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44 紅翼の刃

 激闘が、展開されていた。


「このっ……!」


 俺は『付与魔術・第三術式』で無数の武器をいっせいに放つ。



 奴らの大半を一掃するものの、

「まだまだ」


 ゴルドレッドは新たに戦騎兵を作り出した。


「ポイント消費が激しいとはいえ、限界には遠い。俺と君、どちらのポイントが先に尽きるか――根競べしてみるか、レイン・ガーランド?」


 ゴルドレッドが悠然と言った。


「こいつ……!」


 本当に、まだまだポイントを保有しているのか。


 それともハッタリで本当は、そう何度も戦騎兵を作り出せないのか。


 どちらとも判断がつかなかった。


 俺のほうも、さっきの戦いで大量のポイントを得たから、『第三術式』を何度か放ってもポイントに余裕はある。


 けれど――。


「ここで使い果たすわけにはいかない……!」


 ゴルドレッドとの戦いをしのぎ、先に進んだとしても、そこにも待ち受けている敵はいるはずだ。


 きっと『星の心臓』の最深部までに立ちはだかる『天星兵団』が何体かは、確実に。


 そいつらに立ち向かうために、ポイントはある程度残しておかなきゃいけない。


 といっても、それはゴルドレッドも同じはず。


「ふん、ポイントの振り分けに悩んでいるのか? 言っておくが、駆け引きや腹の探り合いで、君が俺に勝てるとは思わないことだ」


 ゴルドレッドはますます余裕だ。


 その態度もまたハッタリなのか、それとも本心なのか――。


 ああ、ダメだ。


 やっぱり駆け引きには向いてないな、俺。


 考えていくと頭がこんがらがってくる――。


「レイン様、おひとりで悩まないでください」


 リリィが俺のそばに寄り添った。


「あたしたちが、います」

「そうそう。仲間を信じてね~」


 マルチナはこんなときでも明るい。


「俺たちだってやるんだ、ってところを見せてやるよ」


 そしてマーガレットは強気だ。


 いずれも頼もしい、俺の仲間たちだった。


「【虹帝斬魔刃(こうていざんまじん)】!」


 リリィが虹色に輝く斬撃で戦騎兵を切り裂く。


「そのスキルは――」

「あたしだって少しは強くなってるんですよ、レイン様」


 リリィが悪戯っぽく笑う。


「あたしも負けていられないねっ。【ブラストブレード】!」


 今度はマルチナが戦騎兵を切り伏せる。


 さすがに二人は歴戦の猛者という感じだった。


 一方で、


「二人ともすげぇ……くそっ、俺の剣じゃ――」


 マーガレットは苦戦している。


 俺が強化付与したその剣は、戦騎兵との戦いの中で、すぐに折れてしまった。


 オリジナルでないとはいえ、さすがに『天星兵団』だけのことはある。


 いくら『+300』した剣でも、普通のモンスターを倒すみたいにはいかない――。


「……いや、待てよ」


 俺はふとあることを思いついた。


 第三術式を発動し、無数の魔剣を浮かび上がらせる。


 射出はせずに、そのまま留めておき、


「マーガレット、ここにあるのは全部伝説級やそれに準ずる魔剣だ。この中から使いやすそうなものを持っていってくれ」

「えっ」


 驚いた顔で彼女が俺の元まで走ってきた。


「さすがにリリィやマルチナの剣には及ばないかもしれないけど、それに近い格があるんじゃないかな」

「へえ、こいつはいいや」


 マーガレットがニヤリと笑う。


 そして、しばらく剣の群れを見回した後、一本の剣を手に取った。


「よし、これにするぜ。手にしっくり馴染むし、重さとバランスもちょうどいい」

 言って、マーガレットは剣を見つめる。


 血のように赤い刀身を備えた長剣だ。


「銘は――『紅翼の刃(デュランディス)』か。へへ、よろしく頼むぜ、新しい相棒」




 激闘は、さらなる激化を見せた。


 リリィ、マルチナに加え、新たな剣を得たマーガレットも獅子奮迅の活躍を見せる。


 全員の剣に『+300』の強化付与を施したうえで、俺自身も燐光竜帝剣(レファイド)を振るい、衝撃波を放って戦騎兵たちを薙ぎ払っていく。

 と、


「伝説級の剣を携えた剣士が四人か。さらにすべての剣に強化付与されているとなると――さすがに『天星兵団』といえども押し切れないわけだ」


 ゴルドレッドが俺たちを見て、つぶやいた。


 奴が言った通り、戦騎兵たちはオリジナルに比べれば、少し戦闘能力が落ちるみたいだ。


 それに『天の遺産』も使ってこない。


 ゴルドレッドの【変化】では、そこまで再現できないということか。


「なら――やれる!」

「そうはさせん」


 勢いづく俺たちに対し、ゴルドレッドが淡々と告げた。


「光竜王、君たちも加われ」

「――ふん」


 光竜王が進み出た。


 その左右には閃鳳王と輝獣王が並ぶ。


「伝説の三本の剣……我を封じ、撃ち破った忌々しい剣ども」


 光竜王がうめいた。


「だが、もう二度と敗れはせんぞ。今こそ、我が力のすべてを解放し、我は『我』を超える――」


 なんだ……?


 光竜王の全身からまばゆい輝きがあふれた。


 さらに閃鳳王と輝獣王も同じように輝き、三体の輝きが一つに交じり合う――。

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