第115話 再会と出会い
3日の旅路の末、キルス達はバイドルへとたどり着いた。
バイドルの街は小さく特に特産的なものがあるわけではない為に、門に人々が並んでいるということはなく、スムーズにくぐることができた。
その際、いつものなら、ドーラフがいるのだが今回はいなかった。
それはそうだろう、この街の警備兵はドーラフだけではないし、何よりドーラフだって番兵ばかりをしているわけではないのだから。
ということで、特に何かあるわけでもなく門を潜り抜けたキルス達であった。
「まず、ギルドに行くんだよな」
ここで、キルスは予定を確認した。
「うん、お願い。先に済ませておきたいし」
「わかった」
シュレリーはトーライドのギルドマスターから、依頼を受けていた。
それを従弟妹達に会う前に済ませておきたいと、事前にキルスに話していたのだ。
ちなみに、コルスたちも一緒について来ているが、それは単純にバイドルのギルドを見ておきたいということである。
そんなわけでやって来たギルド、キルス達は中に入っていった。
ギルドに入るとそこは昼前だからか、閑散としていた。
だが、キルスがギルドに入ってもいつもの声が聞こえない。
それは、ニーナの声である。
どうしたのかと思って受付を見てみると、新たな依頼人だろうか、中年の男性がニーナの前に立っていたのだ。
「ニーナ姉さんは、接客中か、なら」
と、キルスはニーナの隣に座っているニーナの同僚である人族であるサキアの元へとむかった。
「あら、キルス君じゃない、ごめんね、ニーナは今接客中だから」
ニーナの影響で、このギルドでは基本キルスはキルス君と呼ばれている。
つまり、ここのギルドではニーナの弟扱いなのであった。
「まぁ、それは、見ればわかるよ。それと、今日は、俺というよりこっちだから」
そういってキルスが横にずれると、シュレリーが前に出た。
「初めまして、私はトーライド冒険者ギルド、受付を担当しております。シュレリーと申します。本日は、我がギルドマスターゴンザスより、バイドルギルドマスターブレン様に書簡を預かってまいりました。突然で申し訳ありませんがお目通りを願いませんか?」
シュレリーは折り目を正してサキアにそういった。
「トーライド、それって、はっ、失礼しました。私は当ギルド受付担当のサキアと申します。ご用件確かに受け届けました。ただいまギルドマスターに確認を取ってまいりますのでお待ちください」
サキアもトーライドと聞いてそれが、かなり遠くの街の名だと思いつつも、すぐに受付嬢としての教示を思い出して対応してギルドの奥へと向かって行った。
「うむ、ここのギルドもなかなかよさそうだな」
コルスは元ギルドマスターとして、サキアの対応を嬉しそうに見ていた。
「おかえり、キー君」
すると、そこに接客を終えたニーナがキルスに声をかけた。
「ただいま、ニーナ姉さん」
「うん、無事で何よりね。えっと、それで、その方たちが?」
「ああ、従姉のシュレリーと、爺ちゃんと婆ちゃん、あとは叔父さんと叔母さんだよ」
「そう、初めまして、ニーナと言います。いつもレティア小母さんにはお世話になっています」
「ふふっ、そんなかしこまらなくてもいいのよ。あの子が、娘のように思っているのなら。私たちにとっても孫も同然」
「そうだな。これからも色々とよろしく頼むよ」
「はい、ありがとうございます」
「おまたせしました」
ニーナがコルスとレーラと話していると、サキアが戻ってきた。
「ギルドマスターがお会いになるそうです」
「ありがとうございます。じゃぁ、私ちょっと行ってくるね」
前半はサキアに、後半は家族に言ってからシュレリーはギルドの奥へと入っていった。
それから、数分シュレリーが戻ってきたことで簡単な話をしてから、キルス達はニーナと別れてギルドを後にした。
「ニーナちゃん、いい子だったわね」
「そうだな」
ニーナの印象は上々であった。
「キルス君のお家って、すぐ近くなんだよね」
「ああ、あそこの路地を入ったところだよ」
「ほぉ、、いいところだな」
大通りではなくそこからちょっと路地に入ったところ、めだたないがいい立地であった。
というわけで、路地に入りすぐ、ファルコ食堂の看板が見えてきた。
「あそこか」
「ほんとにすぐね」
この時、コルスとレーラ以外は緊張していた。
シュレリーは初めて会う従弟妹達と伯父と伯母に対して、アレンは久しぶりに姉との再会とまだ知らぬ義兄に、リミルファにとってはレティアに対してであった。
「じゃぁ、入るよ。ただいま」
「んっ、おかえりって、あら、キルス」
キルスが帰るとそこにはサーランを抱いたレティアがいた。
「えっと、アレン、久しぶりね」
レティアはまず目に入った両親ではなく弟に挨拶をした。
というのも、久しぶりに会った両親、しかも飛び出してきた手前の気まずさからの言動であった。
「久しぶり、姉さんは変わらないね」
「あなたは、老けたわね」
「そりゃぁ、変わらない姉さんがおかしいだけだろ」
「そう、リミルも久しぶり、あなたとアレンが結婚していてよかったわ」
「レティアさん、お久しぶりです」
「ええ」
リミルファとレティアは当然顔見知りで、昔からアレンの結婚相手はリミルファしかいないとレティアは考えていただけにこの事実を喜んでいた、
「それと、あなたがシュレリー、ほんと、若いころの私によく似ているわね。苦労も多いと思うけど、頑張るのよ」
「はい、えっと、伯母さんで、いいのかな。はじめまして」
「もちろんよ」
シュレリーはレティアの見た目から、果たして伯母さんと呼んでいいのかためらった。しかし、レティアは当然と言わんばかりに言ってからシュレリーの頭に手を乗せた。
「レティア、ここはまず、俺たちに挨拶じゃないのか」
ここで、これまで黙っていたコルスがいかにも怒っていますという表情でレティアに詰め寄った。
それはそうだろう、いくら気まずいからといって、まず親である自分たちでなく弟や嫁、孫に挨拶をしていき、親である自分たちが最後となったのだから。
「うっ、そうなんだけど、えっと、ひさしぶり、父さん、母さん、えっと、抱く?」
ようやく、両親に挨拶をしたレティアであったが、両親の目が自分よりも自身が抱いているサーランにいっていることがわかり、そう尋ねた。
「当然だ」
「そうね」




