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第184話 逆侵攻

 現在キリエルン王国とバラエルスト帝国は戦争中である。

 当初こそ帝国の魔獣軍団により、大いなる打撃を受けたものの、キルスとシルヴァーの介入によってそれは逆転する。

 そして、今は帝国と王国との国境であるノルン荒野にて、両者にらみ合いとなっていた。


「奴ら帝国はわが領土、国土を蹂躙しわれら同胞にしたことを忘れるな。今こそその恨みを晴らす時である。我に続け、帝国に侵攻したことを後悔させてやれ!!」


 ボライゲルド辺境伯はそう言って兵士や騎士たちを鼓舞した。

 それを、後ろのほうで聞いていたキルスもまた、やる気に満ち溢れていた。


「シルヴァー、これからが正念場だ。奴らもどういうわけか、魔獣をまた大量に持ち込んできやがったしな。あれは俺たちで片づけるぞ」

「バウン!」


 キルスの目線の先には帝国が用意した新たな魔獣軍団50、魔獣の強さはそれぞれだが平均しても脅威度はB、普通の冒険者や兵士では手に負えない。

 もちろん、キルスとシルヴァー以外にも魔獣を倒すことができるものはいる、例えばゾロテス兄弟だ。

 だが、そういった者たちは総じて、指揮官であったりして個人で魔獣と戦うわけにはいかない。

 冒険者にしても同様で、キルス以外で一番強いものならば、何とか倒すことはできるだろうが、ランクが高いために冒険者たちのまとめ役となっていた。


「「突撃ー!!!!」」



 この世界の戦争は特にお互いに名乗りをあげたり、ののしりあったりといったことはないために、すぐにぶつかる。

 実際、両軍は総指揮官の号令のもと、これまたそれぞれの戦略に従って動き出した。


 まず、両軍ともに左翼と右翼がぶつかり合うこととなったわけだが、その両側に魔獣が10匹ずつ混じっている。

 魔獣10匹が相手となると、かなりまずい、そこで王国軍はキルスとシルヴァーを分けて配置、キルスが右翼、シルヴァーが左翼に加わっていた。


 そうして、始まった戦いだが、シルヴァーにとって魔獣がいくらいたところでまったく意味をなさず、あっという間にこれを殲滅してしまったのだった。

 その後、さらに10の魔獣が追加されたが、これもまたすぐに殲滅した。


 一方、キルスもまた同じで、ただ違うのはあっという間というわけではなく、それなりに苦労の末となった。

 これは、フェンリルという最強の魔狼と強いとは言っても人間でしかないキルスの違いである。

 とはいえ、キルスもかなりの強さ、魔獣10匹程度なら難なく討伐できた。


 こうして、左翼右翼ともに、キルスとシルヴァーの活躍により王国側が押した。


 その間、もちろん中央の本体も動かなかったわけではない、帝国側は中央に20匹の魔獣を配置しており、キルスとシルヴァーが両翼で魔獣を殲滅しているときに王国本体を襲撃していた。


 尤も、中央にはゾロテスをはじめ、強者が数人配置されており、キルスとシルヴァーが駆けつけるには十分な時間稼ぎができていた。


「これで、ラストッ!!」


 キルスが駆けつけた中央にて、最後の魔獣を討伐。

 これにより、王国軍は一気に帝国本体をたたき始める。


「くっ、くそっ、た、退却、退却だ!」


 やむなく帝国軍は退却することとなった。



「ふぅ、とりあえず終わったか」

「そのようだな」

「して、辺境伯様、この後はどういたしますか?」


 敗走した帝国軍に追撃を適度に与えるよう支持を出すとともに、一息を入れる辺境伯に対してゾロテスは今後の予定を訪ねた。


「うむ、私としては、ここで終わりたいところだが……さすがにそうはいくまい」

「ええ、納得しないものもいるでしょうな」

「だろうな」

「なら、侵攻しますか?」

「それしかあるまい。といっても、街1つ程で問題なかろう」

「はっ!」


 こうした会話が王国軍上層部で行われたことで、王国は報復として逆侵攻を仕掛けることとなった。


「そんなわけで、キルスもう少し頼む」


 キルスのもとにやってきたゾロテスによってキルスはそれを知らされた。



 それから、数時間が経過した。


 キルスたち王国軍の目の前には立派な防壁。

 帝国側の国境から最も近い街オルスタンである。


「キルス、すまないがまずは我らだけでやらせてもらえないか?」


 これから街を攻め込もうって時に、ゾロテスはキルスにそういった。


「ん? ああ、まぁ、いいぞ」


 キルスも特に異存はないためにそう返事をした。

 ゾロテスがこういった理由は、これまでキルスが手柄をとりすぎており、この戦いにまで参加させると兵士や騎士たちの手柄がなくなってしまう。

 そう考えたゾロテスと総指揮官である辺境伯がこういった決断をしたというわけだ。

 尤も、実は別な理由もあるが、それは後ほど明らかとなるだろう。


 というわけで、キルスとシルヴァーが見守る中王国軍によりオルスタン攻城戦が始まった。


「始まったな」

「アウン」


 街から離れた丘の上でキルスとシルヴァーは防壁に群がる王国軍とそれを阻もうとしている帝国軍の戦いを見ていた。

 その光景は、まさに攻城戦、王国軍がはしごややぐらを使い防壁を乗り越えようとし、それを矢などで攻撃、また破城槌をもって門に体当たりをしている王国軍。


「ゲームやアニメとかでよく見たけど、現実で見ると結構な迫力だよなぁ。でも、なんか、へんじゃねぇ」


 遠くから見ていたキルスはこの戦いに違和感があるように思えた。

 もちろん、キルスはこういった戦いはこれが初めてだ。

 前世の勇者時代もこういった攻城戦は経験していない。

 そんなキルスにも覚えた違和感、それはなんというか、帝国側にまとまりがないように見えた。

 まるで、帝国側に指揮をとるものがいないような、そんな気がしたのだ。


 そんな疑問を覚えつつ見つつ数時間が過ぎたあたりで、状況が動き出す。


「おっ、もう入ったぞ」


 帝国側も必死に防壁にへばりつく王国軍を追い払っていたが、ついに王国軍が防壁を乗り越えた。

 と同時、門もまた破壊されたのだった。

 そして、一気になだれ込む王国軍。


「はやっ!」


 キルスが思わずそう言わずにはいられないほどにあっという間に、オルスタンは陥落し王国軍が支配することとなった。

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