキルスだ。入るぞ」
「おう、入れ」
キルスは話しながら扉をノックして祖父コルスに話しかけ入室の許可をもらった。
「おう、来たかキルス。んっ? その2人は?」
「キルス君いらっしゃい」
キルスが中に入るとそこにはキルスのそぐコルスとレーラがいた。
「この2人はガイムとセッテといって、王都のギルドから来た新しいギルマス」
「おおっ、やっと来たか」
「へぇ、あなたたちが、なるほど」
キルスから聞いてコルスとレーラはガイムとセッテを値踏みするように見た。
「初めまして、私はセッテと言います。こっちはガイム、一応これがギルマスですが見ての通り馬鹿なので、補佐をすることになりました。よろしくお願いします」
「おおう、そうかいよろしくな」
「なるほどね。わかったわよろしく、それにしてもギルドも思い切ったわね」
「私もそう思いますが、まぁ、一応統率力と実力だけはありますから」
この会話だけでも、明らかにガイムをギルマスに指定したことへのことだとわかるが、当のガイムだけは全くわかっていなかった。
「おい、何の話だ。ていうかセッテ、馬鹿はねぇだろ」
「いいのよ、あんたは馬鹿で」
「んだとっ」
「ふふっ、2人は仲がいいのね」
ガイムとセッテを様子を見てレーラがほほえましく見た。
「まぁ、一緒にパーティー組んでましたし、一応夫婦ですから。ホントなんでこんなのと結婚したんだろ」
「あら、そうなの。私たちと同じね」
「そうなんですか?」
「そうよ」
それからレーラとセッテはお互いに苦労話を始めてしまい、その話の中心であるコルスとガイムはそろって放置されたのだった。
「まぁ、というわけで後は任せてもいい」
「おう、任せておけ」
「ええ、大丈夫よ」
「お任せください」
キルスは返事を聞きギルドマスター室を出ていった。
「まぁ、無駄話はこのぐらいにして、そろそろ引継ぎをしましょうか」
「はい、お願いします」
キルスが出て行ってから少ししてから、話の一段落をつけたレーラとセッテはそう言って真面目な顔をしだした。
「まずは、これね。一応この辺りの魔物の生息域の調査書よ」
「拝見します……」
レーラから書類を受け取ったセッテはざっと確認していく。
「やはり、スタンピードの影響でしょうか、少し魔物の数が少ないようですね」
「ええ、最近は少しずつ増えては来てるみたいだけどね」
「スタンピードぉ、まじかよ。よく無事だったな。おいっ」
ガイムがスタンピードと聞いて驚いている。
「あのね。ガイム、ここに来る前にさんざん話したでしょ。少し前にスタンピードが起きた街だって、確か領主様が抑え込んだって聞いてますけど」
「ええ、キルスとシルヴァーがね。あとは私たちも一応ね」
「へぇ、領主ってさっきの奴だろ。すげぇな。ていうかシルヴァーって誰だよ」
「広場にいたフェンリルのことですよね」
「フェンリル、ああ、あのでっかい奴か」
「そうよ。あの子はシルヴァーといってキルスの従魔でうちの家族だからね。下手に手を出すと私たち全員を敵に回すことになるわよ」
「うむ、そうだな」
ガイムに対してそう宣言したレーラとコルスであった。
その後、4人、いやガイムを除いた3人でしっかりと引継ぎを行ったのち、職員全員に通達されたのであった。




