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賢者になったドワーフ娘(仮)  作者: いりよしながせ
王子様とドワーフ娘
95/128

95.(困話)エリーの内政

この話から数話ほどエリー視点になります。

少し時間がさかのぼり、ドワコがオサーン公国に向け出発した頃。


マルティ王国の城でドワコを見送ったエリーは急いでドワコ領に戻った。

そしてドワーフの親方の元を訪れた。


「親方こんにちは」


「おや、エリーかい?また厄介ごとを持って来ていそうな顔をしているな」


「わかりますかぁ。さすが親方ですね。」


「ちょっとお願い事がありまして・・・」


「まあ聞くだけは聞いてやる」


親方は見た目の可愛さに騙されてはいけないと、心に言い聞かせた親方はエリーの話を聞く事にした。


「集合住宅をですね・・・あと20棟ぐらい建ててほしいんですよぉ」


「20棟って・・・それをいつまでに建てればいいんだ?」


「3カ月で全部建ててください。建設予定の土地の確保、資材の発注、人員の確保もほぼ完了しているのでなんとか行けるはずです。」


「こりゃまた、しばらく働きづめになりそうだな。」


「私の計算では20棟行けると思いますけど、あくまでも目標ですので手抜き工事などは駄目ですよ?無理なら1棟ぐらい少なくても大丈夫ですので。」


「あーわかったよ。努力してみるよ。」


「それじゃお願いしますね」


必要な書類などを親方に渡し、エリーは次の場所に向かった。



「それで、これを量産しておけばいいの?」


エリーは次に魔動機関係を担当しているドワミの所へ来ていた。

試作した兵器の量産体制についての今後の方針についての話をしている。


「そうそう。お願いね。」


ドワミに指示書を渡し、エリーは執務室へ行った。



「お疲れ様です。デマリーゼ様。」


「あら、エリーさんじゃないの。どうしましたの?」


ドワコの代わりに執務を担当しているデマリーゼが言った。


「これとこれとこれと・・・の決済をお願いします」


そう言って書類の束をドンと机の上に置いた。


「なっなんですの?この量は」


余りにも大量の書類にデマリーゼが驚く。


「これから一気に人口が増えますので大変になりますよぉ。頑張ってください。領主代行。」


にこやかにエリーが言った。


「とっ、当然ですわ。」


引きつった顔のデマリーゼが答えた。

エリーはその足で護衛隊の基地に向かう。



「こんにちわぁ」


「あらエリーちゃんいらっしゃい」


基地の指令室に入ると、今の時間の担当をしている第4護衛隊の隊長であるカーレッタが出迎えた。


「えっと、これ当面の作戦指示書になります。通常業務の他は、ほとんどが訓練ですけど・・・。」


「兵器関係の習熟が主な内容になってますね。えっとこれは?」


指示書を見ながらカーレッタは後半に書かれている奇妙な作戦が気になりエリーに聞いた。


「試作船を使った海洋訓練です・・・と言うのは名目上ですが、難民船の捜索をしようと思っているんです。」


「この前みたいな難民船がまだいると?」


前に難民船を保護した時は人口が500人ほど増えた。あとどれくらい、そういう人たちがいるのかカーレッタには予想が付かなかった。


「またまだいますよ。とにかく領地の人員不足を解消するのにはこれが一番手っ取り早いんですよぉ。」


「でも試作船ってドワコ様が持って行ったんじゃないですか?」


「大丈夫です。ある所で預かってもらってますので、いつでも使用できるようにしてあります。」


「その辺抜け目がないよね」


少しあきれ顔のカーレッタが言った。


「それじゃお願いしますね」


「はーい。みんなにも伝えておくね。」



今後の方針に従ってエリーは関係各所を回り、指示を伝えていった。そして最後に神殿へと向かった。

砦から魔動鉄道を乗り継ぎ神殿前で降り、神殿の中に入った。


「こんにちは」


「これはエリー様ようこそいらっしゃいました。どうぞ中へ。」


神殿のシスターであるメロディが出迎えた。

今の時間は診療時間だ。多目的室に作られた診療所には数人の患者さんがいる。

ドワコは領主なので領地では有名なのだが、エリーは砦の者や城関係の者の間では有名人なのだが、村人クラスになるあまり知られていない。患者の間でヒソヒソ話が聞こえる。


「シスターが診察を中断してまで出迎えるって何者?」


「見た感じただの村娘に見えるけど」


「あんたら知らんのか?あの方はエリー様じゃ。ここの領主様の片腕と言われる御方じゃぞ。」


どうやら患者の中にエリーを知っている人がいたようだ。


「聞こえてますよぉ?」


にこやかな顔でエリーが患者たちに向かって答えた。


「「「ひっ」」」


皆黙ってしまった。


「それじゃサクサクっと治療しちゃいましょう」


そう言ってエリーも手伝い患者たちを治療した。

最後の患者も帰り、多目的室にはエリーとメロディだけになった。


「お茶です。どうぞ。」


「ありがとう」


シスター見習いの青髪の少女、アオリアがお茶を用意して持ってきた。そしてお茶をテーブルに置くと奥へ下がっていった。


「それで、今回はどのような御用で?」


「まずは魔法書の確認かな。そろそろ中級魔法が魔法書に記載されている頃だと思いますので・・・。」


メロディは回復魔法が使えるようになってからは、この神殿を診療所として沢山の村人の治療を行ってきた。また、ドワコの製作した魔法書は既存の魔法書と違い成長率が高いようだ。これはエリー自身も体験しているのでわかっている。詠唱方法はドワコのを見て覚えているが、実はエリーが使える闇属性と水属性だが魔法書にはすでに上級魔法まで記載されている。今の所は使用する事が無いので誰にも使えるようになったことは伝えていない。


