第149話 キルスの実力
王城にやって来たキルス達であったが、キルスだけは暇であった。
そんな時、ふと練兵場に言ってはどうかと提案を受けた。
そんなわけで、やって来た練兵場、そこには多くの騎士たちが模擬戦をしていた。
そして、出会った騎士団長、なんと、この騎士団長はかつて国軍兵士であり、キルスの祖父フェブロの部下だった。
「どうかな、キルス模擬戦に参加してみないか?」
騎士団長ゾロテスがそういった提案をしてきた。
「俺は構わないけど、いいのか?」
騎士団と言えば国の戦力のかなめ、そんな存在とただの冒険者が果たして模擬戦をしてもいいのかどうかキルスは気になった。
「問題ない、こちらとしても、キルスがどこまでの戦力を持っているのかを把握しておきたいからな」
ゾロテスはかつての上司の孫であり、一年にも満たない時間でBランクに上り詰めた、どう考えても驚異的な存在であるキルスの実力を見ておきたいのであった。
「わかった。そっちがいいなら、俺としてはちょうど良いしやろう」
「よし、決まったな。集合!」
話がまとまったところでゾロテスが訓練中の騎士たちを呼び寄せた。
「貴様等、これよりここにいる冒険者キルスと模擬戦をしてもらう」
ゾロテスからそれを聞いて騎士たちがざわめいた。
「静まれ! この者キルスはこう見えてBランクだ。また、エンシェントドラゴンを討伐した猛者。その胸を借りるつもりで挑め。まずは、ゾンタス、前に出ろ」
「はっ」
ざわめく騎士たちを一喝した後、一番不満そうな顔をした男ゾンタスの名を呼んだ。
ゾンタスは上官からの命令にすぐに返事をしたものの、まだキルスの実力を疑っていた。
「武器は模擬剣、魔法の使用は禁止とする。ただし、身体強化のみ可能だ。はじめっ!!」
ゾロテスがそういって号令をかけた。
余談だが模擬剣とは、普通の鉄製の剣の刃がついていないものである。
そのため、当たれば、キレることはないが、痛い上に場合によっては骨が折れるだろう。
「はぁっ!」
開始の合図とともにゾンタスが気合を入れキルスに斬りかかる。
ゾンタスはキルスが若いことからこの一撃で終わらせてしまおうと考えていた。
しかし、キルスはその剣を受け流しつつ、身体を回転させて、背後に回る。
「くっ」
「そこまで!」
背後に回ったキルスがゾンタスに剣を突き付けたところでゾロテスが止めた。
「ゾンタス、貴様の敗因はキルスを舐めたことだ。いいか、さっきも言ったが、キルスはただの子供ではない、Bランクの冒険者だ。油断していい相手ではない、次、ルーク」
「は、はっ」
続いて、別の騎士との模擬戦が始まった。
今度のルークは油断なくキルスに斬りかかる。
しかし、その実力はキルスに遠く及ばず、あえなく数合しか剣を合わせずに敗れ去った。
その後、数人の騎士と模擬戦をすることとなったが、すべてキルスの圧勝であった。
「はぁ、ある程度予想はしてたが、まさかここまでとは、貴様等、情けないぞ」
騎士たちがあまりにもキルスに圧倒されたことで騎士団長であるゾロテスは頭を抱えた。
「も、申し訳もありません」
代表してゾンタスが頭を下げた。
ちなみに、ゾロテスとゾンタス、名前が似ており紛らわしいが、実は兄弟である。
「ふむ、すまんなキルス、まさかここまでの強さとは、俺も思わなかった。というか、すでに大佐も越えているんじゃないか?」
ゾロタスはキルスの余りの強さからすでにフェブロを越えているのではと考えた。
「ああ、たしかに、爺ちゃんにも言われたな」
「ふふっ、なるほど、なら、今度は俺と模擬戦をしてもらおう」
「だ、団長?!」
団長であるゾロタスがキルスと模擬戦をやると言い出したことに騎士たちが驚愕した。
「静まれ! ということだ、キルス、どうだ?」
「もちろん、構わない。こちらとしても願ってもないよ」
そういうことで、キルスとゾロテスとの模擬戦が開始されることとなった。
「そ、それでは、団長とキルス殿との模擬戦を開始する。はじめっ!」
号令をかけたのはゾロテスの弟であり、第4部隊隊長のゾンタスである。
そうして、始まった両者の闘い。
まず、ゾロテスが上段からの振り下ろしに対して、キルスは素早く横によけて切り上げる。
それを、ゾロテスが素早く剣を切り返して受け止めた。
この一合で両者は、お互いに油断できない相手であると認識した。
続いて、次々に剣戟を入れていくが、お互いに決定打を浴びせることはできなかった。
そうして、しばらく剣戟が続いた。
それは時間にしては数秒、しかし、キルス達にとっても、それを見ている者たちにとっても、長時間にも及んでいるように感じていた。
「やはり、やるな」
「それは、こっちのセリフだよ。さすがに騎士団長、そっちも爺ちゃんを越えてるだろ」
「それは、嬉しい言葉だ」
実際、キルスがフェブロとの模擬戦をしたことがあるための言葉である。
そんな会話の後、再びぶつかる。
それから、数合両者譲らず数合。
「すげぇ」
「まじかよ」
キルスとゾロテスの戦いを見ていた騎士団の団員たちは、自分たちが逆立ちしても勝てないと思っている団長とキルスが互角にやりあっていることが信じられなかった。
「やるな! だが、これはどうだ!」
ゾロテスは笑みを浮かべつつ、渾身の一撃をキルスに見舞った。
それは、長年の研鑽によって生み出された純粋な剣技である。
それを受けたキルスは、何とかかわすことに成功、そして、次の瞬間にはキルスの剣がゾロテスの腹部に当たる。
「ぐっ、見事だ」
「ふぅ、あぶなっ」
これにて、キルスの勝利である。




