表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
賢者になったドワーフ娘(仮)  作者: いりよしながせ
ドワーフの領主様
80/128

80.旅立ちの準備

神殿長の視察より数日が経ちドワコは護衛隊の基地に来ている。


今日は以前から研究開発をしていた兵器一群が完成したので試験をする事になっている。


今回製作された物は、小火器から重火器までの様々な種類の火器だ。拳銃、自動小銃など歩兵用装備から魔動投石車をベースに開発した戦車砲を搭載した魔動戦車や榴弾砲を搭載した魔動自走砲などまで製作した。また装備の強化として魔動装甲輸送車には機関砲が搭載され、魔動投石車には、すでに船で採用したブロックの中に爆弾を入れ着弾と同時に爆発するタイプのものに交換した。さらには航空戦力として新開発した単葉機に機銃と爆弾を装備した戦闘爆撃機も試作した。艦載用の火器も開発したかったが今は必要性がないと判断し今回は見送った。


この装備を正式採用する事で戦い方を大幅に変更する事にした。今までは剣や槍、弓矢などが主な武器だったが自動小銃を主な使用する武器に変更し、遠距離から攻撃をするようにして近接戦闘を極力避けるやり方にした。これにより戦いでの損害が大幅に減ると見ている。もちろん近接戦闘用に従来の剣なども装備はさせる予定だ。


まずは拳銃の試験を行う。ドワミが皆にお手本を見せる。


ダンダンダンと的に打ち込む。


それを見ていた者たちは歓声を上げる。

次に自動小銃のテストを行う。ドワミが構え引き金を引く。


ダダダダダ・・・と連続で発砲し的がハチの巣になっていく。


見ている人は驚くしか反応が無い。


次に魔動戦車、魔動自走砲の試射を行う。戦車は少し離れた所に的を置き狙いを定め射撃した。物凄い発砲音が響き耳を押さえている者もいた。そして自走砲の試射だ。かなり離れた山の中腹に大きな的を付けておいた。そして射撃が行われ、的に着弾してから少し遅れて着弾音が聞こえた。


「どうでしょう?」


ドワコが今回の試験に集められたメンバーに聞いた。今回この場にいるのは、砦の守備衛士をまとめるデマリーゼ、国境の各砦の守備を任せているライモンド、第1護衛隊の隊長カレン、第2護衛隊の隊長ベラ、第3護衛隊の隊長ケイト、第4護衛隊の隊長カーレッタ。領地の軍幹部全員が来ている。


「すごいとしか言いようがありませんわ」


デマリーゼが言った。他の者も同じような感想らしい。


「一体ドワコ様は何と戦う気なのでしょう?」


ライモンドがドワコに質問した。


「そうですね。魔物との戦闘を想定しています。圧倒的な火力を必要とするのは攻撃が最大の防御と偉い人が言っていたのでそれを実践した感じです。その方が兵たちの生存率も上がりますからね。」


「次に、新しく開発した魔動戦闘爆撃機のテストを行います。」


ドワコの声で準備していた単葉機が魔動機を回し準備に入った。基本的に以前開発した魔動飛行機が複葉機から単葉機に変わったような形状をしている。ただ、重い火器や爆弾を搭載するために若干の大型化がされている。


「こちらが空での戦闘を想定した魔動戦闘爆撃機で両翼には機銃が取り付けてあります。これで空を飛んでいる魔物を攻撃します。」


実際ドワコは空を飛ぶ魔物を召喚獣以外見た事が無いが、聞く所によると、存在はしているらしい。その為に開発を行った。


「ほうほう、これがあれば今まで手が出せなかった飛行する魔物を攻撃できるわけだ。以前現れた時には対処に苦労したからな。これは助かる。」


ライモンドが言った。どうやら彼は過去に飛行する魔物と戦った経験があるようだ。


「もう一つの装備として空から地上を攻撃できるように胴体部分に爆弾を複数個搭載して空から目標に落とす事で攻撃が出来ます。爆弾は地上に落ちると広範囲に爆発しますので、攻撃が成功すればかなりの効果が期待できます。」


魔動戦闘攻撃機が飛び立ち準備に入った。さすがに空に的は作れないので射撃のみ行い、続いて爆弾の投下を行った。的に着弾と同時に大爆発が起こった。


「「「おー」」」


その破壊力を見て皆が驚いた。

試験も無事に終わり、試作兵器群は量産体制に移行する事になった。と言っても護衛隊の規模からすると大量には必要なく乗用兵器類は各10程度、拳銃、自動小銃などは全員分と予備を用意する程度だ。


「ドワミ、それじゃこの資料に書いてあるように量産の方よろしくね。」


「了解。それじゃ明日から製作に入るよ。」


ドワコが必要な数が記載された資料をドワミに渡し、ドワミが了承する。


「それでは各護衛隊、衛兵隊は量産が完了して配備されるまでに試作した物を利用して取り扱いの訓練をお願いします。」


「「「了解しました」」」


こうして当面の軍関係の指示を出した。



そのあとドワコとドワミはドワコの工房に移動し、当面必要になる魔動機と魔石燃料の製作に取り掛かった。


「ただいま戻りました」


工房で製作の準備をしていると、エリーが里帰りから戻って来たようだ。


「おかえり。久しぶりの実家はどうだった?」


「まあいつも通りですね」


ドワコの問いかけにエリーは事務的に返事をした。


(あまり楽しめなかったのかな?少し疲れの表情がみえるし・・・)


