第137話 海だぁぁぁ!
この世界に生まれ変わって15年、所管されてからを数えると16年、もう二度と口にすることはないとあきらめていた米。
キルスはついにここカルナート王国で見つけた。
そして、ついに今しがたそれを大量に強いれることができたのだ。
その量、約40キログラムの袋を42個、総重量1680キログラムである。
そして、馬車に詰める積載量が1.7トンであることからも詰めるだけ積んだというわけだ。
ちなみに、俵にすると1俵60キログラムだと言われていることから、大体28俵ということになる。
この量は日本人が1人、1年で消費する米が2018年には53.5キログラムとされていることから、約31年分ということになる。
最も、キルスの一家は全部で19人のために、2年も持たない量であった。
それを考えると、もっと欲しいと思うところではあるが、さすがにマジックストレージを秘密にしているキルスではこれが限界であろう。
「まぁ、こんなもんか、さすがに何度も通うわけにもいかないしな」
仕方ないと、それでも米を入手できた喜びを噛みしめつつ意気揚々とウオニースを出ていった。
「大体ここらへんかなぁ。シルヴァ―道をそれてくれ」
「アウン」
キルスが嬉しそうにしていることがシルヴァ―も嬉しいのかご機嫌で返事をして道をそれた。
そうして、道をそれたキルスは荷馬車に乗った米をマジックストレージに納め、最後に荷馬車を収納したのであった。
「さぁて、次は南に行くぞっ」
「バウ、バウン」
キルスの続いての目的は南、それは……。
「海だぁぁぁぁ!!」
「バ、バウ、バウ」
そう、海である。キリエルン王国は内陸にあり海がない、それに対して、カルナート王国の南側は海、せっかくカルナートに来たのだから元日本人としては母なる海を見てみたかったのである。
「出来れば、家族で来たかったけどな」
さすがに家族全員では来れない。
「さて、シルヴァ―頼む」
こうして、キルスは海に面した港町、イザナールへとやって来た。
「とりあえず、ここには数日は居るつもりだし、ギルドには言っておくか」
というわけで、まずは冒険者ギルドに向かうことにした。
その後、宿を取り適当に街を見渡しながら情報を集めることにした。
「まずは、なんといっても海産物だな」
先ほども言ったようにキリエルンは内陸、魚といえば川魚しかない。
キルスも特に川魚化が苦手と言わけではないが、海の魚の方が好きだった。
そんなわけで、まずは港に向かうことにした。
「うぉう、一杯あるなぁ、あれなんて魚だ?」
魚を見てこれがなんて名前なのか、ということがわかるわけでもなく、鑑定スキルで確認していった。
とはいえ、キルスは前世でもそこまで海産物に詳しいわけではないため、結局はよくはわからなかった。
「おっ、にいちゃん。どうだい、買っていかないか。こいつは煮ると美味いぞ」
適当に見ていると、そういって声をかけてきたおっさんがいた。
「へぇ、なんて魚なんだ?」
その魚は何となくヒラメかカレイに似た魚であった。
尤も、キルスはヒラメとカレイのちがいなんてものはわからないが。
「ああ、こいつはカリアロって奴だ。どうだ?」
「そうだな。もらうよ。ああ、あと、そっちのもくれるか?」
「おう、こいつはアジエロってんだ。焼いても美味いぜ」
キルスが買った魚、カリアロはカレイに、アジエロはアジによく似たものであった。
その後、キルスは市場をめぐり多くの海産物を手に入れたのであった。
「ふぅ、結構かったなぁ。でも、さすがにこれだけじゃ、足りないしなぁ。となると、自分で獲るか。それに、エビはあったけど、カニはなかったし、後は蛸とかイカ、他にも小魚とか海藻類も欲しいしなぁ」
この地域ではそれらを食す週間がないために、市場でも存在しなかった。
もちろん、海に入ればそれらを手に入れられるというわけではないが、淡い期待を持ち、翌日キルスはシルヴァ―とともに海中に躍り出たのであった。
収穫はあった。なんと驚くことにキルスが欲しかった海産物がことごとく手に入ったのだ。
ちなみに、海中では水魔法と風魔法の合成魔法で水中呼吸の魔法を使い苦も無く潜ることが出来ていた。
「よっしゃ、これでだいたい手にはいいたな。明日は何かいい物がにか探すとするか」
こうして、キルスの港町滞在2日目が過ぎていった。
翌日、キルスは再び衝撃的な出会いを果たしていた。
「うそだろ。まじかよ。いや、でも、まさか、こいつがあるとは!」
出会いは突然だった。たまたま昼食を取ろうと立ち寄った食堂、メニューによくわからないものがあり、それを注文してみたところ、出会ったのだ。
「まさか、こんなところで、味噌、それに醤油まで……」
最初出てきたときはなんとも懐かしい香りのする煮ものだった。
それを口に入れたとたん、口内に広がる懐かしい味噌の風味。
また、焼き魚にかかっていたソースを口に入れると、そこには醤油の味がはっきりと感じることができたのだ。
その後、キルスが米と同様この両者を買い占める勢いで買ったことは言うまでもないだろう。




