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第148話 練兵場

 キルス達がカテリアーナの誘いで王城にやって来て2日。


「暇だぁ」


 キルスは暇であった。

 というのも、オルクは前日から王城の厨房に向かい、キルスや玲奈、幸が持ち込んだ日本の料理を教えており、ラナはそのサポート。

 玲奈とエミルはというと、王城内に務めるメイド達相手に美容講座を開き、幸とキレルも一緒だ。

 そうなると、キルスは1人となってしまうわけだ。

 それなら王都観光や冒険に出てはと思ったが、それは止められた。

 その理由は、国王との謁見である。

 通常国王との謁見には1月はいうにかかる、しかし、今回は1週間後となった。

 なら、それまでは自由だと思っていると、違うようだった。

 予定は未定とはよく言ったもので、国王との謁見もどうなるかわからない、もしかしたら突然国王の時間が空き、謁見ができる可能性がある。

 そうなると、キルスにはすぐに連絡が取れる場所に居てもらわなければならない。

 つまり、王城から出るなと言われてしまったのだった。


「暇だし、兄さんのところに行ってみるかな」


 王城内なら何処にいても問題ないために、キルスは暇つぶしにオルクのところに行くことにした。



「あれ? キルス、どうしたんだい」


 キルスが厨房に到着すると、ちょうど視界に入ったことでオルクが気が付いた。


「暇だから様子を見に来たんだよ」

「ああ、なるほど、なら、ちょうどよかった、今からコロッケを作ろうと思っているんだけど、手伝ってくれるかい」


 コロッケは当然だが、キルスが以前ファルコに伝えた料理だ。

 それを、ファルコがこの世界の住人に合うように、また、この世界で手に入るような食材で出来るようにアレンジしたものである。


「コロッケか、わかった」


 というわけで、その日はオルクの手伝いでコロッケをはじめ様々な料理を料理人たちに教えていくのであった。



 そうして、翌日、キルスは再び暇であった。


「今日はどうすっかな」


 本日もキルス以外の面々はそれぞれやることがあるが、キルスだけは相変わらず暇であった。


「キルス様、練兵場をお尋ねしてはいかがでしょうか?」


 キルスにそう提案したのはキルスに付けられた監視を兼任した執事ソダイルである。

 キルス達にはこういった執事やメイドが監視を兼任して付けられていた。

 ちなみに、オルクとラナにも執事がつけられているが、これはオルクの容姿からメイドが仕事が出来なくなるのを防ぐためである。

 また、玲奈達にはメイド、つまりリッタがついている。

 その理由はやはり、玲奈たちが女性であるということや、玲奈たちが行っているのが美容に関することであることが理由だ。

 リッタはメイドであるが、貴族令嬢でもある。当然美容に興味があり話を聞きたいだろうと、エミルの発案でそうなった。


「練兵場か、いいのか、俺が行っても」


 練兵場となれば、国にとっては戦力がわかるような重要な場所、一般人であるキルスが行っても良いところだろうかと、キルスは聞いた。


「はい、騎士団長には確認しております」


 仕事の速いソダイルである。すでに、騎士団長から許可を取っていた。


「それなら、行ってみるか」


 そういうわけで、キルスの本日の予定は練兵場となった。



 練兵場へとやって来た。

 そこでは、多数の騎士たちが剣を交えて模擬戦をしていた。


「……そこっ! 踏み込みが甘い!」


 そんな怒鳴り声が聞こえてきた。


「やってるなぁ」


 そう思いつつも、その雰囲気に覚えがあるキルスであった。


「んっ、おおう、貴殿が、キルスか、なるほどなるほど、確かに、大佐と同じ空気を放っているな」


 キルスの登場に先ほどまで怒鳴っていた男がそういいながらキルスの傍までやって来た。


「ん? 大佐?」


 キルスは男が言った言葉に首を傾げた。


「ああ、私は騎士団長のゾロテス・ド・エクレールという、以前は国軍に所属していてな。貴殿の祖父、フェブロ大佐にはずいぶんとしごかれたものだ」


 なんと、騎士団長はかつてキルスの祖父であるフェブロの部下だった。


「えっ、爺ちゃんの、あ、もしかして、それで」


 キルスは納得した、なぜ騎士団長が許可をくれたのかということを。

 それから、キルスはゾロテスと国軍時代のフェブロの話などをしつつ過ごしたのであった。


「……おおっ、そうだ。キルス、どうかな模擬戦に参加してみないかね」


 ふと、ゾロテスがキルスにそう提案した。

 ゾロテスとしても、自分が世話になったフェブロの孫であり、エンシェントドラゴンを討伐したと聞いているキルスるの実力を見てみたいという考えがあっての提案だった。


「もちろん、かまわないけど、そっちはいいのか?」

「構わん。私もキルスがどこまで出来るのか見てみたいからな」

「そういうことなら」


 というわけで、キルスはその提案を受け入れたのであった。

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