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第154話 犯人判明

 キルスの剣、エスプリートが偽物とすり替えられるという事件が起きた。

 それを受けて憤慨する国王、さっそく騎士団長であるゾロテスに捜査命令を出した。

 キルスとしても捜査に参加したいところだったが、今回は王城内のしかも騎士団の保管庫で起きた事件ということもあり、騎士団に名誉挽回として捜査をさせるということになった。

 つまり、キルスは再び暇となった。


「それじゃ、見つかるまで王都に居なきゃいけないってこと?」


 離れに戻って色々説明した後、エミルがキルスに尋ねてきた。


「そうなる。といっても、いざとなったら転移でいつでも戻れるけどね」

「そっか、それもそうね。早く見つかるといいわね」

「そうだな」

「ねぇ、だったらさ、王都を見て周りたい」

「ナイス、キレルちゃん。あたしも見たい」

「そうね。この一週間色々やってたし、良いかもしれないわね」

「そうだね。キルスも気になるだろうけど、一緒に行こう」

「ああ、そうするか。暇だし」


 ということで、キルス達王都にいる家族全員で王都観光に繰り出すこととなった。



 一方そのころ、騎士団も街に繰り出していた。


「件のドワーフは、西区だな」

「はい、間違いありません」


 ゾロテスの確認にグンデートがはっきりと答えた。


 彼らが尋ねようとしているのはコルダスというドワーフの鍛冶師で、このものこそ、今回キルスのエスプリートの偽物を制作した鍛冶師である。


 そうして、西区にあるコルダスの工房へとやってきた。


ガチャッ


「おう、なんだ一体、いやに集団のお出ましじゃねぇか」


 ゾロテス達が工房の扉を開けると、そこには1人のドワーフが店番をしていた。


「貴様がコルダスだな」

「ああん、確かに、俺がコルダスだが、騎士がなんの用だ?」


 コルダスは鍛冶師だ、そのためやって来たのが騎士であることはすぐに分かっていた。


「これを作ったのは貴様だろう」

「んっ、ああ、確かにそいつは俺が作ったぜ。まぁ、適当に作ったレプリカだがな」

「レプリカだと?」

「ああ、そう聞いてるぜ。ていうか、俺に依頼を出したのはお前らじゃねぇか」

「なにっ!」


 ゾロテスは驚いた。というか、そもそも、騎士団はそんな依頼を出していない。

 ゾロテスは、どういうことかと詳しく聞く必要があると判断した。


「そいつを詳しく聞く必要があるようだ。我らと同行願おうか」

「あん」

「あんた」


 その時、奥から店の様子がおかしいと感じたコルダスの妻、リーカが心配そうに出てきた。


「問題ねぇ。お前は引っ込んでろ、どういうことか知らねぇが、俺が何をしたってんだ。おぉ」


 コルダスは自分が作ったものはあくまでもレプリカであり、悪いとは全く思っていなかった。


「いいだろう、なら、教えてやる。貴様が作ったこれは、レプリカなんというものではない、ただの偽物、しかも、こいつは謁見の間で陛下がご覧になっている。この意味は分かるな」


 つまり、国の頂点である国王が偽物を見せられたということ、そして、その偽物の作者がコルダスということである。

 それを説明すると、途端にコルダスの顔が青くなる。

 当然だろう、さすがにこれは下手をすれば処刑されかねない案件だからだ。


「あっ、あんたっ!」

「くっ、待て、俺は、知らなかったんだ」

「それを調べるために、同行してもらう、いいな」

「わ、わかった」


 こうして、コルダスは真っ青になりながらゾロテスをはじめとした騎士団たちに連れていかれたのであった。


「あ、ああぁ」


 嘆くリーカを残して……



「っで、貴様に依頼したのは、何処のどいつだ」


 王城の騎士団詰所、取調室に連れてこられたコルダスはさっそくゾロテス自ら聴取が行われた。


「あ、ああ、ありゃぁ、6日前のことだ……」


 観念したコルダスは自身の罪を軽くしようと、すべての事情を話した。

 それによると、6日前、やたら図体のでかい騎士の格好をした男が、ふらりとやって来た。

 その男が言うには、素晴らしい魔剣を手に入れたので、本物を国王に献上し、レプリカを騎士団詰所に飾りたいから作ってもらいたいと言ってきた。

 こういった依頼は、王都の鍛冶工房ではたまにあるので、コルダスもすぐに引き受けた。

 しかも、その剣がキルスのエスプリートという本当に素晴らしい剣であったことから、コルダスも気合を入れて作り上げたという。


「なるほどな。確かに、そういった依頼をすることはままあるな。しかし、やたらとでかい男か」

「ああ、といっても、俺にとってだからな、そうだな、お前さんより頭1つってとこか」

「俺よりか」


 ゾロテスよりも頭1つ分でかい男であったという証言を得た。

 その後、より詳しく顔やその他の特徴を聞き出していくゾロテスと、それに素直に応えるコルダス。

 そんな中、ゾロテスをはじめその場にいた騎士たちの頭にある男が浮かんだ。


「……まさか」

「……嘘だろ」

「で、でも」

「……デリアルト」


 デリアルトというのは、ゾロテス配下の騎士部隊で隊長を務めていた男で、つい2日前に騎士団を辞していた。

 これには、ゾロテスたちはショックを隠せなかった。

 なにせ、デリアルトは選民意識は強かったものの同じ貴族でもある騎士たちにもは良き友人であり、ゾロテスも信頼していた男だった。

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