「ちょっと待ってくださいね・・・」


ペラペラとメロディは魔法書をめくって新しいことが記載されていないか調べている。


「あっありました。ハイヒールとエリアヒールが使えるようになってますね。」


「それじゃ、パパっと詠唱方法教えちゃいますね」


エリーの手ほどきでメロディは光属性の中級魔法まで使えるようになった。


「これで治療の幅も増えますね」


嬉しそうにするメロディにエリーは頼みごとをした。


「これで貸しが一つできましたね。もちろん返してくれますよねぇ?」


ちょっと悪人顔になっているエリーが言った。


「ひっ。何を頼もうとしているんですか?」


「一つは、しばらくいまアイテムボックスに入っている試作船の航海に付き合ってほしいのと、もう一つは・・・。」


「エリー様、貸しは必つだけじゃ?」


もう一つ言おうとしたエリーを慌ててメロディは止めた。


「まあいいっか。もう一つのはドワコさんから直接頼んでもらった方が効果ありそうだし。」


「ひっ」


ニヤリとしたエリーの顔を見たメロディは顔が青ざめた。


「アオリアさん、アカネッタさん、キイベルタさんちょっと良いですか?」


エリーは3人の見習いシスターを呼んだ。


「「「はーい。ただいまぁ。」」」


トタトタと足音を立て3人がエリーの前に来た。


「急な事ですみません。明日からしばらくの間シスターをお借りしますので、お留守番お願いしますね。」


「えっ?はっはい。」


なんとかアカネッタが返事を返す事が出来たが、急に言われて3人共驚いている。


「それじゃ、明日迎えに来ますので、よろしくお願いしますね。」



そう言ってエリーは砦に戻った。

そして今日は一日色々な所を回り疲れたので浴場へ行く事にした。


服を脱いで浴室に入る。体を洗って湯船に飛び込んだ。


「やっほー誰もいないから貸切状態だぁ」


エリーは湯船に浸かりこれからの事を考えた。


一時期、エリーは夢による少し先の未来予知が出来たのだが、魔物が砦に攻めて来たあの日からその能力を失ってしまった。だが、それに代わる能力として、睡眠は関係なく意識すると未来が見えるようになってしまった。おかげで、それまでは夢の内容を覚えていないといけなかったのが、今は必要な時にその情報が取り出せるようになった。ただ、ギリギリまで先が確定しない条件については、どのようなことが起こるかまでは予想できてもその先が読めない時もある。


(まあやれるところまでやるしかないよね。)


「あら?エリー様も入っておられたんですね」


そう言って入って来たのはエルフの自称奴隷メルディスだ。体を洗いエリーの隣に入って来た。


「ご主人様行ってしまいましたね。とても寂しいです。」


メルディスは悲しそうな顔をした。


「そんな悲しい顔をしないっ。えいっ。」


そう言ってメルディスの胸を揉んだ。


「ひゃぁ」


驚くメルディス。だが主従関係がはっきりとしているのでメルディスはやり返さず、されるがままとなる。


「エリー様~もっとぉ」


メルディスは悩まし気な声を出す。


「これがドワコさんを誘惑しているんですね。偽乳のくせにぃ。」


「エリー様、もっと罵ってください。」


「・・・」


エリーとメルディスは夢中になりすぎて他に人が入っているのに気がつかなかった。


「ふっふっふっ。見られたからには生きて帰すわけには行かねぇな。メルディス確保よぉ。」


「了解であります」


エリーとメルディスは運悪く浴室に入って来たデマリーゼを確保した。


「何ですか?このドリルのような髪型は。こうしてあげます。」


エリーとメルディスは2人がかりでデマリーゼの特徴であるドリルヘアを伸ばしにかかった。


「やっ止めてくださいまし~」


嫌がるデマリーゼをよそに2人は髪を伸ばしストレートヘアに変えてしまった。


「そしてこうよ」


エリーとメルディスは連携してデマリーゼの体を触りまくった。


「あっそこ、くすぐったいですわ。ああん。そこは駄目ぇお嫁に行けなくなります。」


それからしばらく弄られまくられ、デマリーゼは事後のような荒れ果てた姿になった。


「エリー様、もう何でもしますから許してください。」


デマリーゼは泣きながらお願いをする。


「ごめんなさいね。少しやり過ぎたみたいです。それじゃまた3人で遊びましょうね。」


「はっ、はい喜んで」


エリーはデマリーゼを手懐けてしまった。


「やはりエリー様は恐ろしい方です」


横でガクガクブルブルしているメルディスだった。



翌日、エリーはメルディス、メロディ、カーレッタと第4護衛隊を率いてブリオリを目指す事になった。


「それでは留守中の事はお願いしますね。指示書通りに行えばドワコ様が帰るまでは大丈夫ですので。」


「かしこまりました。エリー様。お気をつけて行ってらっしゃいませ。」


いつものドリルヘアに戻ったデマリーゼが顔を赤くしながらエリー達を見送った。


「それでは行きましょう」


エリーの号令でそれぞれは魔動装甲輸送車に分乗しブリオリを目指した。

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