表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
賢者になったドワーフ娘(仮)  作者: いりよしながせ
ドワーフの領主様
56/128

56.領主

「さて・・・。数日前に別れの挨拶をしたのですが王様の命により戻ってきました。」


砦の皆を集めてドワコが挨拶をしている。


「また改めてよろしくお願いします」


「どういう事ですの?」


デマリーゼが皆を代表して言った。


「もしかして城からの連絡がまだ来ていないとか?」


ドワコが恐る恐る聞いてみる。


「ですわ。急に隊長が戻ってこられて何かあったのかと思いましたわ。」


「それでは私の方から説明しますね」


エリーが前に出て説明を始めた。


「元ムリン国の今後の方針が王様の招集された会議によって決まりました。元ムリン国とこの砦を含め、新たな領地とし、ドワコ様が領主として治める事になりました。そして砦に所属する者は、すべて新しい領主様の指揮下に入ると言う事が決定されました。」


「「「なんですって」」」


本当に聞かされていなかったようで皆が驚いた。ちなみに城からの伝令はドワコたちの到着より少し遅れて到着した。


「こほん。と言う訳でこれからもよろしくお願いしますね。」



戻って早々にジョディの村の復興について話し合いをする事にした。


会議の席には、ドワコ、エリー、デマリーゼ、カレン、ベラ、ケイト、カーレッタそしてライモンドが出席している。


「まず初めにジョディの村の復旧から手を付けます。おそらく明日くらいにはドワーフ職人たちが到着し、作業に入ると思います。ジョディの村の住民にも手伝ってもらいこちらの作業を優先させます。その後に食糧の増産、残りの避難民の住宅建設に生活基盤の確立とやる事は沢山あります。元ムリン国の兵士については当面は村の復旧工事を手伝ってもらう事にします」


ドワコが今後の方向性について報告する。


「ちょっと質問よろしいでしょうか?」


ライモンドが質問してきた。


「ムリン国の城と城下町についてですが、どのようなお考えをお持ちでしょうか?」


「現状では手が回らないので放置ですね。復旧させるメリットがあるなら今後検討課題としますが・・・。」


現状ではメリットも無いのでライモンドは引き下がった。



翌日、ドワーフの一行が到着し、復旧作業に入ってもらった。今回はドワコは手伝いが出来ないので資材の調達から行ってもらっている。その為前回のような高効率な作業では無くなっている。若干日数もかかりそうだ。