「疲れているみたいなら、今日は休んでいても良いよ?」


ドワコが心配してエリーに言った。


「いえ、大丈夫です。この作業だけは手伝わないといけませんので。」


「そっか、あまり無理をしないようにね。」


ドワコは明日より1カ月程度、王子様に同行して公務で他国へ行く事になっている。留守になる間、必要になる魔動機と魔石燃料を製作しておかなければならない。ドワミとエリーが手伝い魔動機の製作を行っていく。軍事、民間で使用する大、中、小の3種類の魔動機を必要な数だけ製作していく。


魔動機が完成して次は魔石燃料の製作に取り掛かる。


「それじゃドワコさん。これが材料です。」


エリーが持ってきた魔石は数カ月分に相当する量だ。元々は1カ月分程度を製作する気でドワコは考えていた。


「ちょっとこれ多くない?どう見ても数か月分はありそうだけど」


「そうですか?1カ月分ですよ?」


そう言ってジャラジャラと製作用の箱に入れてしまった。

痛むものではなく、そのまま魔石燃料にしても問題なかったのでクリエイトブックから魔石燃料の欄を開き実行する。そして大量の魔石燃料が製作された。


「これでしばらくは、この工房も使いませんね。出先に必要になるかもしれませんので、一旦権利書に戻しておいた方が良いと思いますよ?」


エリーがそう提案する。ドワコは1カ月程度ならそのままでも良いかなと思っていたが、提案を受け入れ一旦権利書に戻すことにした。いままで色々な物が置かれていた部屋だったが、サイドに置かれた素材などが置かれた棚はそのままだったが、部屋の真ん中に構えていた製作用の箱が無くなったのでポカンと穴の開いたような状態になった。


魔石燃料を3人で貯蔵庫に収納してドワミは他の仕事へ向かった。


そのあとドワコとエリーは留守中問題が起こらないように各方面の調整を行って回った。


調整を終えてからドワコとエリーは公務で持っていく物のチェックを始めた。


「ドワコさん。これも入れておいてください。」


そう言って大量の水と食料の入った大きな箱を持ってきた。


「こんなに大量の水と食料どうするの?」


「必要になると思うので持って行ってください」


ドワコの問いかけにエリーが強めの口調で答えた。箱にまとめてあるのでアイテムボックスに入れてしまえば良いだけなのでそのまま収納した。


「それとお願いですけど、今から神殿に行きませんか?」


「今から?」


「はい。今からです。」


特にこの後予定も無かったので神殿に行く事になった。



魔動鉄道を乗り継いでドワコとエリーは神殿までやって来た。


「これは領主様。ようこそ神殿へ。」


外で清掃作業をしていたアオリアが挨拶をした。


先日、神殿に3人のシスター見習いが配属された。名前は今挨拶したのがアオリア、そしてあと2人がアカネッタとキイベルタだ。見習いはフードを被っていないので髪の色がはっきりとわかる。アオリアが青色の髪、アカネッタが赤色の髪、キイベルタが黄色(正確に言うと金?)の髪をしている。3人揃うと信号機になる。


「少しお邪魔しますね」


「はいどうぞどうぞ」


「ようこそ神殿へ。メロディ様は奥にいらっしゃいますよ。」


聖堂に入った所でアカネッタが話しかけて来た。


「ありがとう。それじゃ少しお邪魔しますね。」


ドワコがそう言って、エリーと一緒に奥へ入った。

メロディは厨房でキイベルタと一緒に料理をしているようだ。


「これはこれはドワコ様とエリー様。ようこそおいでくださいました。」


料理の手を止めてドワコとエリーの元にやって来た。


「今日はどのような御用で?」


メロディが聞いてきた。ドワコも理由を聞かされていないのでエリーの方を向く。


「ちょっと預かって欲しい物がありまして。外までご一緒していただけますか?」


「何かはわかりませんけど良いですよ?」


そうエリーが切り出した。

ドワコとメロディはエリーに案内されて教会から少し離れた場所にある広い空地へやって来た。

そこには大きな土台のようなものが組まれていた。


「これって船を置く土台だよね?」


ドワコがエリーに問いかけた。


「そうですね。ドワコさんここにアイテムボックスに入ったままの船を出してもらえますか?」


エリーに言われた通りアイテムボックスから船を出した。あらかじめ用意された土台の上には巨大な船がのっている。


「大きいですね。これは船でしょうか?」


メロディは見上げながら言った。


「これをメロディさんのアイテムボックスで預かっていてほしいんです」


「アイテムボックスってこんなに大きなものも収納できるんですか?」


メロディが驚いている。


「収納できるはずです。やってみてください。」


メロディが収納をイメージすると先ほどまであった大きな船が消えた。


「本当に入っちゃいました。ここまで来ると笑うしかないですね。」


メロディは常識外れのアイテムボックスの能力に苦笑いをしている。


「無事に収納できたみたいですね。それでは少しの間お願いしますね。」


「はいわかりました。お預かりしますね。」


そして3人は神殿に戻ってきた。


「明日から1カ月ほど公務で領地にはいませんので、負担をかけると思いますけど留守の間、診療所の方をお願いしますね。」


「はい。わかりました。お気をつけて行ってらっしゃいませ。」


そして用事も済んだのでドワコとエリーは砦に戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