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46.奴隷

前回のあらすじ。


ドワコは砦にて厳しく兵士たちを指導していた。

そして、砦での生活が1カ月過ぎたある休日、ドワコとエリーは隣国の村に遊びに来ていた。

そこでエルフに喧嘩を売られドワコは勝利した。





汚い袋を被ったエルフ女を連れてジョデイの村に戻ってきた。

ドワコの回復魔法が失敗した為に、目のやり場に困る立派な体型になってしまったエルフ女を村人たちは物珍しそうに見ていた。特に村の男たちは何度も見ている。中には奥さんか交際相手と思われる女性に平手打ちを受けている男性もいた。


「やっぱり目立つね」


「本人は喜んでるから良いんじゃないかなぁ」


ドワコが心配してエリーに聞くとエリーがとんでもないことを言った。

エルフ女を見ると、恥ずかしそうにしているが、息を荒くしてどこか嬉しそうにも見える。


「なんかいっぱい見られてるぅ・・・ハァハァ」


・・・とりあえずドワコは見なかったことにした。

衣料品を扱っている店に入り、適当に服を選ぶことにした。


エリーがエルフ女に着せる服を適当に選んでくれている。・・・どうやら決まったようだ。

何か面白い服を選んでくるかなと期待していたが、普通の村人の服だった。


「ドワコさんが何か期待していそうだったので普通の服にしてみました」


エリーが心の中を読んだかのような返事をする。村人の服だからと言って似合っていない訳ではないが、特徴も無い・・・そんな感じだ。


衣料品を扱っている店で上下と靴を調達し、店を出た。

なんか疲れたので観光はやめて砦に帰る事にした。村には次の休みにでも行こうと思う。


「それじゃエリー、帰ろっか。」


「はい。ドワコさん。」


エリーがドワコの腕に絡みついてきた。ここが定位置らしい。


「あのー」


エルフ女が話しかけてきた。話が長くなりそうなので早々に撤収することにする。


「私たちはもう帰りますので、あの・・何と言いましょうか・・・お元気で?服とかは私が燃やしたので弁償と言う事で構いませんので。」


「そういう訳にはいきません。私は負けましたので、あなた方2人の奴隷です。なんでもお申し付けください。」


なんでもと言う言葉にドワコは色々変な想像をしてしまったが、後々厄介ごとになりそうな予感がしたので、そこをグッとこらえて放置することにした。


「メルデ・・・コホン。エルフ女が仲間になりたそうにこちらを見ている・・・」


エリーがボソッと言った。

うちのご意見番は仲間にするようにと申しております。


「わかったよ。それじゃ付いて来たければご自由にどうぞ。」


「ありがとうございます。ご主人様。」


ドワコとエリーに付いてムリン国の東の砦まで来た。


「すみません。出国手続きをお願いします。」


「かしこまりました。えっと、そちらの方は?」


出入国の受付をしている係の者がエルフ女に尋ねる。


「私はこの方々の奴隷ですので、同じく出国手続きをお願いします。」


「はぁ・・・。そうですか。それではお名前の記入をお願いします。」


「はい。ありがとうございます。メルディスさんですね。手続きしますので少々お待ちを。」


このエルフ女はメルディスと言うらしい。と言うか先に名乗れと思うドワコだった。


「お待たせしました3名とも出国の手続きが完了しました。お気をつけて行ってらっしゃいませ。」


係の者がそう告げて砦を後にした。3人でマルティ王国西の砦に入る。


「お帰りなさいませ。早かったのですね。」


出入国の受付を担当しているカーレッタが話しかけてきた。


「色々とあって戻ってきました」


ドワコはちらりとエルフ女ことメルディスを見る。

視線を感じ頬を赤くするメルディス・・・どこに頬を染める要素が???


「おかえりなさいませ。ドワコ様、エリーさん。そして、ようこそマルティ王国へメルディスさん。」


ドワコたちは西の砦に戻って来た。

とりあえずドワコの私室に戻って来たわけだが・・・。


「ご主人様はここでどのようなお仕事をされているんですか?」


メルディスがドワコに質問してきた。


「ドワコさんはこの砦の隊長・・・ここの責任者を王様より拝命しています」


エリーが代わりにこたえる。


「さすが私のご主人様です。それなりの地位がある方だったとは。」


エルフ女ことメルディスが感激している。


「・・と、その前に自己紹介がまだでしたね。私はドワコ。今はここの砦を任されています。こちらがエリー。私の仕事をサポートしてくれています。」


ドワコが自己紹介をした。


「私はメルディスと申します。ドワコ様、エリー様の奴隷となりました。」


メルディスが自己紹介をした。


「私はエリー。ドワコさんが言われた通りお手伝いをしています。」


エリーも自己紹介をした。


「それじゃ早速命令するね。ここの下の階に浴場があるから体を綺麗に洗ってきてください。焦げた匂いが部屋中漂って不快ですから。」


「かしこまりました。エリー様。それでは失礼させていただき、行ってきます。」


「あっ。これタオルね。石鹸とかは浴室に置いてあるから。」


メルディスは説明された場所にある浴室を目指し移動していった。


「それじゃ今から後をつけましょう・・・」


エリーが言った。何か面白いことが起きそうな感じだ。

ドワコとエリーがこっそりと後を追った。


指定された浴場に着いてメルディスは衣服を脱いだ。そして浴室に入ると・・・兵士2人が入浴をしていた。突然入って来た何も服を着ていないエルフ女に驚きの声が上がった。


「うわぁーーーー」


「キャーーーーー」


その声を聴いたエリーは嬉しそうに言った。


「ドワコさんを傷つけようとした報いです」


エリーが狙ってやったことに絶対に敵に回してはいけないと思うドワコだった。

慌てて浴室から出てきたメルディスとドワコたちは鉢合わせをする。


「誰が洗わずに出てきて良いと言いましたか?言われた通りにしなさい。」


エリーが追い打ちをかける。渋々メルディスが浴室に戻る。


「見るのはタダなので遠慮なくどうぞ。でもおさわりは厳禁ですよ。」


エリーが浴室の兵士に向けて言った。満足したのかエリーは部屋に戻っていった。

ドワコもあわててエリーに付いていった。


2人はドワコの私室に戻りお茶を飲んで待っていた。しばらくすると入浴を終えたメルディスが戻って来た。


「おかえりメルディス」


「おかえりなさい。メルディスさん。」


ドワコとエリーが色々な意味でねぎらいに言葉をかけた。


「只今戻りました・・・ハァハァ」


なんか微妙に嬉しそうにしているメルディス。これまでの事を総合すると・・・見られることに快感を覚えている感じ?


「どうですか?見られることで何か感じることはありましたか?」


エリーがドワコを代弁してかメルディスに問いかけた。


「エルフの村では魔法能力も低く相手にされなくて・・・居心地が悪くなり村を出ました。そして旅を続けましたが仲間にも恵まれず、辺境の村でご主人さま達と会いました。自暴自棄になっていたのもあり勝負を挑みましたが結果は知っての通りです。それが、ご主人様たちに出会い色々な方が私を見てくれるようになりました。それがとても嬉しく・・・。」


(それって胸が魅力的になって男の人がそこに注目しているだけのような・・・まあ本人が喜んでいるなら黙っていた方が良いのかな?)


「ドワコさんにご理解いただけた所で・・・ひとつ残念なお知らせがあります」


エリーが突然言い出す。


「マルティ王国は奴隷制度を認めていません。それと、この砦ではドワコさんの従者は1名と決められています。なのであなたの居場所はありません。数日中に退去していただくことになります。」


「「エーー!」」


ドワコとメルディスは声を上げた。

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