そしてドワコとエリーとドワーフ達と一緒に来たドワミの3人は砦で人気のない使われていない部屋に来ている。


「それじゃ魔動機の製作なんですけど・・・実は簡単なんです」


エリーがドワコとドワミに言った。


「とりあえず、この部屋は人通りも無くそれなりに広い部屋なので工房を作るには都合がいいです。と言う訳でドワコさんここに工房の展開をお願いします。」


エリーが言うままにドワコは『工房権利書』を使用して工房を作った。


「何ですかこれは?」


普通のドワーフの工房とは違い、一瞬で工房が完成した事に驚くドワミ。


「これだけで驚いてもらうと困りますよ?」


エリーが言う。


「それでこの前サイクロプスを倒した時に出た巻物なんですけど、消えた訳では無くてドワコさんのクリエイトブックに追加されているんですよ。」


「どれどれ」


ドワコはクリエイトブックを確認してみる。


魔動機(大)、魔動機(中)、魔動機(小)、魔導線、魔石燃料が追加されている。


必要な材料を確認してみたが、魔石以外は入手が容易な物になっている。


「魔石さえ入手できれば量産可能な感じだね」


ドワコがクリエイトブックを見ながら言った。


「ちなみに魔石も前回の戦闘で大量に出たので回収済みですよ」


「そうすると、試作用に材料と自分が持っていた魔石を製作用の箱にいれて魔動機(中)を製作してみる。」


箱が光り、中には程よい大きさの魔動機が完成していた。


「ありゃ。こんな簡単に出来ちゃうんですね。」


ドワミが呆気に取られて言った。

続けて魔導線と魔石燃料も製作してみる。

これで実験用の魔動機と燃料の準備が出来た。


「今、一番必要な物は、物資を運搬できる車が欲しいですね。こんな感じの物ですけど・・・。」


ドワコが紙にトラックのイメージ図を描いてみる。


「ほうほう。これなら荷馬車を改造すればすぐに試作品が出来そうだね。」


ドワミがドワコの書いたイメージ図を見て言った。


「このエリアは今の所、使う予定が無いから研究、開発に好きな場所を使っても良いよ」


「それじゃ早速取り掛かってみるね」


魔動機とその他一式をドワミに預け、ドワコとエリーは隊長の執務室へ行った。



「これから定期的に魔石が必要になると、どこかから調達しないと・・・だね。」


執務室に戻りドワコがエリーに相談する。


「当面はジョディの村の近くにダンジョンがあるので兵士を派遣して集めてくれば良いと思いますよ。訓練にもなりますしね。」


「なるほど、村の復興が一段落したら考えてみようかな。」


「今は復興作業に必要な道具のリストを作り、必要があれば製作する。あと不足気味になっている素材の補充も行わないといけませんね。」


エリーが今やる事をアドバイスしてドワコがリストの作成をした。


「セバスチャン、このリストに書かれている物の手配をお願いします。」


控えていたセバスチャンに必要な素材の書いたリストを渡し手配してもらう。その足でドワコとエリーは道具を作りに工房へ行き、道具の製作に取り掛かった。


「とりあえず、こんなものかな。」


「ドワコさんお疲れ様でした」


予定していた製作が終わったのでドワコとエリーは工房の片隅に置かれている椅子に腰かけてお茶を飲んでいる。


「ドワコ。試作品が完成したよ。」


「はやっ」


お茶を中断してドワミに案内されて目立たない所にある広い部屋に行った。


「荷馬車に魔動機を乗せて動力を後輪に伝えるようにしたよ。あとは前輪に可動式のハンドルを付けて操舵できるようにしてみた。あとは止める時に必要なブレーキレバーと魔動機の出力調整用の足用のペダルを御者席に付けてみた。」


「これ動きそう?」


「どうかな?今から試運転をしようと思ってドワコ探してたんだ」


「そっか。それじゃここでやる?それとも外に持っていく?」


「ないとは思うけど暴走とかしたらいけないしね。外が良いかも。」


「了解」


ドワコは荷馬車を改造した試作品をアイテムボックスに入れた。

そして3人で砦の外の広くなった所へ行った。


「それじゃここに出すね」


アイテムボックスから荷馬車を改造した試作品を取り出した。


ドワミが御者席を改造した運転席に座り、荷台にドワコとエリーが乗り込んだ。


「それじゃ行くね。魔動機始動。ぽちっとな。」


ドワミが運転席に付いているボタンを押して魔動機を始動させた。・・・と思う。無音なので動いているか判断に困る。


「それでこのペダルを踏むと・・・」


後輪から小さな駆動音が聞こえ前に進みだした。


「動いてる動いてる」


「頭ではわかっていても、実際に体験するのは違いますね。」


ドワコとエリーは動き出した試作車に興奮気味だ。


「ただ、荷馬車を改造した物なので速度がその辺までしか出ないんですよね・・・まだまだ改良する余地がありそうです。」


「車体もだけど、道も舗装して整備しないとダメかもね。高速化させるだけなら線路でも施設してみる?」


「線路ですか?それはどんなものですか?」


ドワミがドワコに聞いてくる。


「えっとね。ここに木の枕木と言うのを敷いて、その上に特殊な形にした鉄の棒をつなげていって・・・。それで荷馬車の車輪には鉄の特殊な形状のものを巻いてレールの上を走らせるんです。そうすると線路の上しか走れませんけど、摩擦による抵抗が減って安定した走りが出来るはずです。」


ドワコが地面に絵を書いて説明する。書いたものは馬車鉄道をイメージした物だ。馬車鉄道は馬の動力を使うが、その代わりの動力として魔動機を使用する。


「なるほど・・・材料さえあれば3日あればジョディの村まで施設できそうですね。」


ドワミが納得したようで構想を練っていく。


「それにしても、この荷馬車を改造した試作品って言いにくいですよね。何かいい名前つけませんか?」


「確かに・・・」


エリーの提案で何かいい名前が無いか考える事にした。


「まあ魔動車が一番良さそうな気がするけど・・・」


「「それじゃそれで」」


あっさりと名前が決まった。



翌日から復興作業を中断して総員で線路の施設作業を行った。前日にドワミが親方に相談していたらしく資材等の調達の目途をつけていた。建設資材の調達と施設作業を並行して行い、3日かけて線路の施設作業が行われ、実験用の線路が砦とジョディの村まで作られた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