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第225話 やっと来たギルマス

 キルスの屋敷建て替えが始まった。

 といっても、今はまだ大工たちが設計をしている段階でしかない。

 そんな中キルスはというと屋敷の片づけをしていた。


「旦那様、こちらはいかがいたしますか?」


 メリッサが執務室の執務机を差し尋ねた。


「ああ、これかまぁ、机事態はまだ使えるし特に無駄な豪華さもないし、そのまま使うか」

「かしこまりました」


 屋敷は建て替えるものの、使えるものはそのまま使おうとキルスは考えていた。

 というのも、やはりまだ使える屋敷を建て替えるという無駄なことをしているわけだから、その無駄を最小限に抑えたいと考えたからだ。

 そうして、その使うものをマジックストレージに収めつつ、数日掛けて片づけを終えたのだった。



 それから、数日の後大工が設計を書き上げキルスの元へと持ってきた。


「……いかがです。領主様」


 設計図を見ているキルスに大工が心配そうに見ていた。


「ああ、いいんじゃないか、ああ、でも、ここはこうして……」


 大工が差し出した設計図はキルスにとって特に問題ないほどの出来だった。

 しかし、それでも多少の手直しを要求し大工はそれにこたえていった。


 そうして、何とか設計図は完成し大工たちはさっそく取り掛かることとなった。

 そのために、現在いままの屋敷の取り壊しにかかっていた。


「おいおい、壊しちまってるぞ」

「さっき聞いたでしょ、お屋敷の建て替えをするって、あんた聞いてなかったの」

「そうだっけ?」

「はぁ、ほんと馬鹿なんだから」


 取り壊し作業を眺めているキルスの耳にそんな声が届いた。


「んっ」


 何だと思いそこを見てみると、そこにいたのは明らか冒険者でそれもそれなりに高ランクに見える男女が立っていた。


「んで、その領主ってのはどこにいんだよ」

「ここら辺にいるって聞いたけど」


(俺に用があるみたいだな)


 キルスはそう思いつつその2人を観察、その結果特に危険なものはなさそうということで声をかけることにした。


「俺がその領主だけど、あんたらは?」

「へっ!」

「おいおい、まじかよ」


 突然横からそう声を掛けられた2人は驚愕した。


「え、えっと、あなたがその、領主様?」

「おいおい、ホラ吹いてんじゃねぇぞ」


 男女は疑いの目でキルスを見た。

 それはそうだろう、2人にとって領主というのは貴族であり豪華な服を来てふんぞり返っているというイメージだった。

 それに対して、キルスの服装は明らかに町人のそれだったからだ。


「ホラではありません。このお方はここのご領主であらせられるキルス様です」


 少しむっとした表情でキルスの隣に立っていたメリッサがそう答えた。


「まじかよ」

「あっ、し、失礼しました」


 隣にいるメイドという状況や周囲からもむっとした雰囲気を感じ取った2人はようやく信じたのだった。


「あははっ、こんな格好してりゃぁ。わかりずらいよな。でも事実だ。んで、俺になんか用か? 見たとこ冒険者見たいだけど」

「えっ、あっはい、申し遅れました。私は王都冒険者ギルドより派遣されたセッテと言います。こっちは同じくガイム、この度オルスタン冒険者ギルドギルドマスタ補佐に任じられました。ちなみにマスターはこれとなっております」


 セッテはそう言って自己紹介を始め、最後に王都のギルドからの任命書を見せた。


「ギルマス? ああ、そういえば自力で来るって話だったな」


 実はオルスタンのギルドはいまだにコルスが臨時を務めていたが、先日王都からギルマスの選定が終わったが、本人たちの希望で自力で向かうと聞いていたのだった。


「はい、領主様のお力は聞いておりましたが、私たち自身もこのあたりを知っておく必要もありましたし、何より私たちは現役の冒険者ですので、せめて最後に自身の足で来たかったので」

「ああ、その気持ちはわかるなぁ。俺なんていきなり引退させられたからなぁ」


 冒険者だったキルスは突如男爵にされて、領地を与えられた結果強制的に引退させられた。


「それは、災難でしたね。たしか元はBランクだったとか」

「まぁな」

「まじかよ。ていうかBって俺たちよりしたじゃねぇか」

「あのね。当たり前でしょ。領主様は冒険者になってまだ1年も経っていないそうなのよ。それでBってことはどう考えても私たちよりすごいのよ。わかってる」


 ガイムの発言に頭を抱えつつセッテが突っ込んでいた。


「あはははっ、それでさっき言ってたけど、そのガイムってのが新しいギルマスだって、ていうか大丈夫なのか?」


 ガイムを見ているとギルマスが務まるか心配になるキルスであった。


「あっはい、大丈夫です。これは見ての通り馬鹿ですけど、実力は高いですし一応統率力も高いですから、まあ、とんでもなく馬鹿ですけど、その分相棒で妻である私が補佐をしますので」

「ああ、2人は夫婦なんだな」

「はい、なんでか馬鹿に引っかかりまして」


 そう言って笑うセッテであった。


「なるほど、力と統率はガイム、実務はセッテってわけか」

「はい」

「まぁ、俺としては問題なさそうだな。じゃぁ、とりあえずギルドに行くか」

「お願いします」


 それから、キルスとメリッサ、セッテとガイムが4人連れ立って冒険者ギルドへ向かったのだった。

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