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第209話 サリーナとエミル

 再びキルスの元へとやってきたサリーナの目的は、キルスを篭絡し帝国側につけること。

 これは、以前キリエルン王国への侵略前にブレンダー元男爵に対して行っていたことだ。

 その一助として、帝国はキルスに対して新たに賠償として港町オレイスを送ることにした。

 これにより、帝国とキリエルン王国の隣接する領地はキルスのみとなるのだった。

 さすがにこれはキルス1人で判断することはできず、時間をもらうことにした。

 その間、サリーナはキルスの屋敷内にある客間で過ごしてもらうこととなった。


 その客間においてサリーナはキルスを篭絡するため新たに気合を入れなおしていた。

 まさにその時、丁寧なノックがなされたのであった。


「どうぞ、ですわ」


 サリーナがそういったことでサリーナについていたメイドが静かに扉を開けた。


「失礼いたします殿下」


 そう言って、扉をくぐった人物を見た瞬間メイドはもちろんサリーナも一瞬固まった。


(なっ、ななんですの。わ、わたくしより……い、いえ、そんなはずは……)


 サリーナの内心はパニックになっていたが、そこはさすがに皇女すぐに立て直した。


「わたしは、キルスの姉でエミルと申します。以後お見知りおき願います」


 入ってきたのはエミル、相手が皇女ということや客ということもあり丁寧に挨拶をしたのだった。


「え、ええ、わたくしはバラエスト帝国第二皇女サリーナ・エリアント・ゲイル・トッテン・バラエストと申しますわ」


 エミルが自自己紹介したことを受けてサリーナもまた自己紹介をした。


「弟から申し使って、殿下のお世話をさせていただきます」

「そうですの。では、よろしくお願いしますわ」

「はい」


 エミルがやってきた理由は、キルスからサリーナの世話などを頼まれたからだ。

 ちなみに世話といっても身の回りの世話をするわけではなく、屋敷内や街の視察を行いたいと言った場合の案内役となる。

 というのも、身の回りの世話はエミルではなくサリーナが連れているメイドがいるからである。


 一方、サリーナと別れたキルスはメリッサと会話していた。


「殿下のお世話はエミル様でよろしかったのですか?」


 話題はまずサリーナの世話役にエミルを起用したことである。

 その理由は、最近では街の住人からメイドなどを雇っておりその誰かでもよかったのではないかというものだった。


「ああ、というか姉さんが適任だからな」

「そうなのですか?」

「サリーナ殿下はああ見えてそれなりに強いからな。下手な奴をつけると暴れた時にどうしようもない」

「えっ、しかしエミル様は……」


 メリッサはエミルもまた非戦闘員ではないかと思っていた。


「姉さんも一応母さんの娘だからな。昔は俺と一緒に母さんから訓練を受けてるんだよ。だからああ見えて強いんだ。多分殿下よりも強いだろうな。魔法も使えるし」


 これにはメリッサも驚愕した。

 なにせ、エミルはメリッサにしても時に見惚れてしまうほど美しく朗らかな性格をしている。そのエミルがまさか戦闘までこなせるとは夢にも思わなかったのである。


「ちなみに、父さんや兄さんも同じくらい強いぞ」

「ふぁ、ファルコ様とオルク様もですか!」

「ああ、父さんはじいちゃんから仕込まれていたし、兄さんは俺や姉さんと同じだな」


 メリッサはまさかのことに絶句していた。


「まぁ、というわけだから殿下は姉さんに任せておけば大丈夫だろ。俺は今から陛下と相談してくる」

「は、はい、行ってらっしゃいませ」


 こうして、キルスはすでにマジックストレージでアポを取った国王に会うために王城へ転移した。



 そして、エミルはというとサリーナといくつか話をしていた。


「……やはり、あなたがE&R商会の会長でしたか」

「はい、もう一人レイナという子と経営させていただいてます」


 話題はE&R商会のこと、サリーナは帝国皇女として美容には人一倍気を使っているために美容専門というE&R商会の情報は仕入れていた。


「エミルさん。出来れば見学をさせていただきたいのですが、よろしいですか?」

「はい、もちろん」


 サリーナは蛮族である王国の平民の娘がどのように美容を考えているのか、それを見たくなった。

 もちろん、この時サリーナは帝国の皇女たる自分こそが最先端の美容を得ていると疑ってもいなかったために、それを知らしめる目的もあった。


 そうして、エミルの案内でやってきたE&R商会である。


「こちらです」


 エミルに案内されてやってきた商会内は、化粧品特有のにおいが立ち込めている。


「ずいぶんと、きれいにしているのですね」

「はい、ここは女の子をきれいにするお店ですから、どうせならきれいな場所できれいになりたいですから、どうぞ」


 この世界の商会内は店にもよるがそれなりに掃除はされている。しかし、E&R商会はそのどの店よりも掃除が行き届いていた。


「あっ、エミルさん。えっと、その人は?」

「レイナちゃん、この方は帝国の皇女殿下よ」


 エミルを見つけた玲奈が声をかけるが、エミルが素早く紹介することで玲奈が無礼を働くことはなかった。

 尤も、その場にいた従業員たちは複雑な顔をした。

 それはそうだろう、彼女たちは元は帝国民だが今は王国民たるキルスに寝返った状態にあるのだから。


「ああ、そういえば。えっと、あたしは玲奈って言います。エミルさんと一緒にE&R商会をしています」


 玲奈も精いっぱいの礼節をもってサリーナに挨拶を交わした。


「ええ、よろしくお願いしますわ」


 サリーナも一瞬顔をしかめた者の、すぐに持ち直して挨拶を交わしたのだった。

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